出産育児一時金  増額すると共に、妊婦さんが後で戻ってくるとはいえ多額の現金を用意しなくても済むよう、妊婦さんを介さず健康保険から医療機関へ直接払いされる形態へと変更したことは その理念は素晴らしい



出産育児一時金  増額すると共に、妊婦さんが後で戻ってくるとはいえ多額の現金を用意しなくても済むよう、妊婦さんを介さず健康保険から医療機関へ直接払いされる形態へと変更したことは その理念は素晴らしい 
しかし収入が事実上2カ月分断たれるという点と事務作業が煩雑すぎるという点で、メリットを遥かに上回るデメリットがある・・・ 分娩取り扱いをやめざるを得ない医療機関が出るかもしれない?・・・ 
福祉医療機構が融資するという制度が始まる 
納得できる融資制度があれば10月導入に踏み切れる施設も増えてくる 


出産育児一時金 直前見直しの理由 足立信也政務官 
川口恭 (2009年10月 1日 ロハスメディア) 

出産育児一時金の制度一部見直しに関して、足立信也・厚生労働政務官の説明は以下の通り。(川口恭) 

まず今回の制度変更は、舛添要一・前厚生労働大臣が、妊婦さんに安心して出産していただくための環境を整えたいという趣旨で、一時金を増額すると共に、妊婦さんが後で戻ってくるとはいえ多額の現金を用意しなくても済むよう、妊婦さんを介さず健康保険から医療機関へ直接払いされる形態へと変更したものです。その理念は素晴らしく、我々も全面的に賛同しています。 

ただし、妊婦さんに安心して出産していただくという目標を考えた場合に、出産する場である医療機関が安定して出産を扱えるということもまた欠かせません。妊婦さんの安心と施設の安心、両方が必要です。もし、出産の場が存亡の危機に瀕するようなことになれば、かえって妊婦さんの利益を損ねます。ところが、今回の制度変更で、分娩取り扱いをやめざるを得ない医療機関が出るかもしれない。これは食い止めなければならないということで、今回、一部制度の見直しを行いました。 

実施直前になってバタバタと見直しをせざるを得なかったのは、次のような経緯です。 

厚生労働省によると、日本産婦人科医会など団体・組織への説明は5月に済ませていたそうです。ところが、実際に分娩を取り扱っている現場への説明が始まったのは8月に入ってからで、具体的にどういう制度なのか、導入の結果何が起きるのか現場の人たちに認識されてきたのが、やっと8月後半からでした。産婦人科医の間ではすぐに壊滅的に大変なことになるという話になって、総選挙の結果が出る前から民主党にも多くの声が届くようになりました。 

そうした声を受けて我々なりに分析を始めてみたところ、この制度は妊婦さんにとってはメリットが大きい、しかし産婦人科診療所にとっては未収金が減るかもしれないというメリットは確かにあるけれど、収入が事実上2カ月分断たれるという点と事務作業が煩雑すぎるという点で、メリットを遥かに上回るデメリットがあると分かりました。 

すぐに、我々は収入のタイムラグをなくす方策がないか検討しました。しかし制度開始まで1ヵ月ない、そんな短期間でタイムラグをなくすことはできないと分かりました。そして、事務作業自体が間に合わないという施設もある。だとしたら、どうしても準備できないという所に、無理やり導入しろとは言えないのでないか、こういう判断になりました。しかし一方で、制度導入を凍結するかと言えば、多くの妊婦さんが期待を抱いていることを考えれば、それもできない選択でした。 

最終的に、どうしても準備が間に合わない施設については、その旨を妊産婦に説明する、窓口にも掲示するということを条件に、導入を半年間猶予こととしてはどうか、その半年間に収入のタイムラグをなくす方策を検討するのでどうか、という判断するに至り、それを29日に大臣が公表しました。 

説明は、まずは当事者間でやっていただいて、できるだけ妊婦さんの希望に沿うようにしていただきたいのですが、それでも全部の施設が10月1日開始は不可能でしょうし、そうなれば納得しない妊婦さんも必ず出てくるでしょう。そこで厚生労働省に相談窓口を設置することにしました。どうしても納得してもらえない妊婦さんがいる場合には、代わりに説得することもします。この設置は30日、ついさっき決めてきたところです。電話番号は、記者発表が明日1日の9時半になってます。 

話を戻しますと、頑張って10月から導入した施設は運転資金が苦しくなるのは間違いありませんから、それを福祉医療機構が融資するという制度も始まります。これに関してはもっと金利を下げる努力、融資条件緩和の努力を今やっているところです。納得できる融資制度があれば10月導入に踏み切れる施設も増えてくると期待しています。 

ただ、そうは言っても、入ってこない2カ月分の収入に課税されて、融資の利息も取られてというのは、あんまりと思います。そういう問題点の検討をする会、もっと別の問題が隠れている可能性もありますから、始めたらそういうのが出てくるかもしれない、そういうものを改善していくための検討委員会を作ります。相談窓口で拾った情報は、直ちに対処すると共に、検討委員会にも上げます。 

今回の見直しが医療機関寄りすぎるのでないか、と長妻大臣の記者会見でもかなり突っ込まれました。しかし誤解しないでいただきたいのです。繰り返しになりますが、医療機関が存在できなくなるのは妊婦さんにもマイナスなんです。安心してお産するために大事なんだということをご理解いただきたいと思います。それに、法的なことを言うと、もともと出産分娩は保険診療ではなく、退院時に支払いされるのが当然で来た契約です。その収入を国が強制的に遅らせることになるのは申し訳ない限りです。 

検討委員会でも議論してもらわないといけませんが、こんな直前になって課題が表面化した点も検証が必要と思っています。団体に情報を伝えても肝心の現場に情報が伝わってない。そういう情報伝達も今後の厚生労働行政の課題だと考えています。