高知県議会 予算案可決時、「SPCの協力姿勢に変化が見受けられない場合は、PFI事業を継続しないことで経営改善を図ることも視野に入れるべきだ」などとした付帯決議案を全会一致で採択



高知県議会 予算案可決時、「SPCの協力姿勢に変化が見受けられない場合は、PFI事業を継続しないことで経営改善を図ることも視野に入れるべきだ」などとした付帯決議案を全会一致で採択

議会側から「パートナーとして誠意ある対応を」(元木益樹県議)などと指摘されたSPCの間渕豊社長は「(協議では)われわれの考え方も示し、企業団の考えも真剣に検討する」「業務水準をどのレベルまで落とすのかが(協議の)ポイントになる」との考えを示した。 


高知医療センター:経営改善で企業団、PFIの見直しも 財政効果、今一つ /高知 
2009.02.19 毎日新聞  
  

 高知医療センターを運営する県・高知市病院企業団は18日、病院経営の改善を図るため、医療行為以外の運営を民間に委託したPFI事業の大幅な見直しも含めた検討を始める方針を明らかにした。薬品などの材料費の圧縮が進まないなど「PFI事業の財政的な効果が発揮できていない」と分析。いったん策定していた「公立病院改革プラン」を来年度中に練り直す。 

 議会で企業団は、13億8600万円の赤字を見込んだ来年度(09年度)予算案を提出。また、今年度の決算見込みを昨年12月時点の赤字21億7500万円から23億300万円の赤字に下方修正。累積赤字も今年度末で81億円に上るという。 

 決算見込みでは、医業収益に占める材料費の割合は32・16%で、契約時の目標(23・4%)を大幅に下回った。企業団は材料費の圧縮など収支改善のため、ほぼ策定を終えていた改革プランについて、委託先の「高知医療ピーエフアイ」(SPC)と共に検討し直す。現行のプランでは2011年までの3年間で8億6000万円の経費削減を見込んだが、SPCは協力を拒否しており、今後、意見の食い違いを埋められるかが課題になる。 

 これに対し、議会は予算案可決時、「SPCの協力姿勢に変化が見受けられない場合は、PFI事業を継続しないことで経営改善を図ることも視野に入れるべきだ」などとした付帯決議案を全会一致で採択。企業団とSPC協力の下での早期の経営改善を求めた。【服部陽】 



高知医療センター議会 経営改善求め予算可決  全会一致で付帯決議 
2009.02.19高知新聞   
  

 高知医療センター(高知市池)を運営する県・高知市病院企業団の企業団議会(議長=樋口秀洋県議)は十八日の定例会で、同センターの「経営改善と医療体制の維持向上」を求める付帯決議案を可決した上で、資金不足を補う県、高知市からの借入金計七億六千二百万円を含む平成二十年度補正予算案と、二十一年度当初予算案をいずれも全会一致で可決した。(小笠原敏浩)=26面に関連記事 

 企業団が特定目的会社(SPC)と運営体制の見直し協議に入る方針を受け、坂本茂雄氏(県議)が付帯決議の必要性を主張。二十一年度予算案が医業収益や材料費で二十年度決算見込みと開きが大きく、「根拠のない数字」「実態に合わない予算をそのまま認めづらい」などとして全議員で提出した。 

 決議は、今後の運営見直し協議でSPC側の姿勢に変化が見られない場合には「PFIを継続せずに経営改善を図る」選択肢も視野に入れるよう求めながら、「基幹病院としての医療の質の確保」と「早期の経営改善に向けた不断の決意」を求める内容。 

 定例会と議員協議会で、山崎隆章企業長はSPCとの協議はPFI効果の検証を重視し、年内に方向性を出す方針も説明し、付帯決議には「重大な決意で取り組む」と強調。質疑で契約解除の考えをただした米田稔氏(県議)に対し、「そうならないような道を探る」と答える一方、「いろんな選択肢も含めて検討する」とも述べた。 

 議会側から「パートナーとして誠意ある対応を」(元木益樹県議)などと指摘されたSPCの間渕豊社長は「(協議では)われわれの考え方も示し、企業団の考えも真剣に検討する」「業務水準をどのレベルまで落とすのかが(協議の)ポイントになる」との考えを示した。 




