佐藤元昭・二戸病院長(59)が説明する声を一段張り上げた。「皆さん、医師不足を実感されないのが残念だ。ベッドがあれば医師は来ません。無床化すれば来る」。



佐藤元昭・二戸病院長(59)が説明する声を一段張り上げた。「皆さん、医師不足を実感されないのが残念だ。ベッドがあれば医師は来ません。無床化すれば来る」。診察の傍ら、医師招請に駆け回る佐藤院長の言葉に、会場は一瞬、静まりかえった。』 



[展望09・岩手]課題解決に向け伝えたい 盛岡支局長・森本雅司=岩手 
2009.01.19 読売新聞  
  

 雪が時に激しく降るなか、九戸村の公民館には、開会の30分前から次々と住民が集まってきた。13日夜に開かれた県立病院の新しい経営計画案の説明会。村唯一の医師がいる地域診療センターでは、19床を全廃する無床化が計画されている。 

 「11月の発表で、4月に実施するというのは唐突で拙速だ。私たちにも考える時間がほしい」「医師が少ない地域にこそ県立の役割がある。切り捨てではないか」。2時間余りにわたった会では、10人が質問に立ち、拍手がわいた。 

 県医療局長らと並び、九戸センター長も兼ねる佐藤元昭・二戸病院長(59)が説明する声を一段張り上げた。「皆さん、医師不足を実感されないのが残念だ。ベッドがあれば医師は来ません。無床化すれば来る」。診察の傍ら、医師招請に駆け回る佐藤院長の言葉に、会場は一瞬、静まりかえった。 

 常勤医が1人しかいない九戸は、二戸からの外来診療応援と、二戸と盛岡市の中央、医大の計3病院による派遣当直で日々の診療を支えている。 

 医療局創業の精神は、「県下にあまねく良質な医療の均霑(てん)を」。聞き慣れない言葉に広辞苑をひくと、「生物が等しく雨露の恵みに潤うように、各人が平等に利益を得ること」とある。無医村に医療を、と始まり重ねてきた、岩手に暮らす苦闘は今も続く。 




「11年度から経常黒字」 県医療局新経営案公表 
岩手日報(2008/11/18) 
  
県医療局は17日、2009年度から紫波、大迫、花泉、住田、九戸の5地域診療センター(19床)を無床化、10年度から沼宮内病院(60床)を無床診療所化することなどを盛り込んだ「県立病院等の新しい経営計画案」(09-13年度)を公表した。 

県医療局は「安定した経営基盤を確立することで一般会計からの繰り入れを含み、11年度決算から経常黒字達成を目指す」としている。 

 計画案は、同日開かれた県議会への説明会で示された。 
県医療局は、無床化方針の5地域診療センターについて「当直勤務医師の負担が大きい」、沼宮内病院は「医師の負担や患者の動向などを総合的に勘案した」などと理由を説明した。 

 また、09年度から7病院でも病床数を削減。内訳は遠野(29床減)、千厩(40床減)、大船渡(30床減)、高田(13床減)、宮古(53床減)、久慈(42床減)、二戸(16床減)。 

 県医療局は07年度末で約138億円の累積欠損金を抱えており、経営改善が急務。 
同年度の一般会計からの繰入金は約141億円で、県財政の圧迫要因になっている。 

 収支計画では、11年度に一般会計から繰り入れ後の経常黒字1億4600万円を見込んでおり、同年度から累積欠損金を縮減する計画になっている。 

 県議会からは「来年度から計画を実施するには、議論の時間が足りない」など批判が相次いだ。 

県医療局はパブリックコメントを経て来年2月までに計画を策定する方針だ。 
県医療局の田村均次局長は「皆さまには不便をかけるが、県立病院が今後とも、その役割を果たすためには計画案を着実に実行することが必要だ」と理解を求めている。