函館市病院事業改革プラン策定懇話会・・・「公立病院改革ガイドライン」に示されているように,独立行政法人化,指定管理者制度,民間譲渡などの経営形態の見直しを早急に検討することを提案する



函館市病院事業改革プラン策定懇話会・・・「公立病院改革ガイドライン」に示されているように,独立行政法人化,指定管理者制度,民間譲渡などの経営形態の見直しを早急に検討することを提案する 


病院事業会計*単年度赤字20億円に*08年度函館市*12月の見込み上回る 
2009.03.03 北海道新聞        

 二〇〇八年度函館市病院事業会計の単年度赤字額が、昨年十二月時点の見込みより四億四千八百万円膨らみ、二十億円となることが二日までに分かった。市立函館病院の入院収益の減収が響いた。 

 医療費の定額払い制度導入に伴う、平均在院日数の短縮などが要因。 

 市はこの減収を補てんするため、一般会計から三億円を借り入れる〇八年度同事業会計補正予算案を今定例会に提案している。同案では、一日当たりの一般入院患者数も十二月時点の見込みをさらに見直し、四百六十二人から、四百四十五人に修正している。 

 累積赤字は公立病院特例債の発行で圧縮し、〇八年度末で二十六億千万円となる見通し。 




函館市病院事業改革プラン策定懇話会報告書(案) 
             平成20年11月 

はじめに 
近年,多くの公立病院において,経営状況が悪化するとともに,医師不足に伴い診療体制の縮小を余儀なくされるなど,その経営環境や医療提供体制の維持が極めて厳しい状況になっている。 
こうしたなか,いわゆる財政健全化法の施行に伴い,全会計を対象とした連結決算による経営判断指標の導入により,地方公共団体が経営する病院事業が,事業単体としても,また当該地方公共団体の財政運営の観点からも,一層の健全経営を求められることとなった。 
このため,国では平成19年12月に「公立病院改革ガイドライン」を示し,平成20年度内の「公立病院改革プラン」策定を各自治体に義務づけたものである。 

函館市の市立3病院は,地域の状況や施設規模に違いはあるものの,開設以来,住民のニーズに応え,それぞれ地域における中核的医療機関として大きな役割を果たしてきた。 
しかしながら,度重なる診療報酬のマイナス改定や新臨床研修医制度による医師不足,さらには平成18年度に創設された7対1入院基本料や夜間看護体制の見直しなどによる看護師不足により,非常に厳しい経営状況を余儀なくされているところであり,函館市としての「公立病院改革プラン」の策定が急がれるところである。 
このたび,改革プランを策定するにあたり,それに対して意見を述べる組織として「函館市病院事業改革プラン策定懇話会」が設立され,平成20年6月から計5回にわたる会議を開催したところであり,そこで出された意見等について報告するものである。 



