栃木県佐野市民病院 07年3月末には、常勤医「0」という異例事態に追い込まれた。



栃木県佐野市民病院 
07年3月末には、常勤医「0」という異例事態に追い込まれた。その4月、JR東京総合病院の副院長を務めたこともある福光正行院長(70)ら2人の医師が赴任。仲間の医師らに声をかけ、現在は常勤医6人、非常勤医約70人で、総合内科や外科、消化器科、泌尿器科など13診療科を維持している 


(患者を生きる:1002)連載1千回に寄せて:5 待合室に冊子、情報わかりやすく 
2009.06.27朝日新聞   
  

1階にある待合室の小さな本棚に、「患者を生きる」の冊子が置かれている。 

 06年4月の連載開始以来の全記事のコピーがとじられ、画用紙の表紙に手書きの目次がついている。地域医療連携室顧問の小野正弘(おのまさひろ)さん(70)のアイデアだ。診察や会計を待つ患者や家族が時折、目を通していく。 

 室長を務める看護師の矢島和子(やじまかずこ)さん(55)は、「患者は、同じ境遇にある人の記事を読んで
『自分だけじゃない』と励みになる。私たちも患者が何を考えているのか想像するきっかけになる」と話す。 

 74年に開院し、地域医療を下支えしてきた同病院も医師不足に苦しんできた。04年に医師の臨床研修が義務化され、大学病院が医師を引きあげたため、07年3月末には、常勤医「0」という異例事態に追い込まれた。 

 その4月、JR東京総合病院の副院長を務めたこともある福光正行(ふくみつまさゆき)院長(70)ら2人の医師が赴任。仲間の医師らに声をかけ、現在は常勤医6人、非常勤医約70人で、総合内科や外科、消化器科、泌尿器科など13診療科を維持している。 

 福光院長が真っ先に提案したのが、地域医療連携室の設置だった。限られた医療資源を活用し、他の医療機関や医師会とのつながりを強めるためには、地域に開かれた「窓口」が必要と考えたからだ。 

 その年の5月から、地域医療連携室は、患者の受け入れの調整、診療所への逆紹介などを進めてきた。病院の医師が講師になって、新型インフルエンザや糖尿病といったテーマで市民講座を月1度開くほか、今春から「市民病院だより」の発行もスタート。外来診療の当番表、新しい医療機器の導入のニュースなどの情報を載せている。 

 市内で薬局を営む小野さんは、昨年10月から顧問になった。「患者を生きる」の記事のコピーを薬局に来た人に渡していた小野さんは、さっそく冊子作りを提案した。 

 自身も結核やC型肝炎を患った小野さん。「患者は情報を求めて手探り状態なんです。みんな遠回りしながら、自分に合う治療や患者同士のつながりを探している。情報があれば少し近道ができる」と話す。 

 連載は1千回を超え、手作りの冊子も11冊目に入る。「連載が続く限り、切り抜きは続けようと思います」と小野さんは言う。 

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 「患者を生きる」はアスパラクラブのウェブサイト「健康club」に掲載しています。 


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