「医師の需給に関する検討会」の結論



「医師の需給に関する検討会」の結論 
・・・今回の推計では、長期的にみれば、(医師の)供給の伸びは(医師の)需要の伸びを上回り、マクロ的には必要な医師数は供給されるという結果になった・・ 

「医師の需給に関する検討会」メンバーのなかで 強硬に上記誤りを指摘し 孤軍奮闘したのは小山田惠社団法人全国自治体病院協議会長ただ一人であった 
行政刷新会議で(政策立案に重要な位置を占める) 国立保健医療科学院が抜本的体質改善を求められたが 執行猶予である。 国民から尊敬される 権力に迎合しない独立した研究機関の体質にならなければ組織の存続は認められないであろう。責任転嫁の厚労省の影響下のままで組織が運営される事はありえない。 
厚労省の検討会・審議会の委員も 今後は例外なく見識と結果責任を厳しく追及される事になろう 
「医師の需給に関する検討会」メンバーに自己批判することが求められる   
  


日経メディカル ブログ:本田宏の「勤務医よ、闘え!」 事業仕分けと御用学者  (長 隆の発言が紹介されておりますので 抜粋引用させて頂きました) 

 11月17日午後、1時間以上遅れて始まった国立保健医療科学院の事業仕分けで、驚いたことに医療政策の研究者の個人名が上げられて事業の是非を巡る議論が行われました。 

 名前を上げられたのは同院の元・政策科学部長である長谷川敏彦先生(現日本医科大学 医療管理学教室 主任教授)です。 
 自分は研究者になる前は外科医として10年間働いていましたが、当然に医療政策や病院経営についての系統的な教育を受けたことがありませんでした。大学院進学に当たって国立保健医療科学院の病院管理専攻科で教育を受け、漸く基礎的な知識を得ることができました。長谷川先生は、その時の恩師の一人でもあります。 

 問題とされたのは長谷川先生が平成18年度厚生労働科学研究費補助金(厚生労働科学特別研究事業)「医師需給に関する研究」等の結果を基にして厚生労働省「医師の需給に関する検討会」(平成17年~18年)に提出された資料の、特にその第13回(平成18年5月29日)で、医師は「少し足らないが努力次第では何とかなる」程度の需給状況であるとした報告です。 

医師の需給に関する検討会( 第13回 ) 
資料3  長谷川委員提出資料 (PDF:445KB) 
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/05/dl/s0529-5c.pdf 

 これによって医師養成数の増加がさらに遅れたというのが仕分け人の一人である長隆氏の主張であったようです。 

 ただ、確かに国立保健医療科学院は「保健医療福祉の各種政策課題への対応や改善の科学的根拠等を示すための研究等」を看板にした組織であり、医師養成数の政策維持の上で重要かつ決定的な研究であったことは間違いありません。とは言え、もともと3つの研究所が統合されてできた教育・研究機関の研究面での評価を、既に退職した研究者のたった一つの研究で代表してしまうというのは如何なものかと思います。 

 しかし、自分が驚いたのはそういうことではなく、長谷川先生の名前が長氏ではなく厚生労働省の担当官の口から出されたことです。 

 この種の政策研究では、厚生労働省のこれまでの施策を批判するような内容が歓迎されないのは周知の事実です。その意図に反した研究結果に対しては、担当する課長補佐から受け取りを拒否され、あるいは再考を促されることすらあります。 

 ですから、研究者個人の名前を挙げることの無意味さを、誰よりも厚労省の担当官自身がよく知っているはずです。それをよりにもよって、永年を省の意を呈して省のために尽くしてきた長谷川先生の名前を事業仕分けの場で挙げるというのは、責任転嫁以外の何ものでもないのではないでしょうか。 

 ただ、事業仕分けは厚労省にとってもはじめての経験であり、迂闊にも担当官は公開の場での議論であることをつい忘れてしまったのかも知れません。 

 また、同時に聞いていて気になったのは、「医師の需給に関する検討会」に医師養成の政策転換の遅れの責任を転嫁するような発言のあったことです。議論は議論であり、検討会の結論であっても意に沿わなければ厚労省は無視することが多々あります。結局の所は「医師の需給に関する検討会」の結論は厚労省の方針を追認していたというだけのことであって、政策決定を行ったのは当時の内閣であり、厚労省の幹部です。 

