岩手県内市町村の公立医療機関で唯一導入した指定管理者制度が奏功・・・似内裕理事長(64)は「公立時代に本気に取り組んでいなかった経費削減を徹底させた成果だ」と胸を張る。



岩手県内市町村の公立医療機関で唯一導入した指定管理者制度が奏功・・・似内裕理事長(64)は「公立時代に本気に取り組んでいなかった経費削減を徹底させた成果だ」と胸を張る。
 


どうする地域医療 岩手/花巻市石鳥谷医療センター、民営化で黒字達成へ 
指定管理者制度が奏功/コスト削減、患者は増/民活導入に在り方問う声も 
2009.02.24 河北新報  
  
 市立の診療所で赤字経営だった花巻市石鳥谷医療センターが、民営化によって本年度の黒字がほぼ確実となった。コスト意識を徹底しながらサービス向上を図り、岩手県内市町村の公立医療機関で唯一導入した指定管理者制度が奏功。だが、医療関係者には民間活力に否定的な見方をする人もいて、地域医療のあり方に一石を投じそうだ。 

 この医療センターを運営するのは医療法人中庸会(花巻市)。診療所や老人保健施設を経営し、2008年度に市から引き継いだ。市や法人によると、昨年4月以降、センターの入院患者は一日平均で10.0人(前年度5.2人)、外来患者は67.9人(同43.8人)と増え、初年度の黒字は達成できそうだという。 

 黒字経営はコスト意識を持ちながら各種サービスアップに努めたことだ。脳卒中の後遺症に悩む患者らへのリハビリ設備を充実させる一方、市運営時に年間300万円もかけていた清掃経費を3分の1に減らしたり、薬も院内処方から院外処方へ切り替えたりした。 

 似内裕理事長(64)は「公立時代に本気に取り組んでいなかった経費削減を徹底させた成果だ」と胸を張る。 

 中庸会は約3キロ離れた近所に別の診療所を持ち、互いの医師が連携できることも大きいという。 

 センターはもともと赤字続きだった。一般会計からの繰入額は毎年1億2000万-1億3000万円。唯一の常勤医師も07年度末には定年退職が迫っていた。 

 花巻市は指定管理者制度の活用で公設民営化を模索。独立採算を条件とした中庸会との契約について「市として新たな支出もなくなり、ほっとしている」と藤井広志・保健福祉部長は話す。 

 総務省が2007年12月に公表した「公立病院経営改革ガイドライン」は3年以内の黒字化達成を求める内容になっており、自治体病院の民営化は全国で加速しつつある。 

 こうした流れに、県立中央病院の元院長で自治体病院経営に詳しい樋口紘医師は否定的な見方を示す。「医療には不採算だが住民に不可欠な部分がある。例えば過疎地や救急・産婦人・小児の医療などで、これが民営化によって切り捨てられる恐れがある」と指摘する。 

 関係者が例に挙げるのが、廃止された岩手労災病院の後継として07年4月開院したイーハトーブ病院(花巻市)。医療法人を誘致した市は、無償貸与する施設の取得や3年間の運営補助に総額11億円を支出するが、診療科は13科から5科に縮小、外来患者も大幅減となった。 

 地域医療での民間活力はどうあるべきか。似内理事長は、岩手県医療局が6カ所の県立病院・地域診療センターの無床化を進める計画に言及しながら、 

「採算の問題はある。だが、開業医は街にあふれている。県は民力を利用できるか、時間をかけて(県民と)議論すべきだったのではないか」と語った。 

<花巻市石鳥谷医療センター>前身は1963年開院の旧石鳥谷町立石鳥谷病院。2000年に移転新築して診療所化し、合併後は花巻市が引き継いだ。08年4月から医療法人中庸会が市の指定管理者。診療科は内科、外科、脳神経外科、リハビリテーション科、麻酔科の5科。19床。