愛媛県病院管理局の県立三島病院の民間委譲方針は改革ガイドラインとの整合性があり、 遅きに失したとはいえ地域医療の質が高められる。 愛媛県宇摩圏域は中小規模病院が林立して医師や機能が分散、圏域外の病院に患者が流出していた。

 

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愛媛県病院管理局の県立三島病院の民間委譲方針は改革ガイドラインとの整合性があり、 遅きに失したとはいえ地域医療の質が高められる。 愛媛県宇摩圏域は中小規模病院が林立して医師や機能が分散、圏域外の病院に患者が流出していた。 
民間移譲は「三島病院が地元既存病院と統合する形なら、診療機能も高まり、効率的運営や患者増が期待される」 。
県の9月定例議会での議決が再生基金選定の条件となろう。 

三島病院 民間移譲へ 2次救急確保条件 圏域内統合視野 県が方針 
2009.08.08愛媛新聞   
   県公営企業管理局は7日、経営形態見直しを検討していた県立三島病院(四国中央市中之庄町)について、民間移譲する方針を発表した。2次医療圏域内の病院との経営統合を視野に「地域の中核病院を形成し、医療機能を向上させたい」としている。早ければ2009年度末に県立病院として廃止する。 

 移譲方針は同日まとめた第3次県立病院財政健全化計画に盛り込んだ。 

 移譲は2次救急医療の確保を絶対条件、産科や小児科の再開などを希望条件に、近く公募を開始。宇摩圏域の医療機能再生の手法を企画提案してもらい、外部委員を含む審査会が9月上旬に優先交渉相手を決める。移譲計画は、国交付金による「地域医療再生計画」の主軸とする。 

 同管理局は、宇摩圏域は中小規模病院が林立して医師や機能が分散、圏域外の病院に患者が流出していると課題を説明。県直営維持や県立新居浜病院のサテライト化、四国中央市への移譲など六つの選択肢について、医師確保、政策医療などの点から検討した結果、民間移譲は「三島病院が地元既存病院と統合する形なら、診療機能も高まり、効率的運営や患者増が期待される」などとし、問題点も少ないと判断した。 

 国立病院の譲渡事例に準じ、土地や建物譲渡は応募者負担軽減のため低価格を想定しており、三好大三郎公営企業管理者は「(応募は)あると思っている」と述べた。 

 住民説明会は現時点では未定。現在の職員は希望に応じ、他の県立病院に異動するか、他の民間医療機関に移るかなどの処遇を決めるという。 

 三島病院の累積損失は約100億円(08年度末)で、県の病院事業全体の赤字のほぼ半分。県は07年、赤字体質などを理由に、同病院の今後の方向性を「あらゆる選択肢を検討する」としていた。

 三島病院は1948年、日本医療団から県に移管。医師数は99年度の21人が09年度には9人に減少し、他病院からの応援診療で機能を維持している。現在13診療科183床だが、産婦人科、小児科、耳鼻咽喉(いんこう)科、眼科が休止、73床が休床中。県立病院の見直しで県は北宇和病院(北宇和郡鬼北町)を05年度、同町に譲渡している。 

【地域医療継続 抜本的対策を】 

[解説] 県立三島病院の民間移譲方針が決まり、併せて宇摩医療圏は巨額の国交付金が投じられる地域医療再生計画の対象圏域となった。県には単に病院を移譲するだけでなく、将来的に地域医療の継続が担保される抜本的取り組みが求められる。 

 三島病院は2004年、第2次県立病院財政健全化計画に基づき産婦人科など2科を休止。当時、病院ごとに特色を打ち出し運営を効率化するという方針で、三島は腎移植など高度医療の推進、脳疾患や小児の救急診療機能の拡充を目指した。 

 しかしその後、新医師臨床研修制度の影響などで医師不足が深刻化。08年7月に小児科が輪番日の救急対応だけになり、ことし4月には泌尿器科も縮小。6月には存続に努力してきた小児救急も中止になった。 

 赤字体質から抜け出せないとして経営形態も含めた見直しを決めたのは07年11月。見直し方針決定後、診療縮小や中止が相次いだこともあり、市民の間では病院存続への不安が高まった。民間移譲決定までのプロセスが見えにくく、反発も予想されるだけに、計画内容や今後の方向性について、まずは市民に対し十分な説明が必要だ。 

 利用を見込む国交付金は、事業運営の費用などソフトから施設整備などハードまで、かなり自由に使えるという。10月上旬の地域医療再生計画策定まであまりにも短い時間だが、地域全体で知恵を絞り、市民が納得できる内容にしなければならない。(政治経済部・高橋舞) 
   

県立三島病院民間移譲方針 医療集約 期待と疑問 不採算切り捨て懸念も 
2009.08.08愛媛新聞   
  

 地域再生医療計画の対象圏域に宇摩医療圏と八幡浜・大洲医療圏が決まり、県立三島病院(四国中央市中之庄町)を民間移譲し、宇摩医療圏の病院を経営統合するとの県の方針が決まった7日、地元関係者からは期待と疑問が交錯した。 

 井原巧四国中央市長は「対象圏域選定はありがたい。2次救急確保や三島病院の機能堅持に向け、県と医療体制の確保充実に取り組みたい」とコメント。同病院の西山誠一院長は「医師不足などで県立を維持できず残念」とした上で「中核病院ができれば、地域医療は現在よりも良くなる期待が持てる」と話した。 

 「市民が振り回されている感じ」とは未就学児2人を育てる主婦(29)。経営統合に理解を示しながらも「市民は医師との信頼関係で医療機関を選んでおり、医師を集めても患者が集中すれば、かえって受診しにくくなるのでは」と疑問を呈した。3児の母親(44)も「集約すれば医師不足の根本的解決になるのか」と述べた。 

 地域医療の状況を一変させ得る方針だけに、複数の宇摩医師会関係者は困惑の表情。ある医師は「集約化も一案だが、地理的に東西に長い四国中央市は病院の分散も必要だ」と指摘。小規模医療機関の経営難や不採算部門切り捨てを懸念する声もあった。 

 県立三島病院を守る会会長の小原朝彦・生協宇摩診療所長は「県立維持を求めてきたので、民間移譲は後退。利益追求の民間病院と違い、公立病院しかできない役割があるはず」とした。 

 一方、医師不足に悩む市立八幡浜総合病院を抱える大城一郎市長は「(地域医療再生計画)選定に厚く感謝する。地域医療体制構築へ大洲市、西予市など関係市町と一致協力して取り組む」とコメントした。