 名前は上がらなかったとは言え、検討会の座長を務められた矢崎義雄先生(独立行政法人国立病院機構理事長)も、さぞや迷惑されていることでしょう。 

医師の需給に関する検討会報告書について 
平成18年7月28日 
医師の需給に関する検討会座長 矢崎義雄 
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/07/dl/s0728-9a.pdf 

「医師の需給に関する検討会報告書」の公表について 
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/07/s0728-9.html 
  
  
 さて、皆様いかがでしょうか。この論説の中に、なぜ皆さんの大学の権威ある教授が医師増員に反対するようになったのか、その重要なヒントが隠されています。 

<1> 
 「この種の政策研究では、厚生労働省のこれまでの施策を批判するような内容が歓迎されないのは周知の事実です。その意図に反した研究結果に対しては、担当する課長補佐から受け取りを拒否され、あるいは再考を促されることすらあります」 

 「『医師の需給に関する検討会』に医師養成の政策転換の遅れの責任を転嫁するような発言のあったことです。議論は議論であり、検討会の結論であっても意に沿わなければ厚労省は無視することが多々あります」 

 「結局の所は『医師の需給に関する検討会』の結論は厚労省の方針を追認していたというだけのことであって、政策決定を行ったのは当時の内閣であり、厚労省の幹部です」 

 医師養成という重要な議題にかかるデータが厚生労働省の意のままに操作され、不利なデータは無視され、官僚の思いのままに政策が決定されてきた、という中村先生の考察に、私も同意します。 さらに、“お上”の報告を多くの大学教授だけでなく、メディアも権威あるものとして信じてしまうのが日本なのです。 

<2> 
 「これによって医師養成数の増加がさらに遅れたというのが仕分け人の一人である長隆氏の主張であったようです」 

 私がこの一文を読んで感じたのは、病院の財政面に鋭く切り込み、日本の病院の集約化や統合を進め、医療側からは場合によって目の敵にされてきた長氏さえ、地域医療崩壊の背景に医師不足問題、そして医師養成の遅れがあったと認識しているということです。おそらく長氏は全国の現場をつぶさに見て、その構図に気付かれたのでしょう。 

 私は以前、「医師の需給検討会」の答申が出た当時、それぞれ別な会合でしたが、長谷川氏や矢崎氏と医師不足について討論をしたことがあります。 

 当時は両人とも強硬に「医師は偏在が問題で将来は過剰になる」という主張を繰り返されていました。当時から医師不足による医療崩壊をどうにか阻止しなければ、と考えていた私は、正直なところ、このように権威ある方々が、まるで「御用学者」のように見えたものです。しかし、今回の中村先生の論説を見ると、「御用学者」だけを責めるのは酷だと考えた方がよさそうです。 

 さて、今回の論説が明らかにしているように、医師過剰や偏在論の発信元は“お上”です。若い医学生の方々は、できれば医療を受ける患者さんの視点で、日本の医療制度の問題点を勉強し直していただけないでしょうか? そうしないと、皆さんが医師として活躍するころは、立ち去り型サボタージュが問題になっている現在よりも、さらに状況が悪化する危険性が高いのです。 

 私はこれからも、医師だけでなく、医療提供を受ける患者さんの視点から、医療費増、コメディカル増、医師増(病院勤務医のポスト増も含めて)を訴えていきたいと思っています。それが医師の待遇改善の必要最低条件だと信じています。 



「医師の需給に関する検討会」メンバー 

池田康夫慶應義塾大学医学部長 

泉陽子茨城県保健福祉部医監兼次長 

内田健夫社団法人日本医師会常任理事(第13回~) 

江上節子東日本旅客鉄道株式会社顧問 

川﨑明德学校法人川崎学園理事長 
社団法人日本私立医科大学協会長 

小山田惠社団法人全国自治体病院協議会長 

水田祥代国立大学法人九州大学病院長 

土屋隆社団法人日本医師会常任理事(第1~12回) 

長谷川敏彦日本医科大学医療管理学教室主任教授 

古橋美智子社団法人日本看護協会副会長 
本田麻由美読売新聞東京本社編集局社会保障部記者 

○ 矢崎義雄独立行政法人国立病院機構理事長 

山本修三社団法人日本病院会会長 

吉新通康東京北社会保険病院管理者 
社団法人地域医療振興協会理事長 

吉村博邦北里大学医学部教授 
全国医学部長病院長会議顧問 
(○:座長)