医師不足や看護師の離職、海外への人材流出の懸念が強まる中、NPを日本にも採り入れようと模索が始まった ・・・ナースプラクティショナー」(NP)



医師不足や看護師の離職、海外への人材流出の懸念が強まる中、NPを日本にも採り入れようと模索が始まった ・・・ナースプラクティショナー」(NP) 
大学院で専門の教育を受け、病気やけがの診断や薬の処方が、一部認められている医療職だ。 
日本には公的な資格制度はないが、NPが誕生した米国では約14万人が資格を持つ。カナダや英仏韓でも同様の職種があり、診療所も開業できる・・・http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090302/135477/ 


変わる看護師の職場 人手不足の病院、役割に重み 短時間勤務で育児と両立 2009.10.16 朝日新聞 
  
看護師の働き方が変わりつつある。全国的に病院の人手不足が深刻化するなか、出産などで職場を離れた看護師に戻ってもらおうと、短時間の勤務ができる制度を採り入れる病院が増えている。医師の仕事の一部を担う看護師の導入を探る動きも出てきた。(錦光山雅子、小室浩幸) 


「お先に失礼します」 

京都市伏見区の武田総合病院(300床)。時計の針が午後4時半を回ったころ、循環器病棟で働く看護師の中村彩子さん(33)は病院を後にした。 
幼稚園と保育園に通う2人の子どもが、お迎えを待っている。 
他の看護師の勤務は午後5時までだが、中村さんは一足早く切り上げられる短時間勤務制度を使っている。出勤も朝9時半と1時間半遅く、週の勤務は30時間にとどまる。 
出産や夫の転勤で約4年間、仕事から離れていた。 
月に数回の泊まり勤務と育児との両立が難しく、現場復帰をためらっていたが、同病院が昨春に始めたこの制度を知った。短時間勤務は、パートタイマーと異なり、正規の職員と同じ待遇を受けられる。定年まで働け、ボーナスも出る。 
「これなら私も大丈夫」と、昨年11月に復帰した。計8人が制度を利用している。 

 同病院の年間離職率は20%近い。 
交代制勤務もあり、結婚や出産を機に退職する看護師が少なくない。 
人材の確保は最優先の課題だ。 
小松美幸看護部長は「この制度で中堅が戻って来た。 
若手の手本にもなっている。育児が一段落したらフルタイムに戻ってほしい」と歓迎する。 

 日本看護協会の08年調査によると、約2500の医療機関のうち、17%が短時間勤務制度を導入していた。18%で検討をしている。 
もともと看護師は夜勤が多く、3交代勤務なら、月に8~9回、深夜に働く。 
協会の小川忍理事は「夜勤は当然という雰囲気が強い。女性が多い職場なのに、出産や育児に対応できる環境が整ってこなかった」と指摘する。 
厚生労働省の推計では、資格がありながら働いていない「潜在看護師」が55万人もいる。 

 人手不足に拍車がかかったのは、06年からだ。診療報酬のルールが変わり、看護師が大勢働く病院ほど報酬を多く受け取れる仕組みになった。 
患者7人に対し看護師1人の「7対1看護」が最も優遇される。 
このため、都市部の大病院を中心に、看護師の大量採用が本格化し、離職された病院では人手不足が深刻化した。 

 危機感を強め、柔軟な勤務方法を採り入れて人を集める病院も増えてきた。 

●医師の「肩代わり」模索 
働く環境の見直しに加え、看護師がどんな仕事を担うのか問い直す動きもある。 
その一つが「ナースプラクティショナー」(NP)だ。 
大学院で専門の教育を受け、病気やけがの診断や薬の処方が、一部認められている医療職だ。 
日本には公的な資格制度はないが、NPが誕生した米国では約14万人が資格を持つ。カナダや英仏韓でも同様の職種があり、診療所も開業できる。 

 医師不足や看護師の離職、海外への人材流出の懸念が強まる中、NPを日本にも採り入れようと模索が始まった。 
すでに国際医療福祉大学大学院と大分県立看護科学大学大学院が導入を見越して養成コースを設けた。ほかにも準備を進める大学院がある。 

 土曜の夜、東京都港区の国際医療福祉大学大学院で、生活習慣病などを管理するNP養成コースの授業があった。 
この日の内容は、糖尿病の症状や最新の治療法。「糖尿病の専門医を目指す若手や中堅の医師にも対応できるレベル」という。学生は全員、現場で働く中堅の看護師だ。 

 中山法子さん(43)は週2回、大阪から夜行バスで通学している。糖尿病患者の看護にかかわって13年になる。 
「これまでは患者の生活をみるのが仕事だった。だが、NPは患者の体でどんなことが起きているのかを系統立てて判断しなければならない。学べば学ぶほど奥深さを実感する」と話す。 

 湯沢八江国際医療福祉大教授は「入院期間が終わって在宅療養を迫られる患者の治療を支えるのは看護師の責任だと思うが、十分な能力がある看護師が日本には足りない。いつまでも病院内で医師のアシスタントに甘んじていてはいけない」と強調する。 

 NP導入を巡っては、医師の仕事の一部を看護師が担うことに賛否がある。主に開業医でつくる日本医師会が反対し、看護協会も「検討の段階に至っていない」と距離を置く。一方、医師不足に悩む自治体病院でつくる全国自治体病院協議会は賛成の立場だ。 


 ◆キーワード 

 <看護師不足でベッド削減> 地域医療の中核を担う病院で、看護師が大量に退職したためにベッドを減らす事態が起きている。 

 県立奈良病院はこの春、400床の一般病棟のベッドのうち69床を休止した。3月に定員(358人)の1割近い30人が退職を希望。実働者は304人にとどまり、パート看護師や、患者の体位交換などをする介護ヘルパーの採用に力を入れている。 
奈良県立医科大でも、深刻な看護師不足で、新生児集中治療室(NICU)21床のうち、15床しか稼働していない。埼玉県の春日部市立病院は05年度から350床のうち、53床を休止している。