福岡市は来春、病院の経営主体を独立行政法人に切り替える。このため「非公務員的な発想で経営できるようになるのに、あえてPFIで民間委託する必要があるのか」




福岡市は来春、病院の経営主体を独立行政法人に切り替える。このため「非公務員的な発想で経営できるようになるのに、あえてPFIで民間委託する必要があるのか」 
「現行の市直営方式よりも、約30年間で85億円のコストが削減できる」というが 30年間の長期経営計画なるものは砂上の楼閣ではないのか。VFMは詐欺的用語! 


公立病院「民」生かせる? 福岡市PFI方式導入 先行自治体赤字増加も 新こども病院の計画見直し/九州 
2009.07.24西日本新聞   
  

 九州全域から患者が訪れる福岡市立こども病院の移転・整備計画が、見直しを迫られている。福岡市は民間の資金や経営手法を生かすPFI方式の導入を決めたものの、先行した全国各地の病院が相次いで頓挫しているためだ。コスト削減とサービス向上の両面で期待を集めるPFIが、病院事業では効果を上げにくい実情が浮き彫りになってきた。 (都市圏総局・鶴加寿子) 


 PFIは、民間の資金で公共施設を建設、運営し、自治体などが長期にわたりサービス料を支払う仕組みをいう。「官から民へ」をスローガンに掲げた小泉政権下で、公園や庁舎整備などに利用されて一気に広がった。 

 「『民』の知恵で『官』の無駄を省き、公共サービスがより安く、良くなる」とされるPFI。赤字体質に悩む全国の自治体病院が、注目するのも自然の流れだった。 

 これまでに13の自治体病院がPFIによる整備や運営の導入を決め、うち4病院が開院した。 

 福岡市は昨年夏、PFI方式の導入を表明。今年3月、新こども病院の設計や建設、清掃、医療器具の消毒、給食提供など複数業務を民間の特定目的会社(SPC)に一括発注する考えを打ち出した。市は「現行の市直営方式よりも、約30年間で85億円のコストが削減できる」と見込んだ。 

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 しかし、先行自治体の目算は狂った。4病院のうち滋賀県近江八幡市の病院は3月にPFI契約を解除し、4月に市直営に戻した。高知市の病院も6月、PFI契約解除を検討すると表明した。 

 近江八幡市の場合、PFIで経営は悪化した。旧病院時代よりも建物管理費などの経費が増える一方で、受診者数が予想に満たず収入が減って赤字が膨らんだという。 

 市庁舎改築など、単なる公共施設の建設・維持管理のPFIは成功例が多いとされる。病院運営はなぜ難航するのか。 

 大きな理由は収支構造にある。病院の収入は業績に左右される上、診療報酬が2年ごとに改定されるなど国の医療政策による変動要素を含む。先の収入が不確定にもかかわらず、病院側が10年や20年にわたって固定額を支払う契約をSPCと結ぶことから、破たんも起きる。長期契約が特徴のPFIが「もろ刃の剣」ともされるゆえんだ。 

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 福岡市は全国の失敗事例を受け、6月にPFIの縮小を表明。設計や建設など建物関連の業務はPFIで進めるが、そのほかの業務は適用を絞り込む。民間資金と起債で折半するはずだった病院建設費も、全額を起債で賄うことにした。2014年3月の新こども病院開院に向けて、市の担当者は「確実で安全なPFIにするため慎重に考えたい」と話す。 

 同市は来春、病院の経営主体を独立行政法人に切り替える。このため「非公務員的な発想で経営できるようになるのに、あえてPFIで民間委託する必要があるのか」との指摘も出ている。 

 PFIで運営する八尾市立病院(大阪府)の阪口明善・事業管理者は「不採算医療も担う自治体病院は、そもそも経営が苦しい。PFIでも黒字化は容易でなく、市民は負担を覚悟しておくべきだ」と指摘。PFIを導入する自治体同士が情報交換し、課題を共有して解決に取り組む重要性を提言している。