共立湊病院組合議会 視察研修報告書



共立湊病院組合議会 視察研修報告書 
平成21 年1 月22 日 町立三春病院(福島県田村郡三春町) 
平成21 年1 月23 日 常陸大宮済生会病院(茨城県常陸大宮市) 
平成21年1月30日 
共立湊病院組合議会 
議 長 伊藤 英 雄 


1.視察研修のまとめ 

1.プロポーザル方式は、建設費および建設期間において優位性がある。 予め選任した指定管理者が参加して設計が進められることから減価償却費の負担が可能な範囲での建設費となり、機能的で華美や無駄な経費を節約できる。 
施設面では、順天堂静岡病院と遜色なく仕上がっており公立病院ガイドラインに、沿った建設で不安はありません。 

2.
指定管理者は公募によって最適な管理者を指定できる。 
指定管理者は、公募条件を満たすことはもとより、地域医療に対する理念・哲学も大事な要素であり、公募によるプレゼンテーションは有意義な方法である。 

3.
組合及び市町がしっかりした理念やビジョンを持っている事が大切である。 
組合及び市町が、どういう町づくり、どういう医療を提供していくのかなど病院を中心にしっかりした理念やビジョンを持っている事が重要である。 
同時に、規模や知名度でなく医療に対するしっかりとした理念、信念を持つ医師集団を指定管理者に選任することが大切である。 
視察先は、明確な理念・ビジョンがあったからこそ厳しい医療環境の中でも指定管理者・医師を確保できたのである。 

4.
引き続き自治医大との連携を継続・強化する必要がある。 地域医療振興協会と自治医大は別の団体であり、共立湊病院は、現在自治医大の全国に8 つしかない重点・拠点病院に指定された施設である。 
これは、僻地医療に貢献する自治医大の使命から指定されているもので、引き続き支援を受けるためには、県の位置づけと市町の熱意が大切である。 

5.
病院組合及び組合構成市町の総力を挙げた取り組みが大切である。 


2.町立三春病院について 
病院建設の経過や施設概要は、資料1として添付してあります。 

① 
プロポーザル方式(設計・施工一括発注)での病院建設に問題はない。 
聞き慣れない方法での入札、坪単価60万円での施工は県の積算基準等からすると極めて低い額であり、その実物を見学する事は研修の大きな目的であった。 
議員がマイクロバスから降りて見た病院は「これが坪60万円で出来た病院か?」と信じられないくらい立派な病院であった。 
施設も隅々まで見学したが、安っぽさを感じる事は全く無かった。又、工期が短い事もこの方式の特徴である。 三春町では、提案から実施設計、工事完成まで、「1年4ケ月間の短期間」で完成している。 
医療施設について専門的な知識も経験も無い職員が施設の概要を決め、経験の無い設計士が設計し、実績の無い業者が積算基準に基づいて高額で使い勝手の悪い施設を建設するよりも合理的で効果的な方法と言える。 
指定管理者に「減価償却費の負担を求める。」ことで豪華な施設や無駄な機器購入は抑制される。又、「10年の瑕疵担保保証を求める。」ことで手抜き工事などもけん制出来ると考える。 
23年3月を目標に新病院を建設するという「答申」や、運営会議・議会全員協議会での合意と残された期間を勘案すると、プロポーザル方式による病院建設しか方法は残されていないと考える。 

② 
公共工事単価・歩掛抜きで「民間並みの建築単価」を実現している。 
建築費の増大は減価償却費・経費の増加となって、病院運営にマイナスの影響を及ぼす。 
公立病院ガイドラインは民間並みの建築を求めており、正に病院建設の核心となる問題である。 
三春町立病院を見て、公立病院ガイドラインの基準で建設することに躊躇なく取り組まれたい。 
また、「10年の瑕疵担保保証」は一体となった条件である。 

③ 
指定管理者の「減価償却費の負担」は原則である。 
病院経営の視点から求められる事であるが、病院建設においては「民間の感覚、現場の意見」で設計される為に、民間のノウハウを活用した費用圧縮が実現している。 
指定管理者にとっても利便性が高いものとなり、減価償却費の軽減化が図れる施設 
整備は大きなメリットがある。 

