改革ガイドラインの狙いは 公立病院を残すことが前提で、その選択肢を提供した。自治体と病院が共倒れにならないように集約化とネットワーク化を提示した



改革ガイドラインの狙いは 
公立病院を残すことが前提で、その選択肢を提供した。自治体と病院が共倒れにならないように集約化とネットワーク化を提示した。 


 核心 公立病院改革案 提出期限迫る 住民の安心感 醸成を 増田寛也前総務相に聞く 『地方の現状 国聞かず』 『知事会も議論怠った』 
2009.02.23中日新聞   
  

 経営難に苦しむ全国の自治体病院に、総務省が求めている「改革プラン」の提出期限が来月に迫った。三年以内の経営効率化を求める国に対し、医療現場からは「財政偏重で拙速すぎる」との批判も漏れる。知事経験者として地方の医療問題にも詳しく、「改革ガイドライン」の策定に当たった増田寛也前総務相に、公立病院経営の問題点や改革プランの効果について聞いた。(社会部・安藤淳) 

 ■共倒れを防止 

 -なぜ改革ガイドラインを策定したのか。 

 自治体病院は欠くべからざるもので、機能を発揮させるには見直す部分は見直さなければいけない。決して強制ではない。地元の知恵を入れて自治体病院を活用してほしい。 

 -公立病院は民間があまり扱わない医療分野を引き受けるため、ある程度赤字でも仕方ないとの意見がある。 

 へき地医療や感染症患者を収容する空きベッドなど、政策医療を担う自治体病院が常に黒字というのは考えづらい。だが、一方であまりにも経営がずさんで、給料が高いなどの問題もある。 

 -改革ガイドラインの狙いは。 

 公立病院を残すことが前提で、その選択肢を提供した。自治体と病院が共倒れにならないように集約化とネットワーク化を提示した。 

 -プランを提出しないと交付税を減らされるのでは、という懸念が自治体にある。 

 過疎地域や産科、小児科は交付税を増やさなければいけない。二〇〇九年度予算は交付税は上乗せになっている。国がプランをつくらなければ交付税を減らすと脅しに使うのはおかしい。むしろ、自治体は地域医療の将来像を示す改革プランを進んで作成し、住民の安心感を醸成すべきだ。将来像を示さなければ自治体も無責任になる。 

 ■学閥の弊害も 

 -医療崩壊は医師不足と診療報酬の引き下げが主因とされる。本紙が実施したアンケートでは、厚生労働省と総務省の縦割り行政を廃して考えてくれないかという声がある。 

 もちろん国の責任は大きい。国は以前、医師過剰と閣議決定までして大学医学部の定員を減らした。私が自治体病院開設者協議会の会長の時、国に何度も地方の現状を言ったが、聞く耳を持ってくれなかった。かといって自治体サイドで医療を真剣に考えているかと言えば疑問だった。都道府県は国任せで全国知事会でも大きな議論はなかった。こうなってしまった今、崩壊寸前の医療についてそれぞれの立場で熱心にやらなくてはいけない。 

 -十分な医師が確保できず、岩手県は昨年暮れ、県立病院六カ所の無床化計画(入院ベッド廃止)を発表し、混乱している。 

 医師不足の背景には大学ごとの学閥の弊害がある。岩手では岩手医大と東北大、自治医大が地域のことを考え、学閥を乗り越えていかないといけない。 

 ますだ・ひろや 1977年東大法学部卒、建設省(現国土交通省)入省。建設業課紛争調整官を最後に退職し、95年岩手県知事に初当選。3期務めた後、2007年8月から08年9月まで総務相。東京都出身。57歳。 

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 本紙調査 半数が『直営見直し』 

 経営難が財政直撃 

 公立病院改革ガイドラインでは、病院の経営効率化を三年以内に、再編や統合、民間譲渡など、経営形態の見直しは五年以内に実現を図る改革プランの策定を各自治体に要請。〇八年度中の提出を求めている。病床利用率などの数値目標を義務付け、利用率が三年連続で70%未満の病院には、診療所への転換など抜本改革を求めている。 

 本紙が関東一都六県の公立病院を対象に行ったアンケートでは、半数余りの四十九病院が自治体直営方式の見直しを検討しており、経営難が自治体財政を直撃している。見直し後の経営形態は、非公務員型の地方独立行政法人化が最も多く35%を占めた。他病院との再編・統合を検討している病院は26%にとどまった。