PFI法施行から10年経過し明らかな失敗と評価される事例も出ているほか、応募者数の低迷、要求水準と予定価格のかい離、契約規定の不明確さなどさまざまな問題点も明らかになってきた。



PFI法施行から10年経過し明らかな失敗と評価される事例も出ているほか、応募者数の低迷、要求水準と予定価格のかい離、契約規定の不明確さなどさまざまな問題点も明らかになってきた。
 
サービス要素が複数で、複雑なインターフェースリスクを抱える公立病院、行刑施設等は案件実現の難しさを露呈した。案件は限定され、参加企業も限られる。 



関東経産局ら/PFI・PPPセミナー開く/応募者数減少の要因など探る 
2009.03.05 日刊建設工業新聞   
  

 関東経済産業局とPFI/PPP推進協議会が主催する「PFI/PPPセミナー」が3日、さいたま新都心合同庁舎で開かれた。 

 PFI法施行から10年経過し、事業総数(実施方針策定ベース)は333件(今年3月末見込み)と広がった半面、明らかな失敗と評価される事例も出ているほか、応募者数の低迷、要求水準と予定価格のかい離、契約規定の不明確さなどさまざまな問題点も明らかになってきた。セミナーでは、3人の報告者が率直に現状の問題点と打開に向けて模索する姿を語った。 

 三井物産戦略研究所の美原融氏は、政府の民間資金等活用事業推進委員会・専門委員の経験から、官民連携の現状を分析。「日本でのPFI事業は、民へのリスク移転が限定的で単純公共事業に近い、庁舎、公営住宅、大学等が主流だが、し烈な競争で費用や手間の面で事業者はペイせず応募者も減少した。サービス要素が複数で、複雑なインターフェースリスクを抱える公立病院、行刑施設等は案件実現の難しさを露呈した。案件は限定され、参加企業も限られる」と述べた。 

 失敗事例の要因のひとつとして『契約・モニタリングの不備』、特に性能発注について未成熟な点を挙げた。推進委員会が近く発表する「PFI事業契約ガイドライン」は「1年近く議論を費やしたもので、議事録の議論過程に注目してほしい」と述べた。 

 指定管理者制度は、自治法上の「公の施設」規定が見直される方向にあるが、「費用削減だけでなく、高いサービスの質の向上・充実を期すること」を強調。交代・引き継ぎの規定が弱いと指摘。市場化テストは、「変な方向へ概念が行ってしまいうまくいっていない。業務を細分化し、裁量範囲をなくし限りなく薄い業務委託になっている」と現状を批判。 

 打開のヒントとして、フランスがハコモノ整備で実施中の「割賦債権を銀行に譲渡する」方法を挙げた。金利軽減、BIS規制クリア(民でなく政府への融資へ)、有利子負債のオフバランス化など関係者のメリットが多く検討すべきだとした。このほか、新潟県南魚沼市が旧議会施設をヤマト運輸のコールセンターとし、雇用を創出した例などの新たな事例を紹介。 

 清水建設投資開発本部の野村正氏=写真=は、民間事業者の立場から「応募者数が毎年減少し1件当たり平均2者程度。新規参入も低迷。07年度は特に価格超過が急増、再入札、応募者なし、事業取り消しも増える傾向だ」と指摘。 

 民間事業者の厳格な事業選別も背景にあるが主な要因は「予定価格と要求水準のミスマッチ」であり、予定価格非公表(国)による失格、浄水場事業での発生土処理など付帯的事業等の抱き合わせ、「民間の甘さによる思惑外れ」もあると述べた。 

 打開策として「『競争的対話』的方式」の導入、官民の対話後予定価格を設定する制度(公共工事品確法第14条)の柔軟な運用を挙げた。 

 八島雄一郎パシフィックコンサルタンツPFI・PPPマネジメント部部長は、官民双方の「安心感」確保の必要な課題を指摘。 

 今後、PFI・PPPを施設の供用開始後に採用する事例が増えることが想定されるとし「関係者協議会の設置が有効なようだ。評価と改善の仕組みのあいまいさを極力排除し、ペナルティーだけでなくインセンティブの仕組みが必要」と述べ、地域要件(地元重視)は「維持管理・建設・修繕など人手を要する仕事を地元企業が担うのは合理的で当然。地元企業のソフト力を養成し、運営型(オペレーション)企業を育成することが必要だ」と述べた。 

日刊建設工業新聞社