1.懇話会で出された主な意見等 

(1)全般的なことについて 

① 市立3病院は不採算な部門を担っており,これは住民にとって重要な役割であって放棄できるものではない。 

② 民間病院がやれることを公立病院がやれないということはない。 

③ 市立3病院とも維持存続させるためには,もっと赤字幅を圧縮すべきである。 

④ 目標数字の実現のためには,経営の効率化とそれを進める論理的なプロセスが必要である。 

⑤ 経営健全化に障害となるものを,職員一丸となって取り除けるかが重要である。 

⑥ 現場の担当者が健全化策を確実に実行していく明確な意志を持つことが重要である。 

⑦ 病院局内各セクションの連携をもっと深めるべきである。 

⑧ 右肩上がりの改善計画には,実現に向けた明確な根拠が必要である。 

⑨ 誰がいつ何をどうするのかといった具体的なものを明確にして進めないと変わっていかない。 

⑩ 経営改善の内容には,インパクトのある項目が必要である。 

⑪ 全国レベルの指標に到達できるよう努力してもなお生じる赤字については,繰入金の検討対象になると思う。 

⑫ 単に従来どおりの繰入の仕方であれば賛成できない。 

⑬ 独立行政法人化など経営形態の見直しについては,早急に検討すべきである。 


(2)市立函館病院について 

① 函病を残すことは賛成である。 

② 地方センター病院の役割を維持することは必要である。 

③ 他の公立病院と比較して,建物の規模や病床数が少し大きい。 

④ 診療科によってはスリム化を検討する必要がある。 

⑤ 地域の病院や診療所との連携,ネットワーク化を強力に推進すべきである。 

⑥ 使われない病室など余剰施設の有効活用策を検討すべきである。 


(3)市立函館恵山病院・市立函館南茅部病院について 

① 医療というのは効率だけで論じてはならない。2病院は合併して間もないこともあり,現時点では,診療所化等の選択は難しい。 

② 2病院については,将来に向けそのあり方を検討していくべきである。 

③ 2病院が担うべき医療を,地域の歴史や人口構成,地理的要因などを踏まえ,需要の面から検討すべきである。 

④ かかりつけ医となる総合医や家庭医を育てるという教育的な役割も付加して考えることが重要である。 

⑤ 地域医療にあっては,保健・医療・介護の切れ目のない体制の構築が重要であるが,合併後の地域の体制は不十分である。 

⑥ 南茅部病院の病床利用率向上のため,休止している療養病床を早期に廃止し,あわせて病室を改修して入院環境の向上に努めるべきである。 


(4)看護師確保について 

① 看護師を確保するためには「病院のセールスポイント」を明確にして,普段から良好な職場環境をアピールしなければならない。 

② 函館病院で働くメリットを強調すべきであり,それを外に向けて発言するようでなければならない。 

③ 生涯にわたって看護職を育てる教育プランと職場環境の良さが人を引きつける。 

④ 看護学生にとって病院実習での体験は就職先を決めるうえで大きなウエイトを占める。 

⑤ 実習学生に対する教育について戦略をもって取り組むことが大事である。 

⑥ 他の看護師養成施設等の訪問をもっと積極的,かつ戦略的に行うべき 
である。 

(5)経費削減について 
① 民間病院と比較して,材料費,委託費などが高い。 

② 前例にとらわれず,購入方法の見直しなどを積極的に検討すべきである。 

③ 業務委託や物品購入などの契約に当っては,競争性がより強く働く方法を導入すべきである。 

④ 光熱水費や燃料費などは,更に節減できる余地がある。 

⑤ 事務職員のプロパー化を推進すべきである。 



2.まとめ 
現時点においては,3病院の機能を維持するという前提で経営改善を求める。 

(1)経営改革・改善には,「入り」を量りて「出る」を制すると共に,その実施のための意欲が必要である。 

① 収入増のためには,患者数の増と単価の増が必須であり,診療報酬の改定に迅速に対処できる病院の運営が必要になる。現状では,看護師の数が入院患者数に大きな影響を与えていることから,看護師の採用の促 
進が肝要であるが,そのハードルは高いと見受けられる。併設している市立函館病院高等看護学院はもとより,全国の看護師養成機関からの採用を戦略的に進めるべきである。 
また,病院収入は医師の数と技術に負うことが大きいので必要診療科の医師の充足・確保は重要である。 
しかし,十分な医師や看護師の確保が非常に難しい現状を考慮すると,こうした看護師と医師の確保による増収策を掲げるだけでは十分とは言えず,現体制の中で入院・外来患者の増加対策,さらにはDPCを踏まえた収益構造の改善を図るなど,より多様な策を検討すべきである。 

② 支出削減については,一部,医療材料費,委託費,経費の削減努力は見られるが,一時的な成果とならないよう,継続的に成果を出していくための担当組織の整備とシステムの構築を強く求める。また,各診療科 
の実績等現時点での個別業務に分解した採算性のチェックがなされておらず,収益に対する費用の問題点の把握が十分に出来ていない。より強力に支出削減を行うためにも組織的な徹底した現状分析を行い,数値的 
な評価を実施することを強く求める。 

③ 経営改善に向け,病院全体として全職員が難局に対応するという問題意識を持つことが必要と考える。医療現場には多くの困難な問題があることは認識できたが,全ての職員が病院事業を遂行している当事者としての問題意識を持ち,日々の業務において常に改革を行うという目線で自己の業務を見直していただきたい。 
( 
2)一般会計から繰り入れを増額することで収支改善を図るという今回の案は,市民感情としては単純には受け入れ難いところがある。他自治体の改革例なども参考に,さらに内部努力を行うことを求める。 
また,「公立病院改革ガイドライン」に示されているように,独立行政法人化,指定管理者制度,民間譲渡などの経営形態の見直しを早急に検討することを提案する。 
以上のとおり,本懇話会では,それぞれの委員から様々な意見等が出されたところであるが,こうした意見等を踏まえた「まとめ」の指摘事項を十分考慮して,より踏み込んだ「函館市病院事業改革プラン」を策定していただきたい。 
最後に,一般会計からの一定の支援を受けつつも,早期に収支の均衡を図り,病院事業の健全化を実現する努力を病院局全職員に求めるものである。