十和田市立中央病院第1回経営改革検討委員会会議報告(平成22 年2月6日) 十和田市公式HP抜粋













十和田市立中央病院第1回経営改革検討委員会会議報告(平成22 年2月6日) 十和田市公式HP抜粋 



十和田市立中央病院は平成21 年度の不良債務が約17 億円となり、不良債務比率は31.7%と、健全経営化基準の20%を超える見通しです。この厳しい経営状況には、病院改革が急務となっています。中央病院では経営改革として、経営コンサルタントに状況分析を依頼するとともに、「十和田市立中央病院経営改革検討委員会」を設置し、2月6日、初会合を開きました。 





■ 病院の経営状況はなぜ、赤字が続くのか 



十和田市立中央病院は救急医療、小児医療、周産期医療、災害医療、精神医療、がん治療など、上十三地域における不採算医療を行ってきましたが、経営が厳しさを増し、自助努力の限界が見えてきました。 

一方、十和田市の財政も厳しく、市税を始めとする自主財源が少ないため、財政力指数は類似団体内平均を下回っている状況です。 

本市は病院への支出の内容を見直す時期となっており、中央病院もこれ以上、財政面で十和田市に頼るのは無理が出ており、経営の改革が急務となっています。 



そのため、中央病院では、東京都の経営コンサルタント(東日本税理士法人)と契約し、これまでの経営の分析を行っています。 

まず、収益については、平成 18、19、20 年度の経営指標の推移では、収益性を示す指標が、医業収益(売上)の減少により、年々悪化している中で、大きな固定資産投資(病院建設、医療機器)により、効率的な資産の運用ができなくなっています。 



医業収支は、平成 15 年度以降継続して医業収支が赤字となっており、20 年度に至っては、医業損失が単年度で18 億円以上発生しています。 

この結果、医業収支率も72.9%と大幅に落ち込んでいます。 

この主な要因は、患者数の減少、高い人件費率、新病院オープンに伴う経費の増加があげられます。 



患者数の減少については、外来診療の推移と入院診療の推移を見ると、医業収益の減少が、患者数の減少に比例しています。 

よって、患者数の減少に歯止めをかけ、再び患者を病院に呼び込むための施策をどう練っていくかが、経営改革の大きなテーマとなっています。 



中央病院の人件費率は、自治体病院の全国平均55~60%に対し、75%と高い位置にあり、特に医師の給与は全国平均と比較して高い水準になっています。 

経費の増加については、医業費用のうち、人件費と材料費を除く費用では、19 年度まで経費比率が概ね20%でしたが、20 年度は40%を超えており、金額では21 億円と前年度比203%に増加しています。 

増加した費用の内訳は19 年度と20 年度を比較すると、新病院建設により光熱水費が6千4百万円(849%)、燃料費8千万円(240.8%)の増加。 

賃借料は放射線危機装置の新規賃借により4千5百万円(71.1%)の増加。 

委託費は調理配膳業務、清掃業務、医事業務、医療材料管理業務、施設維持管理・総合監視業務の委託で2億2千4百万円(44.8%)の増加。 

新病院移行により減価償却費が1億7千5百万円(102.7%)の増加。新病院稼動により不要となった医療機材等を除却処理した資産減耗費が4億4千7百万円(6295.5%)の増加となっており、新病院移行により増加したのが要因となっています。 



企業債残高は、平成 19 年度以降に急増しました。これは病院増改築事業として19 年度に77 億円、20 年度に13 億円借り入れたこと、また病院特例債として20 年度に13 億円借り入れたことによります。 

その結果、支払い利息も20 年度で3億円と高額になりました。 

新病院建設コストについては、1床当たりの単価は自治体病院の3~4千万円に対して3千7百万円ですが、民間病院の2千万円をはるかに超えています。 

そのことが企業債残高の上昇、減価償却費などの経費の増加に大きな影響を及ぼしています。



中央病院を取り巻く経営環境は非常に厳しく、経営改革を早急に推し進めることが緊急の課題であることが、コンサルタントより結論づけられました。 





■ 経営改革委員会の設置と改革に向けた取組み 



中央病院の経営改革について、本市が設置した経営改革委員会の初会合が2月6日、中央病院で行われました。この委員会は外部の有識者ら8人でつくられており、出席した委員は、元総務省公立病院改革懇談会座長で政府の行政刷新会議事業仕分け人を務めた長隆委員(東日本税理士法人代表)、小山田惠委員(全国自治体病院協議会名誉会長)、栗谷義樹委員(山形県・酒田市病院機構理事長)、福元俊孝委員(鹿児島県県立病院事業管理者)、小久保純一委員(十和田市副市長)、蘆野吉和委員(十和田市立中央病院院長)の6人。 

里見進委員(東北大学病院院長)と花田勝美委員(弘前大学医学部附属病院院長)の2人は用務のため委任状を提出し、書面出席で会議が行われました。 

会議では、長委員が委員長に選任され、議長となりました。 

長委員長は、「3 月に会議の結論を議会が承認し、6 月議会にかけて、10 月1 日から実施が良い」としたうえで、中央病院の改革について話し合いました。 



委員の意見を要約し、会議の進行順に紹介します。 



議長・長委員長「十和田中央病院は破綻状態にある。民間病院同様の経営努力が必要。豪華病院を作ってしまった責任は?豪華な差額ベッドが5 部屋あり、使われていない状態だ」 



