地域医療再生計画 実行性が担保されるならば 期待できそうである



地域医療再生計画 実行性が担保されるならば 期待できそうである 


(医を創る 中国地方から)地域医療、再生策は 各県2計画に50億円交付へ/広島県 
2009.10.29 朝日新聞 
  

 医を創(つく)る 

救急医療や医師の確保など、各地域が抱える医療問題の解決の糸口になると期待される地域医療再生計画。各県が立てる二つの計画にそれぞれ25億円が交付される見通しとなった。国からの交付金は補正予算の減額とともに圧縮されたが、計画の実現は、今日の医療のあるべき姿の確立につながりそうだ。各県の計画の狙いを探った。 


 ●広島、救急搬送に「司令塔」 

 急な病気やけがで救急車を呼んだのに、受け入れる病院が見つからない--。都市部で深刻な「救急搬送不能問題」を解決するため、広島県は、広島市民病院(広島市中区)の機能を強化し、救急搬送の司令塔機能をもたせる計画をつくった。 

 広島市内には、広島大学病院や県立広島病院、広島赤十字・原爆病院など、大規模な救急病院が複数ある。どこの病院に空きベッドがどれだけあり、医師は何人いるのか。計画では、広島市民病院の事務職員や医師、看護師らを増やし、各病院の情報をオンラインで結んで、一覧できるようにする。 

 行き場のない患者は広島市民病院でいったん受け入れ、周囲の病院に転送もする。これまでも、手術室や集中治療室(ICU)がいっぱいなどの場合は、電話で互いの状況を確認して患者を送ってきた。オンライン化により、より密接な連携がとれるようになる。 

 多発性外傷の患者は県立広島病院、熱傷(やけど)ならば広島大学病院へ、などと、それぞれの病院が得意とする病気の患者を送ることが可能になる。また、最重症者を優先させるため、広島市民病院で症状が安定した患者はほかの病院に移す。 

 大庭(おおば)治・広島市民病院長は「一つの病院ですべての疾患を診て一流の治療をするには、膨大な投資が必要になる。各病院の強みを生かしてすみわけ、連携を深めることが、患者さんのためのネットワークにつながる」と計画に期待を込めている。 

 当初100億円を見込んで立てたこの計画にはその他、広島市民、県立広島、広島大学、広島赤十字・原爆の4病院の放射線治療機能を集め、高精度放射線治療センターを設置する案や、医師を確保するための拠点として地域医療総合支援センターをつくる案も盛り込まれている。 

 広島県のもう一つの計画は、県東部の病院の集約・再編と、救急医療の強化だ。45床ある三原市立くい市民病院を診療所にし、急性期医療を担う公立世羅中央病院は110床から155床に増床。府中市のJA府中総合病院と府中北市民病院は再編し、一方は慢性期中心に、一方は急性期やお産を扱うようにする。福山市には、軽症患者の受け皿となる救急支援診療所をつくり、医師会に運営を委託する。 


 ●岡山、施設整備し搬送時間短縮 鳥取・島根、医師確保や育成に力点 

 岡山県の再生計画は、津山・英田(あいだ)医療圏と、高梁(たかはし)・新見医療圏と真庭市の2計画。いずれも救急医療支援が柱だ。 

 津山・英田圏域では、最重篤患者を診る救命救急センター・津山中央病院に救急患者が集中している。そのため、津山中央の救命救急センターの病床を10床増やし30床に。周辺の病院に救急患者を多く診てもらおうと、今年度から休日や夜間の救急患者を診る「輪番制」に参加する4病院の救急外来を整備する。軽症患者の受け皿となる休日・夜間急患センターも新設する。 

 重症患者を搬送できる病院が少ない高梁・新見圏域と真庭市では、遠くの病院に運ぶケースが多く、搬送にも時間がかかっている。地域内で重症患者を受けられるよう、施設整備などを支援する。併せて医師が少ない県北部を重点的に医師確保策に取り組む。 

 鳥取県は、人材の確保や育成に力を入れる。医師不足対策として2013年度までに病院勤務医の100人増を図る。地域医療に貢献する医師を育てる鳥取大学医学部の講座の人件費や研究費などを支援。講座の講師を務める医師らには、地域の医療機関の診療にも協力してもらう。 

 県内外の大学医学部の学生を対象に、県内の医療機関に一定期間勤務すると返還しなくていい奨学金を年に10人以内に貸し付け。また県内に定着してもらうため、海外留学に必要な経費のうち月額30万円を最大2年間貸し付ける。留学した期間の2倍の期間、県内の病院に勤めると、返還しなくてもよい。 

 看護師対策としては、養成する施設の定員を計20人増やす。施設の整備や院内保育所の運営費への支援もする。 

 島根県の計画も医師確保策が中心。「呼ぶ」「育てる」「助ける」の柱を掲げる。県外に勤める医師を県内に招く際、辞めることで生じる県外施設の減収分をほてんする。将来、産科・小児科・外科などの診療科につく医学生を対象に、奨学金を貸し付ける。医師の事務作業をサポートする「医療クラーク」を雇う費用などを支援。開業医に、2次救急をする救急病院へ参画させるなど、病診連携を推進する。 

 その他、遠隔画像診断システムなどのITを活用した地域医療支援に10億円、医療用ヘリコプターの導入に8億円、看護職員の確保に5億円なども盛り込む。 

 最終調整中の山口県は、11月上旬に2計画を国に提出する予定という。 


 <地域医療再生計画> 都道府県がつくった地域医療の課題の解決を図る再生計画。国が全国の94計画に25億円ずつを交付して支援する。国は今年度の補正予算に「地域医療再生臨時特例交付金」として3100億円を計上。当初は94計画中、10計画には100億円ずつを配分する予定だったが、補正予算の見直しで750億円が減額され、交付は一律25億円となった。 

 各県は2次医療圏などから出された案を精査し、国に計画案を提出する。100億を見込んで出された計画などの見直し案の締め切りは11月6日。県は交付金で基金をつくり、2013年度までの取り組みに充てることができる。