高知医療センターの赤字は開院以来続く構造的な問題。それが平成二十年度末に資金ショートに陥る見通しになり、民間病院なら"倒産"の危機に直面



高知医療センターの赤字は開院以来続く構造的な問題。それが平成二十年度末に資金ショートに陥る見通しになり、民間病院なら“倒産”の危機に直面。県と市から財政支援を受ける必要が生じ、収支改善へ何らかの“約束手形”が不可欠になった。 
企業団は二十三年度末までに収支改善を図る改革プランを策定したが絵に描いた餅! 



高知医療センター 運営体制見直し協議へ 企業団とSPC  経営改善策棚上げ   【解説】 
2009.02.13高知新聞   
  

 県・高知市病院企業団は十二日までに、経営危機に直面している高知医療センター(同市池)の運営体制を見直すため、PFI事業委託先の特定目的会社(SPC)と今春から集中協議に入る方針を決めた。これに伴い、いったん策定した収支改善プランは棚上げとなる。具体的な経営改善策の実行を一年間繰り延べする形で、抜本策を探る考えだ。(小笠原敏浩) 

 同センターは平成二十年度末に資金ショートに陥る見通し。企業団は二十三年度末までに収支改善を図る改革プランを策定したが、SPCが経費削減要請に難色を示したため、「(病院運営の)現行スキームを見直す必要がある」とする尾崎正直知事の意向も踏まえ、時間的猶予を確保した上で運営体制そのものを検討すべきだと判断した。 

 SPCの中核企業であるオリックス側も尾崎知事らに収支全体の見直しを促しており、企業団は財政支援を要請している県、高知市にも今回の方針への理解を求める考え。国が求める公立病院改革プラン(三年後の黒字化)の策定先送りも、所管する総務省と折衝する。 

 企業団、SPCの集中協議はPFI契約に規定される「経営企画協議会」(会長=山崎隆章企業長、十人)を想定。PFI効果の検証、業務水準の在り方、契約内容などがテーマになる見通し。 

 現在も両者の協議の場はあるが、企業団は「(契約をめぐる)法的見解も踏まえながら踏み込んだ議論をしたい」としている。 



* 資金不足 県市が穴埋め  20年度補正 7億6200万円を折半 

 県・高知市病院企業団は十八日の企業団議会に、高知医療センターの平成二十一年度当初予算案と二十年度補正予算案を提出する。補正では二十年度末に生じる見込みの資金不足七億六千二百万円に対応するため、県と同市から各三億八千百万円を借り入れる方針。 

 二十一年度当初予算案は策定中の収支改善策を反映させずに編成。医業収益は、高水準だった二十年度後半の実績や入院医療費の「包括払い制度」の導入(増収効果約一億円)などを基に、前年度当初比3・0%増の百三十七億七千六百万円を計上した。 

 経費のうち経営を左右する材料費は同5・6%増の三十六億一千七百万円。収支見通しは十三億八千六百万円の赤字で同1・5%増。現金支出を伴わない減価償却費などで補てんし、一千万円余りの内部留保を確保する。 

 ただ、二十年度決算見込みとの比較では、医業収益は約六億七千万円多く、材料費は逆に約二億一千万円少なく見積もっており、患者増や材料費圧縮が実現できなければ赤字幅の拡大や資金ショートを招く可能性がある。(小笠原敏浩) 



【解説】 迫られる「協働」の再構築 

 高知医療センターの経営危機で、県・高知市病院企業団は特定目的会社(SPC)と集中協議する方針を決めたが、経営改善への具体的な道筋が見えているわけではなく、協議の行方も不透明だ。 

 そもそも、医療センターの赤字は開院以来続く構造的な問題。それが平成二十年度末に資金ショートに陥る見通しになり、民間病院なら“倒産”の危機に直面。県と市から財政支援を受ける必要が生じ、収支改善へ何らかの“約束手形”が不可欠になった。 

 企業団は収支両面から計十九億円の改善策をまとめたものの、SPCに経費削減を拒否されたことで手詰まり状態に。現段階で示せる手形は「とにかく協議」しかなかったのが実情だ。 

 現状では経営改善につながる大幅な収益増などは期待できず、改善策の実行が先送りされればそれだけ県民負担が増えるのも事実。二十二年度からの抜本改革を考えれば、今秋までに一定の結論を出す必要があるが、協議は基本方向をどう設定するか入り口から難航する恐れもある。 

 全国初の病院PFIとしてスタートした地域拠点医療の存続と健全化のために、何がベストか。企業団議会や県市両議会には契約解除の声もくすぶるが、PFI契約継続を前提とする尾崎正直知事の方針に沿えば、「官民協働」をあらためて構築し直すしかない。(政治部・小笠原敏浩)