長崎県内の病床利用率・・・、松浦市民病院の28・5%をはじめ70%未満は八カ所、70%台も五カ所  長崎県は「常勤医師が六人未満の小規模病院は原則として診療所化を検討する」との踏み込んだ指針を示しており、松浦市民病院などは診療所化する方向

長崎県内の病床利用率・・・、松浦市民病院の28・5%をはじめ70%未満は八カ所、70%台も五カ所  長崎県は「常勤医師が六人未満の小規模病院は原則として診療所化を検討する」との踏み込んだ指針を示しており、松浦市民病院などは診療所化する方向』 

長崎県内の公立病院改革/再編・統合 動き本格化/長崎市の新病院計画・・・ 
2009.01.01長崎新聞  
  

 医療費抑制や医師不足を背景に、長崎県内の公立病院が厳しい運営を強いられている。離島やへき地など地域医療を支えてきた公立病院だが、地方財政の悪化に伴い自治体本体からの支援も難しい。2007年末、総務省が公立病院改革ガイドラインをまとめたのを受け、経営改善に向けた動きが本格化しそうだが、その中には病院の再編なども含まれており、地域の医療崩壊を加速させる危険もはらんでいる。 

 長崎県内には県、市町、一部事務組合が設置した公立病院が二十五カ所ある。〇六年度決算で経営状況を見ると、十五カ所が赤字を計上。二十五カ所の合計は十六億四千三百万円の赤字となっている。また設置者別では、北松江迎町(北松中央病院)と国立病院の移譲を受けた雲仙・南島原保健組合(公立新小浜病院)を除いて累積欠損金を抱え、その総額は約三百億円に上る。〇七年度決算ではさらに膨らむ見込みだ。 

 公立病院は、民間病院が担わないような不採算診療を引き受ける役目がある。ただ、本県のような人口減少地区では医業収入の伸びは期待しにくい上に、近年の医師不足が重なったことで診療科の縮小・休止、医業収入の減少-という悪循環に陥っている。自治体の一般会計からの繰入金はあるが、赤字を埋めきれないのが現状なのだ。 

 総務省の公立病院改革ガイドラインは、自治体に対し〇八年度中に改革プランを策定するよう指示。病院の経営効率化は三年以内、病院の統合・再編や経営形態の見直しは五年以内をめどに実現するよう求めている。 

 中でも注目は経営効率化のため、病床利用率が過去三年連続して70%を下回った場合は病床数の抜本見直しを求めた点だ。〇六年度の県内の病床利用率を見れば、松浦市民病院の28・5%をはじめ70%未満は八カ所、70%台も五カ所ある。さらに県は独自で「常勤医師が六人未満の小規模病院は原則として診療所化を検討する」との踏み込んだ指針を示しており、松浦市民病院などは診療所化する方向となった。 

 総務省のガイドラインは経営形態の見直しについて、指定管理者制度や民間譲渡を含めた検討を求めている。西海市立病院や長崎市立野母崎病院、琴海病院は民間譲渡の方針だ。地方公務員に準じる公立病院の職員給与は民間に比べて高いため、人件費削減の点からは有効な選択肢となりうるが、民間に移した場合、経済性優先で必要な医療が提供されないのではないかとの懸念が根強くある。 

 さらにガイドラインでは病院間の機能分担を重視し、統合・再編やネットワーク化を促している。県が〇八年、既に決定済みだった長崎市の新市立病院計画に対し、新たに市立病院と日赤長崎原爆病院を統合した大規模高機能病院の建設を提案したのもこの流れに沿った形。ほかに佐世保地域では、佐世保市立総合病院を中心に民間病院と連携、がんや救急医療など「四疾患五事業」に特化したネットワークの形成を提案しており、今後地元で協議される見込みだ。 

 公立病院は地域医療の中核であり、その在り方は住民生活に影響を与える。その意味で公立病院改革は地域づくりでもある。民間医療機関との連携や医療に対する住民の意識啓発など、地域を巻き込んだ議論が欠かせない。 


 
◎最近の動向 


 ○長崎地域 

 ▼長崎市立市民病院、成人病センター 長崎市は両病院を統合し、二〇一三年に新市立病院を開業する計画を進めていたが、県と長崎大が〇八年、日赤長崎原爆病院を加えた三病院を統合し、大規模高機能病院を建設するよう市に提案。市は実現性を検討し、二月までに結論を出す。 

 ▼長崎市立野母崎病院、琴海病院 〇九年度中に民間移譲する計画。 

 ▼西海市立病院 規模を五十四床から縮小して十九床の有床診療所とし、市営の特別養護老人ホームと経営を一体化する形で民間移譲を進める。 

 ○佐世保地域 

 ▼佐世保市立総合病院 〇七年度から経営効率化に向けた運営指針を定め、病院管理者(病院長)が人事権や予算権を持ち独立企業としての権限を強化する「地方公営企業法の全部適用」を実施済み。 

 ○県北地域 

 ▼平戸市民病院、生月病院 市立病院あり方検討委員会が〇八年三月、平戸市民病院は救急医療などを担う基幹病院として存続、生月病院はCTなどの設備を備えた高機能診療所へ転換するよう市長に答申。

 ▼松浦市民病院 〇八年、リハビリ科新設などの再建方針をいったん固めたが、将来見通しなどで県の指摘を受け、規模を縮小し診療所化する方針に転換。新たな再建計画を策定し、〇九年度に着手する。 

 ▼北松中央病院 北松江迎町が設置し、北松浦医師会が運営していたが、〇五年に地方独立行政法人化した。 

 ○県央地域 

 ▼大村市立市民病院 〇八年四月から指定管理者制度に移行。全国で自治体病院の再建を請け負う社団法人地域医療振興協会(東京)が運営主体となり、病院名を「市立大村市民病院」に変更、救急総合診療科や女性総合外来などを新設した。 

 ▼県立精神医療センター 〇四年、県立大村病院を改組し、精神科救急医療、思春期精神医療に特化。

 ※県立成人病センター多良見病院は〇五年、日赤に経営移譲され、「日赤長崎原爆諫早病院」として再出発。 

 ○県南地域 

 ▼公立新小浜病院 〇二年、国立小浜病院の経営移譲を受け、一部事務組合の雲仙・南島原保健組合が運営。管理は医療法人三佼会(諫早市)に委託し、〇五年には指定管理者制度に移行した。 

 ○離島地域 

 ▼県離島医療圏組合 五島、上五島、対馬各地域の計九病院は、それぞれ地元で改革案を検討。上五島地域では、上五島病院を入院機能のある基幹病院、有川病院を無床診療所、奈良尾病院を有床診療所とする方向。対馬地域では中対馬病院の病床を廃止し、外来に特化する案が出ている。 

 ▼壱岐市民病院、かたばる病院 市が〇八年度中に改革プランを提示する予定。 

 ※県離島医療圏組合九病院と県立二病院(精神医療センター、島原病院)については、四月に新設する一部事務組合「県病院企業団」がまとめて運営する。