観音寺、三豊市の一般会計からの繰り入れはすべて国の交付税で賄っており、両市の自主財源からの繰り入れは七年連続で実質ゼロの同組合。立地条件やその地域で求められる医療など自治体病院を取り巻く環境はそれぞれ異なるのは承知しているが、赤字に悩む病院関係者が参考にできる



観音寺、三豊市の一般会計からの繰り入れはすべて国の交付税で賄っており、両市の自主財源からの繰り入れは七年連続で実質ゼロの同組合。立地条件やその地域で求められる医療など自治体病院を取り巻く環境はそれぞれ異なるのは承知しているが、赤字に悩む病院関係者が参考にできる 



旬の話題を分かりやすく NEWS WATCH(ニュースウオッチ)=三豊総合病院の新棟整備 100億投資生む健全経営 好立地や専門医療が奏功 
2009.02.23四国新聞   
  

 観音寺、三豊両市でつくる三豊総合病院組合(観音寺市豊浜町)が、来月から大規模な病院棟の整備事業に乗り出す。設備投資を含めた総事業費は百億円の見込み。最近では千葉県内の自治体病院が休止に追い込まれるなど、全国の八割近くの自治体病院が赤字経営を強いられている現実がある。県内でも半数超の自治体病院が採算が合わない窮状にあえぐ中、なぜこの地方病院にこれほどの大型投資が可能なのか。その理由を探った。 

 平日の診察受け付けが始まる午前七時半から病院玄関前の道路は来院者の車が絶え間なく行き交う。日中は病院棟から最も近い約四百台ある駐車場はほぼ満車状態が続く。愛媛、徳島などの県外ナンバーも目に付き、四国の中央部の地域医療を担う拠点病院であることがうかがえる。 

 地理的メリットが生み出す広い医療圏は観音寺、三豊市の西讃地域だけでなく、隣の愛媛・四国中央市や徳島・三好市もカバー。これらの地域に同規模の基幹病院がないという立地条件も重なり、西讃以外の患者が全体の20%近くに上る。 

 「これでも外来患者は減ってきているんですよ」。経営の実務上の責任者である保健医療福祉管理者の広畑衛氏はこう説明する。外来患者は二〇〇二年度をピークに減少傾向にあり、〇七年度の一日平均は千二百三十人。高松市の県立中央病院は千九十人で、患者数の突出ぶりが際だつ。 

 一方で決算をみれば、総収益からの総費用の差し引き額は〇四年度から右肩上がり。なぜ外来患者が減少しているのに黒字が増えるのか。広畑氏は「地域の病院連携により、外来は地域のかかりつけ医にできるだけ診てもらうようにしている。この病院でなければならない専門医療を必要とする患者を積極的に受け入れた結果、入院収益が上がった」と強調する。 

 今回の新病棟の整備事業は「過去最大規模」。事業費百億円には、同組合が積み立てている基金から取り崩す七十億円を充て、残りを起債で借り入れる。「総収益に対して起債総額は50%以内、毎年度の減価償却は10%以内にとどめるのが自治体病院の運営手法。これまでもこの経営方針に従って、設備投資を行ってきた」(広畑氏)。今回も両市の自主財源からの繰り入れは予定しておらず、整備事業が完了する四年後の起債総額は五十五億円以内に収まる見通しだ。 

 〇七年度の黒字額約九億千万円は、県立白鳥病院の一億二千万円を大きく引き離して県内の自治体病院の中で断然トップ。県自治振興課が「90%を超える高い病床利用率と医業収益に対する職員給与の比率の低さが特に目を引く」と分析するように、健全な病院経営は経営努力や地理的条件など複数の要因に支えられているといえる。 

 新病棟の整備の柱である「新西棟」が完成する二年半後には、高度な救急救命医療に対応できるハード面が整う。今後に向け、広畑氏は「地元医師会や地域の先生方に協力を仰がなければならないが、人員面の体制を整えて、将来的には救急救命センターに名乗りを上げたい」と意気込む。 



◎eye=赤字に悩む現場の参考に  

 「医療機器の更新は患者の利益になるだけでなく、最新機器の導入を願う医療スタッフのモチベーションの維持にもつながる」。三豊総合病院組合保健医療福祉管理者の広畑衛氏は設備投資のメリットをこう指摘する。 

 地理的条件や経営努力が好循環を生み、同組合は身の丈に合った経営を続けてきた。一方で、多くの赤字の自治体病院は経営の健全化に向けて努力していても、なかなか黒字転換できないのが実情のようだ。 

 ただ赤字部門の安易な縮小の流れについて、広畑氏は「不採算の小児科などを続けていくのも自治体病院の役割。赤字であっても病院の存在価値を示した上で、住民に負担を願うべき」と警鐘を鳴らし、収益を追求するだけでない自治体病院のあり方の難しさを訴える。 

 観音寺、三豊市の一般会計からの繰り入れはすべて国の交付税で賄っており、両市の自主財源からの繰り入れは七年連続で実質ゼロの同組合。立地条件やその地域で求められる医療など自治体病院を取り巻く環境はそれぞれ異なるのは承知しているが、赤字に悩む病院関係者が参考にできる点は多くあるはずだ。(観音寺支局・大林洋平)