小児医療 印旛方式  診療所は、平日・土曜は午後7時から翌朝6時、日曜・祝日は午前9時から午後5時と、午後7時から翌朝6時までを受け持つ。印旛市郡医師会の小児科



小児医療 印旛方式  
診療所は、平日・土曜は午後7時から翌朝6時、日曜・祝日は午前9時から午後5時と、午後7時から翌朝6時までを受け持つ。印旛市郡医師会の小児科医ら58人が交代で診療にあたるが、最大の特色は、2次救急病院から30人の勤務医が参加していること。全国の小児医療関係者が「印旛方式」と呼ぶユニークな取り組みだ 


[医を支える](4)小児救急 病院医師、診療所に参加(連載)=千葉 
2009.07.08 読売新聞   
  
3日午前0時半、佐倉市にある印旛市郡小児初期急病診療所に、けいれんを起こした女児が救急車で運び込まれた。国立病院機構下志津病院(四街道市)の松浦朋子医師と、診療所の藤谷敬子看護師長が「意識はしっかりしているので大丈夫ですよ」と声をかけると、両親はほっとした表情を浮かべた。 

 この夜、重症の小児患者を診る2次救急当番は下志津病院。松浦医師は非番を利用しての診療所勤務だった。西牟田敏之名誉院長(県小児科医会会長)は「診療所で軽症の患者さんを診てもらえるので、病院は重い症状の人に集中できる。うちの医師は診療所に毎月計約8回行くが、病院に初期救急の患者さんが集中した時の大変さを考えれば、負担は逆に少ない」と話す。 

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 診療所は、平日・土曜は午後7時から翌朝6時、日曜・祝日は午前9時から午後5時と、午後7時から翌朝6時までを受け持つ。印旛市郡医師会の小児科医ら58人が交代で診療にあたるが、最大の特色は、2次救急病院から30人の勤務医が参加していること。全国の小児医療関係者が「印旛方式」と呼ぶユニークな取り組みだ。 

 小児の2次救急を担うのは、下志津、東邦大医療センター佐倉、日本医大千葉北総、成田赤十字の4病院。意識障害や呼吸不全などの重症患者や、精密検査が必要と判断された場合などは、これらの病院が、曜日ごとに当番を決めて対応する。 

 診療所の受診者数は2002年10月の開設以降、08年3月までに延べ9万5185人に上る。このうち2次救急病院への紹介数は3%弱の2815人。受診者数も03年度の1万6503人から減少を続け、08年度は1万1240人だった。 

 所長を務めるこどもクリニックmom(佐倉市)の川村麻規子院長は、「診療所では、翌日に地元のかかりつけ医へ行くことを勧めているので、クリニックに来た時は救急にかかる目安も説明している。そういう積み重ねによって、親の皆さんも上手なかかり方を身につけてきたのでは」と見る。 

 印旛市郡医師会の追川孝雄元会長や西牟田名誉院長らと印旛方式の立ち上げに尽力し、自らも率先して診療所勤務をこなす東邦大佐倉病院の舘野昭彦副院長は、「診療所があることで、病院が本来果たすべき救急医療を守ってもらえる。小児科では医師1人当たり月5、6回の当直があるが、仮眠をとれる日が増えた」と笑顔を見せる。 

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 診療所の運営費用は年間約1億5000万円。佐倉市によると、歳入の9割以上は診療費や県の補助金でまかなうが、赤字分は同市を含む11市町村が受診者数に応じて負担する。07年度は1613万円の歳入が不足したため、08年度予算で佐倉市931万円、四街道市214万円、八街市198万円などの負担となった。 

 決して小さな金額ではないが、子供を安心して産み、育てる環境づくりのためならば、理解が得られる範囲だろう。多くの医師や看護師、薬剤師が集う診療所は、情報や経験を伝え合う場になっており、医療安全管理の講習会開催へとつながるなど、地域医療の底上げにも寄与している。「『おらが町』の小児救急になってきた」。舘野副院長は手応えを感じている。