守ろう地域医療  2つの看護学校閉鎖で危機感



守ろう地域医療   2つの看護学校閉鎖で危機感 
 館山病院の館山准看護学校(今年3月閉校)、安房医師会の安房看護専門学校(来年3月閉校予定)の相次ぐ閉鎖 看護師不足に拍車がかかることに、強い危機感 
  
市民サイドの動き 
安房地域医療を考える市民の会の呼びかけ人愛沢 伸雄さん(2009年11月20日房日新聞) 
  
医療は、市民の関心の高い分野にもかかわらず、その現状について知る人は少ない。私自身も当初は、看護師不足も看護学校閉鎖の計画も知らなかった。身近なところで医療崩壊が起きようとしている。広くこの事実を市民に知ってもらいたかった。 
  
2つの看護学校閉鎖で危機感 
 会の発足は、館山病院の館山准看護学校(今年3月閉校)、安房医師会の安房看護専門学校(来年3月閉校予定)の相次ぐ閉鎖がきっかけだ。看護師不足に拍車がかかることに、強い危機感を抱いた。 
  
 新たな看護専門学校の設立を視野に昨年11月、医師会、館山病院、両看護学校、各関係機関の関係者に呼びかけ「安房の地域医療を考える市民の会」を開いた。この集まりを皮切りにこれまで8回、医療関係者と市民が互いにひざを交えて話し合う場を設けている。 
 残念ながら学校の設立の話は進んでいないが、集まりを通して医療の現状について医療に携わる人々と市民が情報交換し、市民が医療を身近な問題としてとらえることが、医療崩壊を食い止めるためにも非常に重要だと分かった。 
  
 医療の現状知れば意識も変わるはず 
 これまでの集会では、看護師から「看護師が足りず、病室を閉鎖した。患者を受け入れてあげられないのは辛い」「患者にしてあげたいことはたくさんあるが、人手が足りない」など切ない現状を訴える声が出た。 
 それを知った一般市民からは「看護師不足の深刻さが分かり、びっくりした」「医師、看護師がこれ以上足りなくなると、私たちの将来が安心できないことが分かった」「応援したい。市民はどうしたらいいのか」などの感想が寄せられた。医療の現状を知ることで市民の意識が変わると感じた。 
  
 医療そのものの仕組みについて知ることもそうだ。医療機関は1次から3次までの区分があってそれぞれに役割があることや、病院は看護師定数と病床数が決まっていて、看護師がいなければベッドは使えなくなることなど、そういったことを知っていれば、軽症で3次救急医療機関に駆け込むようなこともないだろうし、看護師不足の現状もよく分かると思う。 
  
 医療のため何かをしたいという市民が多いことも分かった。超高齢化社会に向かう安房地域。60歳、70歳でまだまだ元気なお年寄りはたくさんいる。生きがいとしてボランティア活動に精力的に取り組む方も多い。こうしたシルバーパワーを医療の現場に生かさない手はないと思う。 
  
 ボランティアとして病院で活躍してもらい、看護師の負担を少しでも減らしてもらう。何も食事、洗髪など身の回りの世話だけではない、傾聴ボランティアとして患者の話を聞くだけてもいい。それが地域医療の崩壊を防ぐ一助になるかもしれない。 
  
  
医療と市民の垣根低く 支えあいの仕組み地域でできれば 
 いまは元気であっても、将来に世話になるかもしれない看護、介護の現場が、いま疲弊している。ボランティアとして手助けすることで、結果的に(医療が保たれるという形で)自分に返ってくる。そのような支え合いの仕組みがこの地域でできれば。 
 高齢化に加え、都会からの移住者も医療の充実を求めており、看護師不足対策は地域づくりの視点に立って取り組むべき重要なテーマだと思う。シルバーパワーを生かし、看護師が働きやすい環境にすることもそうだが、学校、家庭で看護職のすばらしさを語り合い、多くの若者が看護師を志すように働きかけられないだろうか。若者たちが地元に残るということは、豊かな地域づくりのためにもとても大切だと思う。 
  
 正真私たちも、市民の立場から、地域医療を守るため何が出来るのか、いま現在模索している最中だ。まず市民が現状について知ることが大事だと思う。とかく遠い存在だった医療と市民との垣根を低くしたい。これまで同様の集会を通じ、また、医療に関する映画の上映会などで、医療問題について、常に地域に発信する場をつくっていく。