京丹後市 市立2病院の再編統合は、新病院建設が現実的



京丹後市 市立2病院の再編統合は, 新病院建設が現実的。 
2病院の存続は現市長の公約であり, 市民も支持している。 
しかし 市内4病院が現状で永続することは困難。 
市立2病院の中間地点に, 400床規模の新型救命救急センターを新築し, 4病院は独自に役割分担して存続する。 
この案なら, 府立医大の協力も得られるし,医師も招聘できる 。


[衆院選・京都の選択]争点(4)医師不足対策(連載)=京都 
2009.08.10 読売新聞  
  
 ◇2009衆院選 

 ◆~公立病院 5区を見る~ 産科に40分遠い安心 

 京丹後市西部に住む妊娠7か月の主婦(29)は、3か月前の出来事が忘れられない。腹痛に襲われ、出血した。3年前に長女を出産後、昨秋まで3回続けて切迫流産している。「まさか、また」。隣県の兵庫県豊岡市の公立豊岡病院まで、河梨(かわなし)峠を越えて車で約40分。後部座席で横たわり、無言のままハンドルを握る夫(28)の背中を見つめながら、「早く着いて」と祈った。 

 京丹後市内に二つある市立病院のうち、最寄りの久美浜病院に産科はない。産科がある弥栄病院は市東部にあり、約50分かかる。近くの民間診療所には入院設備がなく、豊岡病院を紹介された。今回は同病院の産科で無事に処置を受けられたが、主婦は言う。 

 「近くの病院で安心して出産したいだけなのに。地方の子どもたちは生まれる前からハンデを背負わされるのでしょうか」 

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 2004年に6町が合併し、約500平方キロ・メートルと広い同市では「市西部にも産科を」との声がある。しかし、同市の金久和幸・医療部長(56)は、「診察する医師がいない」と話す。 

 府内の医師数は、人口10万人あたりで272人と全国1位だが、同市など丹後地域では151人と、全国平均206人を大きく下回る。京都市・乙訓地域の半分以下だ。 

 弥栄病院でも06年7月には、産科の常勤医がいなくなり、ハイリスクの分娩(ぶんべん)の受け入れを休止。府が創設した医師バンク制度で07年4月に京都市内から医師を派遣してもらって再開したが、今も17診療科で常勤医は10人しかいない。 

 金久部長は府内や近隣府県の大学を訪ねて医師派遣を頼むが、「派遣する医師がいない」と断られるという。国が、新人医師に2年間の研修を義務付け、研修先を原則自由に選べるとした新医師臨床研修制度を創設した04年以降、難航するようになった。都市部の民間病院に人気が集まり、人手不足になった大学病院が従来のように公立病院への派遣をしなくなったことが背景にある。 

 今春、厚生労働省は、医師偏在を解消するとして、研修医数に都道府県ごとの上限を設ける改革案を提示。府については274人から上限を190人と全国で最も高い30%の削減率とされ、府が改善を求めている。金久部長は「府県単位ではなく、地域ごとにきめ細かく定めなければ、少ない人数が京都市中心部に集中し、北部の医師不足はより深刻になる」と表情を曇らせる。 

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 医師不足で診療科が閉鎖されると、患者が離れ、病院経営が悪化する。国の医療費抑制政策で診療報酬が引き下げられたことも影を落とす。府北部の市立病院では久美浜、弥栄両病院のほか、福知山市民病院、舞鶴市民病院が赤字だ。 

 舞鶴市では、同市民病院や国立病院機構・舞鶴医療センターなど4病院の再編が検討されている。同センターは1999年度に全診療科で24時間救急医療体制を確立したが、常勤医の減少で07年秋に一部の診療科以外では体制を縮小した。平野伸二院長(61)は「医師が地方で意欲を持てるシステムづくりが早急に必要だ」と指摘する。 

 このままでは、命を守る地域医療が崩壊してしまう--。住民や医師らの悲鳴に対する処方せんが、待たれる。 


[衆院選・やまぐちの課題](3)医療 産科激務、分娩中止も(連載)=山口 
2009.08.10読売新聞  
  

 「先輩の産科医が同じ病気で次々と亡くなった。激務を続けると『いずれ私も……』と不安になった。無理をして患者やスタッフに迷惑もかけられなかった」 

 防府市内の産科医の男性(65)は2005年3月、24年間続けてきた分娩(ぶんべん)を中止した理由をそう語る。2300件を超える出産を扱い、休み返上で分娩や診療にあたってきたが、気力や体力が続かなくなり、持病の不整脈の悪化を恐れてのことだったという。 

 同市内には、分娩を扱う診療所が一時6か所あったが、相次いで分娩を中止。今年度に入って1か所のみになった。「3人目の子も上の2人と同じ所でと考えていたのに。どこで産めばいいの」。ある妊婦の訴えは切実だ。 

 こうした事態は、本来、リスクの高い分娩などに対応する県立総合医療センター(防府市)にも影響を及ぼしている。350件程度で推移してきたセンターの年間分娩件数は、07年度に倍の700件を超え、今年度は4~6月の3か月間ですでに213件に達した。このままのペースで行くと年間840件に及ぶという。 

 センターの国弘哲哉事務局次長は「市内の分娩施設が減少した影響はある。相対的に職員の負担は増えている」と打ち明ける。 

 県厚政課によると、県内の医療施設で働く医師数は00年の3488人から06年には3588人に増えたが、産婦人科医は137人から112人に減少した。 

 県は08年、小児科、産科医を基幹病院に集める「集約化・重点化」計画を策定。県内6病院を連携強化病院に指定して優先的に医師を置き、地域の医療体制を確保することが狙いだ。 

 また、今年度から国の補助事業を活用した産科医確保支援事業もスタート。処遇改善を目的として、分娩を取り扱う産科医などに対して1回の分娩当たり1万円を上限に手当てを支給するという。

 さらに、産科医不足の一因とされる訴訟リスクの高さに対応するため、今年1月から、出産中の事故で子どもに重度の後遺障害などが残った場合、医師の過失がなくても補償する「産科医療補償制度」が始まった。ただ、対象が脳性まひの一部に限られるなどの制限があるなど、なお課題も残る。 

 防府市の産科医は「妊婦と子どもの命を預かるというハイリスクに対する補償や報酬が少なすぎる。抜本的な改善策を講じないと、燃え尽きて病院を去る医師がますます増えることになる」と訴えた。(香月大輝) 


 〈「集約化・重点化」計画〉 

 地域の中核病院(岩国医療センター、徳山中央病院、県立総合医療センター、山口赤十字病院、山口大医学部付属病院、済生会下関総合病院)に優先的に医師を配置し、地域医療を確保する計画。それぞれ小児科医を現行の5、6人から8人、産科医を3~6人から7人に増やすことを目標にしている。