高知医療センター 運営体制見直し協議へ 企業団とSPC  経営改善策棚上げ   【解説】 
2009.02.13高知新聞   
  

 県・高知市病院企業団は十二日までに、経営危機に直面している高知医療センター(同市池)の運営体制を見直すため、PFI事業委託先の特定目的会社(SPC)と今春から集中協議に入る方針を決めた。これに伴い、いったん策定した収支改善プランは棚上げとなる。具体的な経営改善策の実行を一年間繰り延べする形で、抜本策を探る考えだ。(小笠原敏浩) 

 同センターは平成二十年度末に資金ショートに陥る見通し。企業団は二十三年度末までに収支改善を図る改革プランを策定したが、SPCが経費削減要請に難色を示したため、「(病院運営の)現行スキームを見直す必要がある」とする尾崎正直知事の意向も踏まえ、時間的猶予を確保した上で運営体制そのものを検討すべきだと判断した。 

 SPCの中核企業であるオリックス側も尾崎知事らに収支全体の見直しを促しており、企業団は財政支援を要請している県、高知市にも今回の方針への理解を求める考え。国が求める公立病院改革プラン(三年後の黒字化)の策定先送りも、所管する総務省と折衝する。 

 企業団、SPCの集中協議はPFI契約に規定される「経営企画協議会」(会長=山崎隆章企業長、十人)を想定。PFI効果の検証、業務水準の在り方、契約内容などがテーマになる見通し。 

 現在も両者の協議の場はあるが、企業団は「(契約をめぐる)法的見解も踏まえながら踏み込んだ議論をしたい」としている。 


 
 * 資金不足 県市が穴埋め  20年度補正 7億6200万円を折半 

 県・高知市病院企業団は十八日の企業団議会に、高知医療センターの平成二十一年度当初予算案と二十年度補正予算案を提出する。補正では二十年度末に生じる見込みの資金不足七億六千二百万円に対応するため、県と同市から各三億八千百万円を借り入れる方針。 

 二十一年度当初予算案は策定中の収支改善策を反映させずに編成。医業収益は、高水準だった二十年度後半の実績や入院医療費の「包括払い制度」の導入(増収効果約一億円)などを基に、前年度当初比3・0%増の百三十七億七千六百万円を計上した。 

 経費のうち経営を左右する材料費は同5・6%増の三十六億一千七百万円。収支見通しは十三億八千六百万円の赤字で同1・5%増。現金支出を伴わない減価償却費などで補てんし、一千万円余りの内部留保を確保する。 

 ただ、二十年度決算見込みとの比較では、医業収益は約六億七千万円多く、材料費は逆に約二億一千万円少なく見積もっており、患者増や材料費圧縮が実現できなければ赤字幅の拡大や資金ショートを招く可能性がある。(小笠原敏浩) 


 
 【解説】 迫られる「協働」の再構築 

 高知医療センターの経営危機で、県・高知市病院企業団は特定目的会社(SPC)と集中協議する方針を決めたが、経営改善への具体的な道筋が見えているわけではなく、協議の行方も不透明だ。 

 そもそも、医療センターの赤字は開院以来続く構造的な問題。それが平成二十年度末に資金ショートに陥る見通しになり、民間病院なら“倒産”の危機に直面。県と市から財政支援を受ける必要が生じ、収支改善へ何らかの“約束手形”が不可欠になった。 

 企業団は収支両面から計十九億円の改善策をまとめたものの、SPCに経費削減を拒否されたことで手詰まり状態に。現段階で示せる手形は「とにかく協議」しかなかったのが実情だ。 

 現状では経営改善につながる大幅な収益増などは期待できず、改善策の実行が先送りされればそれだけ県民負担が増えるのも事実。二十二年度からの抜本改革を考えれば、今秋までに一定の結論を出す必要があるが、協議は基本方向をどう設定するか入り口から難航する恐れもある。 

 全国初の病院PFIとしてスタートした地域拠点医療の存続と健全化のために、何がベストか。企業団議会や県市両議会には契約解除の声もくすぶるが、PFI契約継続を前提とする尾崎正直知事の方針に沿えば、「官民協働」をあらためて構築し直すしかない。(政治部・小笠原敏浩)