互いに引っ張り合っても仕方がない。袋井と掛川が協力してやったことを全国にアピールしてほしい」。男性が会場から訴えると、約300人の市民から拍手が起こった。

 








互いに引っ張り合っても仕方がない。袋井と掛川が協力してやったことを全国にアピールしてほしい」。男性が会場から訴えると、約300人の市民から拍手が起こった。 




[医療改革・提言](2)病院統合で財政負担減(連載)=静岡 

2009.02.25読売新聞   

  



 
◇静岡の現場から 



 今月7日。掛川市立総合病院と袋井市立袋井市民病院を統合して新病院を設置する計画について、袋井市立中央公民館で「市民報告会」が開かれた。 



 「互いに引っ張り合っても仕方がない。袋井と掛川が協力してやったことを全国にアピールしてほしい」。男性が会場から訴えると、約300人の市民から拍手が起こった。 



 異なる市町村間での公立病院同士の統合は全国初の試み。報告会では、両市でつくる新病院建設協議会の会長を務めた佐古伊康・しずおか健康長寿財団理事長が「病院統合は良い医療を提供するための手段。連携、機能分担が大事で、住民の理解や協力も欠かせない」と呼びかけた。 



 医師不足、相次ぐ診療科の休診、増える空きベッド……。地域医療の衰退が止まらない。その打開策として、病院統合の動きがある。 



 両病院は施設・設備の老朽化が進む。掛川、袋井両市が別々に新病院を作るのは財政負担が大きく、非効率だ。一つに集約すれば負担減になり、経営規模拡大で診療科の充実も果たせる。 



 2007年末から月1回のペースで協議会を開き、新病院の将来像や規模、経営形態などを話し合った。最後まで難航した新病院の建設場所も、両市境に近い掛川市下俣地区で決着した。500床規模で、2012年度末の開院を目指す。 



     ◎ 



 市町村合併が簡単には進まないのと同様、自治体病院同士の統合も容易ではない。両病院の統合合意は「奇跡的」とも言われる。 



 病院統合とともに、広域連携や役割分担も地域医療を支える重要な手段になる。沼津夜間救急医療センター(沼津市日の出町)は1977年、夜間の1次救急を担うため、沼津市や周辺自治体が共同で設置した。07年12月に新築移転し、内科、小児科に加えて外科を新設。沼津、三島、裾野市など3市3町で運営する。 



 診療は原則、午後8時半~翌午前7時。沼津医師会や地元病院の医師を中心に、午後11時半までは各科1人ずつの3人態勢、その後は2人態勢となる。平日夜間は50~60人、休日は約100人が受診する。これで、沼津市内の病院は2次救急に専念できる。 



 同センターの移転新設まで、外科の1次救急当番に入っていた聖隷沼津病院(同市本)の餌取(えとり)和美院長(52)は、「夜間の1次救急をこなしていた時はみな疲れ切っていた。センターのおかげで、病院の負担はかなり減った」と話す。 



 それでも、センターで朝まで勤務し、そのまま通常勤務となる医師が大半だ。60歳代で月6回の当直をこなす医師もいる。負担を分け合ってはいるが、軽いとは言い難い。医師の支援体制を考える必要がある。 





 
〈提言要旨〉 



 ◆緊急対策 たらい回し防止開業医も病院救急に積極参加 



 ◆構造改革 医療機関の役割分担と連携強化 



 医療の高度化や少子高齢化など社会情勢の変化に合わせ、地域医療の提供体制を再構築する必要がある。 



 まず、地域にある複数の病院の集約化がカギになる。どんな病院でも、すべての診療科や医師、高度な医療機器をそろえようとすれば無理が出てくる。類似した診療分野や規模を持つ病院を集約し、拠点病院を決めて医師の集約と再配分を行う。規模が縮小する病院には、拠点病院がバックアップ体制を取る。 



 開業医側の協力も欠かせない。地区医師会で、時間外診療所を設けたり、輪番で夜間・休日診療にあたったりしているところもあるが、患者の病院志向は根強い。基幹病院と医師会が協力し、開業医が夜間や休日の病院勤務に参加する体制をつくる。 



 また、夜間や休日でも医師や看護師らが相談に応じる電話窓口を設けるなど、不要不急の救急搬送や受診を減らす工夫も必要だ。