④ 
三者一体の建設体制が大きな力となっている。 
「病院職員の現場感覚」・「経験豊富なゼネコン技術者」・「発注者」などが一体となり それぞれの力を発揮した事が、これまでに例のない病院建設を成功させた。 

⑤ 
産科の設置については、住民要望から施設整備されているが、現在は医師の配置はされていません。 
医師確保の難しさ、経営環境などからこれから充実していくことが同病院の課題となっていた。 


3.財団法人 星総合病院について 
三春病院での取り組みや施設概要については、資料2として添付してあります。 

① 「地域」という視点を持っている事が選定のポイントであった。 
三春町では、指定管理者を選定する際に、運営計画書の提出と公開でのプレゼンテーションを実施し、その時に規模や実績などと共に、「地域の視点」をしっかりと持っ 
ている事が選定のポイントとなった。 
現在三春病院では、紹介・逆紹介による医療機能分担、開放型病院施設、機器の共同利用など病診連携が図られ、医師会との協調も患者本位に進んでいる。 
又、町行事への参加、地産地消の推奨、町との病院づくりなど地域住民との連携も進んでいる。 
共立湊病院では考えられない志の高い取り組みが幾つも行われている。規模の大小、 名前や過去の実績、豪華な機器の所有など見せかけの姿勢で選定するのではなく地域 
という視点を持っている事などしっかりとした医療理念を持ち、真のパートナーとして地域と医療を守っていける医師・医療集団を選定する事が大事である。 

② 町づくりにしっかりとした計画・ビジョンがあるから、安心して運営が出来る。 星総合病院の応募の動機は、三春町にはしっかりした町づくりの計画やビジョンがある事だとのこと。さらに、住民の大きな期待と協力は、安心して病院を運営しているく大きな力だそうです。 
星総合病院は、三春病院でも「医師の研修に制限を設けない」や「機器購入でも医師の考えをよく聞く」などの魅力ある病院づくりを行っている。 
新しい病院は、地域の中でどう位置づけられているか。病院がある事に安住するのでなく、病院を支え、病院を生かすために、何ができるかをもっと真剣に考える必要がある。 



4.常陸大宮済生会病院について 
病院建設の経過や施設概要は、資料3 として添付してあります。 

① 地域と県をあげての取り組みが、済生会と自治医科大学を動かした。 
茨城県は、人口当たりの医師数が全国最下位であり、その中でも病院が建設された県西部は医療過疎地域であった。 
地域では、周辺町村が平成10年に総合病院誘致期成同盟を結成し、済生会、県、 県議会に総合病院の誘致を働きかけ続けてきた。 
県も巻き込んだ再三の要請と、常陸大宮市の支援などの熱心な取り組みが、厳しい 医療環境の中でも済生会を動かし、病院建設を達成した。 
更に県の力も借りて、自治医科大学の支援も取り付け、高度な手術にも対応できるような病院となった。 

② 自治医科大学の支援は貴重 
伊東紘一院長(自治医科大名誉教授、前自治医科大卒後指導委員長)は、「自治医大の目的は僻地医療の確保である。」と述べられた。 
また、常陸大宮済生会病院はその拠点病院に加えられた事、共立湊病院も全国で8つしかない重点・拠点病院である。 
自治医大と地域医療振興協会は別の団体であり、同協会の運営している病院もすべて支援しているわけではない。 
地域医療振興協会の施設では、日光市民病院と湊病院だけである。済生会の進出と高度医療への挑戦も自治医大の支援が大きな力となっています。 
病床数160床と湊病院と同規模の病院でありながら、常勤医師16人(湊11人)、 非常勤医師14人(湊9人)と、自治医大の支援と伊東院長の魅力ある病院づくりが 医師不足を感じさせない状況を生んでいる。 
引き継ぐ支援には、県での位置づけや、地域の熱意・計画が必要であるとの助言を頂きました。 
今まで、地域医療振興協会ばかりを見て、自治医大との連携は皆無でした。 この貴重な支援を継続させるべきである。