地方独法化病院は「収益重視型」 公立病院の08年度決算状況 週刊医療情報

 

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■地方独法化病院は「収益重視型」/公立病院の08年度決算状況 週刊医療情報インデックス 
2010年8月第4週 (2010.08.17~2010.08.23) 
  

総務省自治財政局地域企業経営企画室の前田一浩室長は19日、山形市で開かれた全国自治体病院協議会東北地方会議で、公立病院の経営形態別の2008年度決算状況に関する資料を提示した。 
地方独立行政法人化した病院は病床規模が大きく“収益重視型”の決算だったのに対し、指定管理者制度で特に利用料金制を採用した病院は病床規模が小さく、決算状況は“経費節減型”の傾向を示した。 

●利用料金制の病院は「経費節減型」 

 前田室長によると、指定管理者制度を導入した公立病院については、経理部分が病院を設置する地方公共団体の病院事業会計から抜け落ちてしまうため、経営状況の全体像を把握するには病院事業会計と指定管理者の決算を合算する必要があったほか、地方独立行政法人化した公立病院のサンプル数が少なく、これまで適切な経営状況の把握ができていなかった。
前田室長は今回提示した資料について「これらの事情を加味して、公立病院の経営形態別にそれぞれ経営上の数値を整理した」と説明した。 

 経営形態別の病院数は、地方公営企業法の一部適用が596病院、全部適用が286病院、指定管理者制度で代行制は34病院、利用料金制は20病院だった。独法化は11病院だった。 

 1病院当たりの平均病床数は、独法化が最も多く427床だった。次いで地方公営企業法全部適用の299床、一部適用の217床、代行制の指定管理者制度の210床と続いた。最も少ないのは利用料金制の指定管理者制度で135床だった。 

 独法化と利用料金制の指定管理者制度の病院について決算状況を比較すると、医業収支比率は103.2%と89.3%で、独法化が大きく上回った。 
また、職員1人当たり平均月収額は59万1036円と48万6823円、病床100床当たり職員数は129.4人と94.0人、患者1人1日当たり診療単価は5万2014円と4万444円で、いずれも独法化が上回った。 
これらの結果を踏まえ前田室長は、独法化は収益重視型、利用料金制の指定管理者制度は経費節減型との見方を示した。 

 前田室長は指定管理者制度と独法化の病院について、経営形態変更前後で決算状況を比較した資料も提示した。 
08年度決算と前年度決算を比較した。比較可能な44病院を対象とした指定管理者制度の病院では、総収支比率は変更前の92.9%から97.2%となり、変更前に比較して27病院が改善した。ただ、悪化したケースも16病院に上った。 

 一方、独法化の病院では、総収支比率は95.5%から102.4%となり、変更前との比較で10病院が改善した。悪化したケースは1病院だった。 

 前田室長は、変更後の経営改善は特に独法化の病院で顕著な傾向にあるとの見方を示す一方、悪化した病院があることを問題視。 
「経営形態を変更する制度はあくまでツールの1つであり、ツールですべて解決できるわけではない」とした上で、「制度変更の目的を整理し、確認することがあらためて必要になる」と強調した。