壱岐市民病院 全適は本庁が実質的に権限を手放さないケースが多い



壱岐市民病院  
「全適は本庁が実質的に権限を手放さないケースが多い」 改革委は先月、全適より民間経営に近いとされる独法化を答申 
「大学が推薦する病院経営実績のある人物を独法の理事長に招き、医師も大学から安定的に供給してもらう」方針 
  壱岐市民病院の08年度決算によると、医業収益に対する給与費の割合は75・1%に上る。市の改革プランは、職員を実際の職務より上級に格付けして給与を支給する、いわゆる「わたり」の見直しに言及 
改革委員会は給与に切り込むよう市に求めており、白川市長は「見直す覚悟はある」としている。 



悩める離島⑥ 壱岐・病院改革㊦ 「全適」か「独法」か  
長崎新聞11月6日 

「既に改革中だったのに、なぜまた改革委を設置したのか」。 
10月、壱岐市民病院の地方独立行政法人(独法)化を答申した有識者の改革委員会。 
だが市は7カ月前にも「改革プラン」を作成しており、職員からは戸惑いの声が聞かれる。 
  
市民病院は2005年5月に移転・新築。病床規模を30床増の200床に拡大した。だが当時15人いた常勤医は、派遣元の大学が医師不足などで一部引き揚げたため、08年度は11人に減少。 
病床利用率も落ち込んで赤字経営が続き、08年度決算の累積赤字は約16億2200万円に膨らんだ。 
  
この間、市は放置していたわけではない。 
前市長の長田徹は07年1月、国立病院の事務長経験者を経営アドバイザーとして招き、改革に着手させた。 
  
アドバイザーは非常勤医を募集・増員し日当直の大部分を担わせ、常勤医が報酬単価の高い入院治療や手術に専念できるようにした。 
患者数や諸経費も毎月検証し、年間の目標値に近づけるよう努めた。 
  
その結果、常勤医が激務から解放され、現在は13人にまで回復。 
単年度赤字も移転した05年度が約7億1300万円だったのに対し、08年度は約2億3000万円にまで減少した。 
  
今年3月、市は総務省の公立病院改革ガイドラインに基づき「改革プラン」をまとめ、経営形態を現行の地方公営企業法の一部適用から全部適用(全適)に改めることを掲げた。 
全適はトップの「病院事業管理者」に市長から権限と責任が大幅に移譲され、経営の独立性が増すとされる。 
市民病院に医師を派遣する関連大学を通じて管理者を選任できれば「大学との関係が強まり、現在よりはるかに医師確保が期待できる」(改革プラン)という。 
  
だが、現市長の白川博一は抜本的な経営改善にはもっと踏み込んだ改革が必要と判断。 
7月に改革委を設置し、総務省ガイドラインの実質的な作成者で公認会計士の長隆(68)を委員長に据えた。 
  
長は「全適は本庁が実質的に権限を手放さないケースが多い」と主張。 
改革委は先月、全適より民間経営に近いとされる独法化を答申した。 
長は「大学が推薦する病院経営実績のある人物を独法の理事長に招き、医師も大学から安定的に供給してもらう」と話す。 
 だが「全適でも独法でもトップの力量次第というのは変わらない。それより民間に比べて高い人件費を見直さないと、経営改善にはつながらない」(公立病院関係者)との指摘もある。 
  
壱岐市民病院の08年度決算によると、医業収益に対する給与費の割合は75・1%に上る。市の改革プランは、職員を実際の職務より上級に格付けして給与を支給する、いわゆる「わたり」の見直しに言及 
。長も給与に切り込むよう市に求めており、白川は「見直す覚悟はある」としている。 
(文中敬称略)