景気対策には、従来型の公共事業より、医療など社会保障分野に大胆に投資し、安心の確保につなげてはどうか。「100年に1度の危機」というなら、これまでにない思い切った対策が必要だ...


景気対策には、従来型の公共事業より、医療など社会保障分野に大胆に投資し、安心の確保につなげてはどうか。「100年に1度の危機」というなら、これまでにない思い切った対策が必要だ(読売新聞医療情報部長・田中秀一氏 ) 
・・公立病院は再編・ネットワーク 選択・集中 全国一斉に改築・新築で 反転攻勢に転ずる事で 医師不足解消が可能となる。 民間並み 年間医業収入の範囲内で新築すれば 財政投入なく 医師・看護師招聘可能である。たとえば根室市民病院についていえば10年来の願望であった 現地 新築建て直しを支持するということで 総務省は不良債務を解消させたのではないか』 


 
[展望09]不安解消、大胆投資で 医療情報部長・田中秀一 
2009.01.20 読売新聞  
  

 「ベッドが満床でも、医師が手術中でも、絶対に患者を受ける。そういう病院を作らなければ」 

 脳出血を起こした妊婦が、8病院から受け入れを断られ死亡したことが問題化した昨秋、東京都の産科医療に関する協議会で、会長の岡井崇・昭和大教授は、こう力説した。救急患者の「たらい回し」を断じて防ぐ、との強い決意に満ちた発言だった。ところが、本紙連載でこれを紹介したところ、読者から次のような反論が寄せられた。 

 「この言葉を裏返せば、きちんとした治療態勢がなくても受け入れるということ。当然、医療事故が起きる。そんな病院では、専門医や指導医は怖くて辞めていく」 

 「絶対に患者を受ける」姿勢では、かえって医療の「崩壊」が進むというのだ。正反対とも言えるこれら二つの見解を、どう考えたらよいだろうか。 

 救急車の受け入れ件数が年間6000台以上と都内でも有数の白鬚橋(しらひげばし)病院(墨田区)の石原哲(とおる)院長は「救急に携わる医師は、気持ちとしては患者を断らずに診たい。しかし、現実には、すでに治療に手いっぱいで、無理な場合がある」と話す。 

 そして「常に医師ら余分な人員とベッドを置いておかなければ、いつ重症患者が来るか分からない救急医療は実践できない。ところが、医療現場には、その余裕がなくなってしまった」と説明する。 

 背景には、医療費の抑制政策がある。医療機関の収入となる診療報酬の引き下げが繰り返され、一昨年の日本病院団体協議会の調査では、43%の病院が赤字経営だった。救急医療部門では、ギリギリの人員・病床数での運営を余儀なくされている。 

 生死の境にいる患者を助ける救急は本来、医療の中でも特に醍醐(だいご)味のある分野のはずだ。「患者を断らない」医師の職業倫理と、人員・設備の充実が、救急医療を支える車の両輪となる。ところが、「どんな場合も患者を受ける病院では、医師は辞めていく」という言葉が示すように、医療費抑制で十分な診療態勢がとれないことから、医師の職業倫理や使命感まで燃え尽きる危機に陥っているのではないだろうか。 

 国内総生産(GDP)に占める国民医療費の割合では、日本は8・0%と、米英独仏など経済協力開発機構(OECD)加盟の主要7か国で最も低い。 

 本紙は昨年10月の「医療改革」提言で、社会保障費の抑制路線に終止符を打ち、必要な施策に財源を投入するよう訴えた。救急など激務の診療科への報酬を、大幅に引き上げることを求めた。 

 多数の軽症患者が救急外来に集まり、医師の疲弊を招いている点も見過ごせない。患者側も、不要不急の受診は控える必要がある。それには、どのような場合に受診が必要か、病気について学ぶことも大切になる。 

 各地の救急病院では、診察の結果、緊急性がないと判断した患者からは、治療費の加算金を徴収する動きが広がり、軽症者の受診の減少につながっている。こうした動きは、救急医療体制を守るため、やむを得ない。ただ、低所得者には徴収を減免するなどの配慮が望まれる。 

 医療の課題は、救急だけでなく、医師不足の解消や、信頼できる専門医制度の構築など数多い。給与が低く、介護職員が辞めていく高齢者医療・介護の人材不足も深刻だ。 

 経済危機で、国民の不安は高まっている。「十分な医療や介護が受けられるのか」という将来への不安感が、これを助長している。総額2兆円の定額給付金について、本紙世論調査で「支給をやめ、社会保障などにあてるべきだ」との回答が多かったのは、その表れにほかならない。 

 景気対策には、従来型の公共事業より、医療など社会保障分野に大胆に投資し、安心の確保につなげてはどうか。「100年に1度の危機」というなら、これまでにない思い切った対策が必要だ。 


  

根室病院 特例債許可へ*経営 依然厳しく*本年度*4億円減収の予想 
2009.01.07 北海道新聞      

 【根室】国が昨年末、市が要望していた公立病院特例債の発行を許可する方針を示したことで、市立根室病院の不良債務十億五千万円が解消される見通しとなった。懸案の病院建て替えに向けて一歩前進したが、二〇〇八年度も新たに約四億円の収支不足が予想され、課題は山積している。(仁科裕章) 

 病院特例債は全国の公立病院の赤字解消に向け、国が抜本的な経営改善を条件に、〇八年度に限って発行を認めている。医師不足などで発生した不良債務を、七年償還の長期債務に借り換える仕組み。元利償還は〇九年度から始まり、根室市は年間約一億六千万円ずつを返済し、利息の一部は国が特別交付税で補う見込みだ。 

 特例債発行の前提となる「公立病院改革プラン」の概要も了承されることになり、常勤医十五人(現在は十三人)、病床数百五十床(現在は休床を含め百九十九床)などの計画が実行に移される。市が二月までに策定する建て替え計画の見直し素案はプランが基になるため、移転ではなく、現在地での建て替えが有力になっている。 

 一方、同病院は〇八年度も整形外科医など、予定通りの医師を確保できなかったため、当初予算より約四億円の減収になる見通し。特例債の発行は単年度の収支均衡が条件で、一般会計からのさらなる繰り入れが避けられない。 

 プラン通りに十五人の医師を確保できるかも不透明だ。市立病院事務局は「ハードルを一つ越えたが、経営の厳しさは変わらない」と話している。