福祉医療機構 医療機関向け融資を拡充 産科医療機関向けの新メニューも

福祉医療機構 
医療機関向け融資を拡充 
産科医療機関向けの新メニューも 

2009.10.14 JapanMedicine(じほう)  
 経済環境や医療制度の見直しなどによる経営悪化リスクを抱える医療機関向けに、福祉医療機構が融資条件緩和などの支援メニューを充実させている。8日には出産育児一時金の直接支払制度による影響が懸念される産科医療機関向けに、利率引き下げなどを行うと発表した。資金需要が高まる12月に、制度変更に伴う混乱が起きるのを回避するのが目的。医療機関の経営環境が好転しない状況の中、福祉医療機構ならではの支援メニューを今後も実施していきたい考えだ。 

 今月から始まった出産育児一時金の直接支払制度をめぐっては、保険者から医療機関への入金まで2カ月程度かかることから一時的に資金繰りが悪化するとの懸念を、日本産婦人科医会、全国保険医団体連合会などが示していた。 

 厚生労働省は激変緩和策として、対応が困難な場合は適用を今年度末まで猶予する方針を表明。福祉医療機構も医療貸付事業のメニューに直接支払制度に伴う経営安定化資金を設け、融資利率を現行より0.5%引き下げて1.1%にすることにした。 

 無担保で借りられる金額も、3000万円まで引き上げる。無担保融資可能額は通常1000万円だが、「それでは不安が解消しない」という声が医療現場から出ていた。直接支払制度に伴い一時的に不足する金額について、診療所の場合2600万円程度という産婦人科医会のデータを参考に、大部分の診療所で混乱が回避できる水準を設定したという。 

 福祉医療機構の融資利率は財政融資資金に連動、現在は1.6%となっている。赤字も覚悟でさらに0.5%金利を引き下げた理由は、直接支払制度による一時金の支給の遅れが、冬季ボーナス支給前で医療機関の資金需要が高まる時期と重なり、一時的な資金不足に陥る危険性を避けるため。 

 医療貸付担当理事の瀬上清貴氏は、「国の施策がもたらす影響を事前に回避するため」と説明する。新政権発足後の9月下旬に厚労省保険局の要請を受け、急ピッチで準備を進めた。融資期間は7年以内、来年6月末まで申し込める。 

 ●政府系金融機関の役割 

 福祉医療機構は昨年9月以降、拡充してきた医療機関向け経営安定化資金の融資条件を、米国発の金融不況で今年4月に政府が講じた国内経済危機対策を受けてさらに充実させた。6月には耐震化整備事業にかかわる優遇条件などを打ち出すなど、医療機関などに向けた支援を加速させている。日本病院会、全日本病院協会、東京都病院協会の3団体も3月に舛添前厚生労働相に融資の受けやすい環境整備を求めていた。 

 マイナス基調が続いた診療報酬改定などにより、医療機関は内部留保を取り崩し、日常の資金繰りにも支障を来すほど疲弊が目立っている。金融庁の方針で民間金融機関の融資が利用しにくい状況も踏まえて瀬上氏は、「医療・介護分野に特化した政府系金融機関として健全な経営、運営を守れる仕組みとして当機構の存在意義がある」と話している。