事業税非課税廃止なら「地域医療に混乱」-日医見解



事業税非課税廃止なら「地域医療に混乱」-日医見解 
11月25日 キャリアブレーン 
     
日本医師会の今村聡常任理事は11月25日の定例記者会見で、医療機関の事業税非課税措置などの見直しに対する日医の見解を発表した。今村常任理事は、非課税が廃止された場合の増税額などを示した上で、課税されれば医療機関の経営基盤が揺らぎ、結果的に地域医療に混乱を来すとの懸念を示した。 


 今村常任理事はまず、医療機関の事業税の非課税措置と、医療法人の事業税の軽減税率について説明。その上で、2008年度のTKC医業経営指標を基に試算した、事業税の特例が廃止された場合の平均年間増税額を示した。 
 それによると、社会保険診療の非課税が廃止された場合は、個人診療所で118.3万円、法人診療所で40.1万円、法人一般病院で288.9万円の税負担増となる。 
 一方、社会保険診療の非課税と、社会保険診療以外の軽減税率の両方が廃止された場合の税負担増は、個人診療所で118.3万円、法人診療所で43.2万円、法人一般病院で418.2万円。 
 今村常任理事はまた、厚生労働省の「来年度税制改正(地方税)要望事項」を基に、社会保険診療の非課税と、医療法人の軽減税率を廃止した場合の税の見込み額は、それぞれ1100.7億円、10.38億円と指摘した。 

 その上で、社会保険診療は、▽公共性、非営利性の極めて高い事業▽極めて低廉で事業税非課税を前提とした公定価格-などと指摘。利益が出ても配当はされずに内部留保され、医業の再生産のために使用されると強調した。 
 非課税の経緯については、診療報酬を非常に低く抑えるかわりに、「公共的な医療を行うものについて」税を軽減するということなどと述べた。 
 また事業税は、「それぞれの業種が地域で事業を行うに当たって、行政からさまざまなサービスを受けていることに対する対価として払う税という考え方が当然ある」とした上で、医師は予防接種や住民健診など、行政が行うべき公共性の高いサービスを代行し、地域住民活動を支えていると強調。事業税が課税されれば医療機関の経営基盤が揺らぎ、結果的には地域医療に混乱を来すと指摘した。 

 今村常任理事は会見で、「診療報酬が大きく増え、増えたことに対して『収入が増えているからきちんとした税を払ってください』という考え方は理解できる」とした。しかし、財務省が診療報酬の原則引き下げの方針を示しており、地方自治体は税収確保のための課税を求めていることから、「医療に対してどのように国として考えているか、整合性が全くない状況」などと指摘した。また、今後の事業税のあり方に関する議論については、「医療機関の存立に影響しない範囲で少しずつ制度が変わっていくということなら、議論の余地はあると思う」などと述べた。