鉄蕉会 亀田隆明理事長「鎖国」から「開国」へ 日本初JCI認証を語る



鉄蕉会 亀田隆明理事長/「鎖国」から「開国」へ 日本初JCI認証を語る 
2010年2月12日  Japan Medicine(じほう) 


 医療法人鉄蕉会の亀田隆明理事長は6日に東京都内で講演し、昨年8月に亀田メディカルセンター(千葉県鴨川市)が日本で初めて取得した国際的な病院品質基準JCIの認証について、「目的は品質改善。世界と同じ土俵に立つことが必要」と述べ、国際レベルでの医療の質確保に継続して取り組む姿勢を示した。 

 日本の医療はアジアでトップと思い上がっていたが、案外そうでもなかった-。亀田メディカルセンター(亀田総合病院、亀田クリニック、亀田リハビリテーション病院:計1000床)は昨年8月、国際機関JCI(Joint Commission International)の審査を受け、日本で初めて同機関の認証を取得した。 

 亀田氏は「世界の品質レベルを意識して品質改善を行う必要がある」と認証取得の動機について語り、品質改善を主眼に審査を受けたとした。その上で国際的視野に立った医療の質の評価が必要であり、「鎖国から開国へと考えたとき、日本からグローバルスタンダードを発信するには、世界と同じ土俵に立つ必要があった」と話した。 

 また、認証取得によるメディカルツーリズムへの期待については「本当の目的ではないが、国際競争力につながる。日本は質を追求する国というイメージがある。インターナショナルに門戸を開けばかなりいける」と期待を述べた。 

 その上で亀田氏は、日本の医学レベルの高さとリーズナブルな医療費を生かして、医療体制を整えることができれば外国人患者の受け入れも期待でき、有力な成長産業になる可能性があるとした。 

認定取得費用800万円 

 亀田氏は、認定取得のために1年余りをかけて職員との情報共有や模擬審査を実施し、改善事項の抽出や職員の審査対応練習を行ったと説明。審査費用は、直接費用として、本審査費用約500万円、通訳費用約150万円など合計約800万円がかかったほか、認証基準に合わせるための細かな院内整備費用を入れると間接費用は数千万円を要したと述べた。 

 亀田氏は今後について、医療の質の向上のため、継続的に現場を改善するとした上で、「JCIに対し、日本の優れたところをフィードバックし、最終的にはグローバルスタンダードを作っていきたい」と話した。 

 JCIは患者に焦点を置いた国際的な医療機関評価規格を提供しており、認証にはケアの品質を促進・持続できる体制・プロセスが十分に整備されていることが求められる。評価基準は約340が設定され、小項目は1000以上に及ぶ。認証取得した医療機関は39カ国に300機関あり、いずれも世界のトップレベルの病院が居並ぶ。亀田氏の講演は、メディカル・インプルーブメント研究会と日本生産性本部の共催セミナーで行われた。 


医療構想・千葉/成田に医療ハブ構想 東アジアのバイオメディカルセンターへ 
2010年2月12日  Japan Medicine(じほう) 


 「成田のピンチをチャンスに変える知恵がメディカルツーリズムにはある」。医療政策シンクタンクの医療構想・千葉(竜崇正代表)は7日、千葉県の成田市役所で「地域の医療とメディカルツーリズム“成田医療ハブ構想”を考える」と題したシンポジウムを開催。アジアの富裕層をターゲットとしたメディカルツーリズムを新たな産業として興す「成田医療ハブ構想」について討議した。 

 「羽田を日本の国際ハブ空港に」とする前原誠司国土交通相の発言について地元の反発が残る中でシンポジウムは行われた。シンポジストからは、国外からアクセスしやすい成田市周辺を医療特区とし、空港隣接地に大規模な医療クラスターを構築する構想などが示され、医療関係者や地元関係者の期待をあおった。 

 構想日本政策スタッフの田口空一郎氏は「成田医療ハブ構想」について壮大な構想を発表した。成田を東アジアのバイオメディカルセンターとする構想で、独立行政法人化される国立国際医療センターを空港隣接地に移設し、新型インフルエンザを含む感染症研究拠点とすることや、放射線医学総合研究所を移設し重粒子線治療を行うことを盛り込んだ。また空港周辺を医療特区としてメディカルスクールやパブリックヘルススクール、民間有力病院のブランチ施設を誘致するなどを提案した。成田市の小泉一成市長は空港周辺の土地利用について「医療関係機関の立地は十分に考えられる」と期待を示した。 

 シンポジストとして参加した経済産業省商務情報政策局サービス産業課の藤本康二課長は、「日本の医療の発展のためには、パイを広げてスケールメリットを生み出すことも必要だろう」とした。ただ、医療保険や査証、地域医療計画などの障害も多く「霞が関だけでは作っていくことはできない」とした。また藤本課長は、メディカルツーリズムにおける適正な医療費設定について検討を進める考えを示した。 

 国土交通省観光庁国際観光政策課の大高豪太課長は、「日本の医療水準は高く、関心が高いと思われる。外国人に医療を提供することは、国際貢献、国際交流、地域交流につながる。経産省と厚生労働省と力を合わせていきたい」とし、成長分野としての期待感を示した。 

医療国際化の課題も指摘 

 医療構想・千葉が7日に開いたシンポジウムで講演した千葉県健康福祉部の井上肇理事は、有力なターゲットと期待される米国と中近東について「米国人のメディカルツーリストは米国内での大きな負担を避けたいミドルクラスが中心で、医療費の安いタイや韓国、東ヨーロッパに向かう。一方、中近東の富裕層は米国や西ヨーロッパに向かう。そのため日本はこれ以外の国を狙わなければならない」と私見を述べた。その上で日本には、言葉の問題や人的資源の絶対的な不足、人材育成といった解決すべき問題が山積みだとの見方を示した。 

 マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンでヘルスケア分野を担当するLudwig Kanzler氏は「日本の医療の信頼性、質は世界一。コストがかかっていない中で、割合に良くやっている」と評価。その一方で、国内の医療崩壊を解決することが先決であり、施設間格差も気になるとの考えを示した。 

 メディカルツーリズムへの期待が高まる一方で、懸念材料も示された。JTBヘルスツーリズム研究所の高橋伸佳所長は、中国で実施した市場調査を紹介し、すでに医療目的で海外旅行をしたことがある人は対象の4人に1人と高いものの、「中国人のメディカルツーリズムは欧米諸国に向いており、日本は検討の俎上にも上っていない」と実態を報告した。また調査により、言葉や医療費(為替含む)、査証が障壁となっていることも明らかになったという。中国の富裕層を対象とした聞き取り調査では「欧米に比べ日本の医療の優位性が分からない」「明確なテーマがない」との厳しい意見もあった。