栗谷委員「この病院には縮小均衡がない。豪華病院の医師たちのプライドは高い。酒田医療センターも医師確保は困難。十和田市の財政的体力が下がっている。経営改革で一番の優先順位は何か?時間がない。 

改革プランは実行性・信頼性に欠けるのではないか。 

働く医師と働かない医師がいるが、働く医師がきちんと働けるインフラにする必要がある」 



議長・長委員長「病院は本庁と共に改革が必要。経営形態変更を急ぐ。総務省も人件費率のチェックをする」 



福元委員「全適ですべてが良くなるというものでもない。給与では「わたり」を是正した。 

職員は地元の鹿児島県立病院で働きたい意欲がある。建物について工夫したところ、建築費が通常の公立病院の半額で済んだ。外来を紹介状制にしたところ、赤字になった。 

新患を追い返さずに診て、診療所でも問題ない容態であれば開業医に送る方法もある。できることは今日やること!職員の意識改革が必要」 



小山田委員「改革プランを誰が作ったのか?改革プランの70%が23 年度までに黒字と書いてあるが、ありえない。 

患者数の減少は何故なのか?病床稼働率が減少している 

のであれば、休床を検討しても良いのではないか。診療科・医師ごとのデータを出すように。 

ある診療科が赤字でも必要と判断されたなら、リーダーが責任を持って経営すること。病院のスリム化が必要である。 

市民の要求するすべてに応えられるはずがない。 

他の病院や診療所と地域連携する必要がある。最終的に病院がなくなると市民が困ることになる。市立病院は赤字でもやりたい医療を行うべきだ。 

リーダーが責任を持てる経営形態に変わる必要がある。医療は人である。改革は明日、今日から行うべき」 



議長・長委員長「青森県で行う地域医療再生基金を確認する。税金投入しなくても再生できるのでは?」 



栗谷委員「経営改革にはシミュレーションが必要。 

あいまいさを残さない取り決めも必要である。 

働く人が報われないのはモチベーションが下がる。 

医療にはウエットな部分がある→ドライ・ウエットのいずれにも偏り過ぎないように。 

独立行政法人では資金繰りが重要であり、当院も週1 回報告を受けている。資金繰りになれたスタッフが必要である。 

給与を下げずに人件費率を下げるためには、1 人あたりの業務拡大しかない。 

DPC をとったのに外来患者が減少するのはおかしい、検査などを外来にシフトしていないのではないか。 

収支のバランスをどの科でとるのか。 

改革プランは総花式で信憑性に欠ける。 

病診連携とどの地域から患者が来ているかのデータが必要 



議長・長委員長「今度の診療報酬改定でDPC 急性期病院の報酬が上がると聞いている。診療報酬改定後のシミュレーションが必要である」 



福元委員「3 条予算は単年度のもの、4 条予算は長期にわたるものであり、企業債や繰入金がこれにあたる。企業債を立てる際、全額病院で持つのではなく、市もいくらか投入しているだろう。 

公営企業法全部適用でも職員給与に手を付けることは可能である」 



小山田委員「経営形態変更のメリットを検討する必要がある。建物の負債はゼロからの出発として考えてはどうか。 

専門特化を明確にする必要がある。 

職員に建物償還分の負担を負わせられない」 



議長・長委員長「次回は選択と集中を課題にしたい。悪性新生物・心疾患・脳血管疾患の3点に特化してはどうか」 



栗谷委員「診療科について、選択と集中が課題となる。中央病院は今どこにいて、どこに向かうのか、状況把握のためにもスタッフに説明する必要がある。危機意識の共有が必要。当院は看護師の力が医師を変えた。 

正しい情報の共有が必要である」 



福元委員「3 点(悪性新生物・心疾患・脳血管疾患)に特化するのは反対。赤字でも地域に必要とされる医療を行うのが公立病院である」 



小久保委員(副市長)「現状認識をしないまま、中央病院はここまで来てしまった。職員に損益分岐点を求めても、なかなか出てこなかった」 



議長・長委員長「市民のための病院であるはずなのに、医師のための病院になっている。 

医師の駐車場が患者よりも良い場所にあるのはなぜか?医師駐車場の看板をすぐに撤去するように。 

院外処方も門前薬局がたくさんあり、どうなのか。高齢者が雪の中、わざわざ薬を取りに行かなければならないシステムは問題ではないのか」 



小久保委員(副市長)「病院職員は患者に『お大事に』を言うようにさせたい」 



議長・長委員長「独立行政法人を検討するなら、モデルケースとして国保成東病院を参照にしてはどうか。成東病院は独法化して、10 億円の赤字を削減できた」 



栗谷委員「独立行政法人でも現給保障をしており、退職金なども共済に入る。独立行政法人は利益を出せば皆がハッピーになることができるシステムだ」 



蘆野委員(十和田市立中央病院院長)「この病院に来たとき、すでに大学に医師が引き揚げて、医師不足だった。医師不足対応のために医療機器を購入しているが、皆の理解を得られていないようだ。 

接遇改善は少しずつ良くなっている。職員の笑顔で病院をつくりたいという思いでいる」 



このように、各委員から活発な意見が出され、会議は2時間ほど続いて終了しましたが、傍聴していた市民からは、「中央病院の現状や問題点、この先、どのような経営形態で進めば良いのかが良く分かり、有意義な会議だった」という感想が述べられました。 



今後の会議は、中央病院の経営形態を、地方独立行政法人への移行を有力な選択肢とし、地方公営企業法全部適用も視野に入れて経営建て直しを行うとし、3月まで結ることになっています。