地域医療 支援の柱/県病、大学と連携/5病院に医師派遣



『地域医療 支援の柱/県病、大学と連携/5病院に医師派遣』 
2009.01.16東奥日報社   
  

 県立中央病院(青森市)は本年度から、医師を非常勤で地域の公立病院に派遣し、地域医療を支える仕組みづくりに取り組んでいる。今年一月から鯵ケ沢町立中央病院に内科医を派遣するようになり、支援病院は計五病院となった。長年、県内の地域医療は、ほとんど大学に頼り切ってきたが、深刻化する医師不足の中、大学と県病が協力して地域を支える機運が高まっている。 

 国の「緊急医師派遣」期間が切れた鯵ケ沢病院には、県病が一年間、毎週木曜日、内科医を交代で派遣してサポートする。県病の幹部らは「医師不足のため、地域医療が成り立たなくなっているので、県病が支援せざるを得ない状況になっている」と説明する。 

 八日に鯵ケ沢病院で内科診療を行った藤野安弘医師(副院長)は「あらためて鯵ケ沢には医師が必要だと感じました」と語った。同医師は早朝に鯵ケ沢に向かい、診療を行い、夕方、県病に戻ってさらに勤務を続けた。 

 県病は本年度から院内に「医師派遣検討委員会」を設置。地域の公立病院から要請があれば医師の派遣を検討するシステムを整えた。それまで個別、単発的に地域の病院を支援してきたが、協定書を締結し、定期的に医師を派遣するのは初めて。 

 本年度、八戸市民病院へ心臓血管外科医、むつ総合病院へ放射線治療医、黒石病院へ神経内科医、公立野辺地病院に循環器内科医を週一回派遣。鯵ケ沢中央病院への内科医派遣で支援病院は五病院となる。 

 昨年夏から循環器内科の非常勤医の派遣を受けている野辺地病院では、野辺地地区の患者が県病で手術を受けた後、野辺地病院の循環器外来で継続的に診察を受けることが可能となった。同病院事務局は「患者さんのためにも、県病のサポートは大変助かる」と語る。 

 県病も医師数に余裕があるわけではないが二〇〇七年度、知事部局から独立した病院局となり、これまでの各診療科の医師定数が実質撤廃され、医師採用が柔軟になったことが医師派遣システムへ追い風になっている。 

 県病の吉田茂昭院長は「医師不足が深刻になっている中で、病院の運営ばかりではなく、地域医療を支えることが県病の使命だと考えている。今は人のやりくりが精いっぱいで、お手伝い程度のことしかできないが、今後、本格的なプロジェクトに展開するため、へき地医療をカバーする総合診療部を拡充し、医師を集めたい」と意欲を語る。 

 現在週四日、鯵ケ沢病院へ非常勤で医師を派遣している弘前大学医学部循環器内科呼吸器内科腎臓内科の奥村謙教授は「大学からの人的サポートができない場合、県病からでも他病院からでもサポートがあれば大変結構なこと。大学、県病などの中核機関が協力して地域医療を支えるのがベスト」と、県病の取り組みを評価する。 

東奥日報社