キーパーソンに聞くー医薬品医療機器総合機構(PMDA) 近藤達也理事長「大事なのは国民の健康」



キーパーソンに聞く-医薬品医療機器総合機構(PMDA)・近藤達也理事長「大事なのは国民の健康」 
 2010年07月02日 キャリアブレイン     

参院選の争点は、持続可能な社会保障制度を裏付ける財源問題に集中しているが、各党の選挙公約には医療・介護など社会保障分野の改革項目も並んでいる。 
「後期高齢者医療制度」「2012年度の診療報酬と介護報酬の同時改定」「ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの解消」など広範囲だ。医療・介護政策に影響を与えるキーパーソンや制度に詳しい専門家に、改革に向けた課題などを聞く。 


PMDAの近藤理事長は、海外で承認されている医薬品や医療機器が国内で承認されず、「ドラッグ・ラグ」や「デバイス・ラグ」として問題視されていることについて、「わが国はもともと軽薄な国ではない。 
審査過程の無駄は削減した方がよいが、慎重さは失いたくない。 
大事なのは国民の健康」と話し、審査期間を短縮しても、品質と安全性を維持するのは大原則との考えを示した。 

 近藤理事長はまた、審査にかかる期間を製薬メーカーなどのクライアント側と行政側の2つに分け、「行政側の審査期間は、欧米とほとんどイーブンになってきている」と述べ、欧米と遜色がない程度にまで短くなってきたと強調。 

その上で、「次の問題はクライアント側の時間だろう。治験前相談・申請前相談を有効に利用することで、治験デザインや申請資料の十分性等に関する問題を事前に解決し、承認申請前・承認申請後のクライアント側の時間を短くしていくことも必要だ」と指摘し、治験前・申請前相談にも人材を充当することで総審査期間の短縮が可能だとした。 

 PMDAではドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの解消に向け、新医薬品では審査人員を236人増やすなどして、07年度からの5年間で承認までの期間を2.5年短縮し、新医療機器については69人増員するなどして、09年度からの5年間で19か月短縮することを目指している。 
  
 PMDAは今年4月に、政府の事業仕分けと厚生労働省内の事業仕分けの対象になったが、近藤理事長は「こういう仕分けは、無駄をなくすなどの点では意味がある。 

どんな組織でも、崩れていく部分とか、惰性に陥る部分がある。 
結果として、自分たちが一生懸命やってきたところが改めて認められ、非常に心強い評価を頂いたと考えている」と述べた。 

 このほか近藤理事長は、行政において「裁量」を排除する必要性を強調、PMDAを運営する上で「レギュラトリ-サイエンス」の考え方を重視する方針だ。 

レギュラトリ-サイエンスとは、医薬品などの品質や安全性を予測・評価し、その成果を行政に反映させ、国民の健康につなげる科学。PMDAでは09年4月に、新規にレギュラトリ-サイエンス推進部を立ち上げ、外部研究者と情報交換するなどして連携を深めている。