パブリックセクターの改革なしに医療改革は進まない・・仙谷由人行政新担当相



「パブリックセクターの改革なしに医療改革は進まない」仙谷由人行政刷新担当相は11月7日、都内で開かれた「現場からの医療改革推進協議会」の第四回シンポジウムで発言し、「日本の病院はナショナルセンターをはじめ社会保険病院、地域の公立病院そのほか公的部門が非常に大きな分野を占めている」と指摘。「パブリックセクターの病院を改革することなしに、日本の医療の改革は一歩も二歩も進まない状況に今立ち至っているのではないか( 2009/11/9キャリアブレイン) 



 仙谷行政刷新担当相は「大学病院も含む国立・公立の医療機関によって発生しているガバナンスのなさ、モラルハザード。これをどう改革していくのかというのも大きな問題」と指摘。公的部門にメスを入れ、日本の医療のサプライサイドを改革していくことへの意欲を示した。 

 また「日本の医療水準がなぜこんな程度の国民負担で維持されているのか。たぶん非常にどこかに無理がきているということを国民の方々に知ってほしい」と強調。今の医療水準を低下させないために、「単に公的な資金や国民負担が多いとか少ないとか、そういう切れ端の話ではうまくいかないのではないか」とし、地方議会で、「サプライサイドを強化するために何が必要か」「住民が何をすべきか」を議論する必要性を訴えた。 

 さらに、現場から医療改革を考えてきた人々の力を借りて「(医療従事者に)今のような犠牲と奉仕だけを求めるのではなく、しかるべき適切な対価がでるような医療システムをつくりあげるためにがんばっていきたい」と述べた。 


「現場からの医療改革推進協議会」がシンポ(キャリアブレーン) 
    
厚生労働省の足立信也政務官や舛添要一前厚労相などが発起人を務める「現場からの医療改革推進協議会」の第4回シンポジウムが11月7、8の両日、東京都内で開かれた。 
医療改革や医療費、医療者教育などをテーマにした講演や議論が行われたほか、傍聴者が発言する場面もあった。 

協議会の発起人の一人でジャーナリストの黒岩祐治氏が、公立病院と民間病院の間には「不公平」があるとした上で、「ここ(公立病院)こそ、ばさっとメスを入れるべきと思う」と述べると、傍聴していた公立病院の女性医師が、命懸けで医療現場を支える公立病院の医師の存在を訴える一幕もあった。 

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 シンポジウムは、患者と医療スタッフが現場の視点から具体的な問題提起を行い、その適切な解決策を議論する機会と場を創出することを目的に開催された。 
  
7日は、▽医療改革の現在▽医療費▽先端医療・がん難民▽救急医療-の4つがテーマ。 

仙谷由人行政刷新担当相や医療法人鉄蕉会の亀田隆明理事長、「卵巣がん体験者の会スマイリー」の片木美穂代表、昭和大救急医学講座の有賀徹教授などが出席した。 

 8日のテーマは、▽医療者教育▽公益法人改革▽新型インフルエンザ-の3つ。山形大の嘉山孝正医学部長、全国骨髄バンク推進連絡協議会の大谷貴子会長、東北大大学院医学系研究科の森兼啓太講師らが発言した。 

■公立病院改革、「命懸けで働く医師への理解を」 

 7日の「救急医療」で司会を務めた黒岩氏は、仙谷行政刷新担当相の医療改革についての発言後、公立病院について言及。 
民間病院との違いは患者の視点では不明確とし、「同じことをやっていながら、公立病院だけは赤字になってもどんどん補てんしてくれるという妙な構図がある」と指摘。 
「極論」とした上で、「公立病院はいったん全部をやめて、本当に必要な公立病院は何かということを考え、必要なものだけをもう一度つくり直すぐらいダイナミックなメスを入れることが必要。 
無駄を削ると言うなら、こここそ、ばさっとメスを入れるべきと思う」と仙谷行政刷新担当相に求めた。 

 黒岩氏のこの発言に対し、傍聴していた千葉県の公立病院に勤める耳鼻咽喉科医で乳がん患者の小倉恒子氏が、現場の状況を訴えた。 
 小倉氏は勤務先の公立病院で医師不足となった時、胸水を抜きながら診療を続けたことや、精神科の医師が過酷な勤務で倒れた末、現在は車いすに乗って診療を行っていることを説明。 
その上で、「公立病院をすぱっとやればいいって、その『すぱっ』って何ですか。 
収益がいいのがいい病院で、悪い病院はすぱっとやるんですか」と反論し、「非常にまじめにやっている公立病院の医師もいるということを、命懸けでやっている人もいるということをよくお考えの上、すぱっとやってください」と述べた。 


地域医療再生基金「全て削ってもよいと思った」 
足立厚生労働政務官 
  
2009年11月9日 医療タイムス 

 足立信也厚生労働政務官は8日、現場からの医療改革推進協議会が開いたシンポジウムで当初予算3100億円の地域医療再生基金について「全て削ってもよいと思った」と打ち明けた。理由は「全国369の二次医療圏の中から94を選んで基金を交付するよりも、診療報酬全体の底上げが必要だ。診療報酬全体を抑えて特定の医療圏に補助金を付けたら格差や偏在を生んでしまう」。診療報酬全体の引き上げに伴う問題点も取り上げ、「診療報酬が上がれば患者負担も増える。受けたい医療・介護のためにどれだけの国民負担が必要か、多くのステークホルダーを集めた国民会議で検討したい」との方針を示した。