医師数は増えているが地域に必要とされる医師がいないことが問題・・三重大に竹村洋典病院教授(家庭医療学)

 

 


三重大の竹村洋典病院教授(家庭医療学) 
「医師数は増えているが、地域に必要とされる医師(家庭医)がいないことが問題。プライマリーケア(初期診療)をできる医師がいないと、医療はうまくいかない」と主張する。 


★SOS地域医療 再生への方途パートII★(2) 三重大の取り組み(上) 若手の「家庭医」育成 
2009.06.24岩手日報  
  

 患者のニーズに応えるため、専門分野に関係なく、何でも診察する総合医。三重大(津市)は「家庭医」と呼び、全国から若い医師たちを受け入れ、育成に取り組んでいる。 

 同大の竹村洋典(ようすけ)病院教授(家庭医療学)は「医師数は増えているが、地域に必要とされる医師(家庭医)がいないことが問題。プライマリーケア(初期診療)をできる医師がいないと、医療はうまくいかない」と主張する。 

 同大は2005年に家庭医療学教室を設置した。津市の郊外にある県立一志(いちし)病院(飛松正樹院長、46床)を拠点とし、07年度から3年間の育成プログラムをスタートさせた。 

 04年度からの臨床研修制度の導入で、それまで一志病院に医師を派遣していた三重大の内科系教室が医師を引き揚げたことがきっかけだった。 

 一志病院には現在5人の常勤医が勤務、このうち2人は2年間の臨床研修制度を終えたシニアレジデント(後期研修医)。内科(9カ月)、小児科(6カ月)をほかの病院で研修するなど、幅広い臨床能力を身に付ける。 

 農村部にある同病院は患者のほとんどが高齢者。家族や地域を巻き込んだ医療を行う家庭医を育成するには理想的な環境だ。 

 着任3年目の飛松院長(35)は「お年寄りは内科系の診察で訪れても、腰や足も痛いと訴える。こうした患者の訴えを受け止めていくことが地域医療には必要だ」と話す。 

 病気だけではない。「眠れない」「たばこをやめられない」など、相談は多岐にわたる。その分、診察時間は長くなるが「すべてに耳を傾けることが、病気予防や的確な診断につながる」と患者に安心を与えている。 

 1カ月に1回通院するという市内の横山カズさん(82)は「何でも話を聞いてくれる。この前はコレステロールを抑える食事を教えてもらった」と感謝する。 

 同病院の08年度赤字額は、前年度より4400万円縮減されたものの、7200万円を計上。県は県立病院の改革案で同病院の民営化の方針を示すなど、経営環境は厳しい。 

 総合診療は診察に時間がかかる割に、手術や高額な検査を行わないため、経営面からみると、決して採算がいいわけではない。 

 それでも、飛松院長は「うちのような病院が頑張らなければ、専門医の負担はもっと重くなる。若い医師たちに関心を持ってもらうための教育が必要だ」と強調する。 

 三重県の医師不足の状況とは 人口10万人当たりの医師数は186・2人(06年12月)。全国平均(206・3人)より20・1人少なく、全国順位は38位。本県は186・8人で全国37位。三重県は診療科別でもほとんどが全国平均を下回っており、脳神経外科は4・0人(全国平均4・9人、本県5・9人)で全国41位、麻酔科は2・3人(同4・9人、同3・1人)で全国最下位など、医師不足は深刻になっている。