「勤務医と開業医の給与格差の是正を」、財政審が建議まとめる



「勤務医と開業医の給与格差の是正を」、財政審が建議まとめる 

(2009年6月3日18時15分配信 m3.com) 

 地域間、診療科間、病院・診療所間における医師の偏在を踏まえ、これを早急に是正する方策を検討する必要がある。そのための具体的な手法としては、経済的手法と規制的手法がある。 

 財務省の財政制度等審議会は6月3日午後2時30分から会議を開き、「平成22年度予算編成の基本的考え方について」と題する建議( http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaiseia/zaiseia210603.htm )をまとめました。 

  
 全体では、厳しい経済情勢を反映して、財政健全化の必要性を強調しているのが特徴。「基本方針2006」については、「基本的考え方の重要性はいささかも変わらず、むしろより一層高まっている」「平成22年度予算も、基本方針2006の考え方を踏まえた歳出改革を維持」としています。つまり、「社会保障費の伸びを2200億円抑制」という方針の撤廃は求めていません。 

 医療分野に目を向けると、建議を読み解くキーワードは、「偏在の解消」「配分の見直し」。 

 建議が、一番問題視しているのが「医師の偏在」。大学医学部の定員増については否定はしていませんが、偏在の解消を最優先すべきという方針を打ち出しています。「勤務医が激しい勤務環境に置かれている中で、平均年収(約1415万円)が、開業医の概ね半分程度であることなどが開業医志向が高まっている要因」などとし、「診療報酬の配分の見直し」などを求めています。 

 また医療費のあり方についても、総額の議論のみならず、「むしろ病院・診療所間の配分が適切に行われるよう、抜本的見直しを行うことが必要」としています。 
  
 そのほか、混合診療の解禁や保険免責制の導入など、所得による医療格差につながりかねない項目も盛り込まれており、今回の建議に医療界から反発が出るのは必至でしょう。6月半ばには、「経済財政改革の基本方針(骨太の方針)2009」が決定する予定です。この「骨太」に今回の建議がどの程度反映されるかが次なる焦点です。 
  


【医師の偏在是正に向けた検討】 

1.医療費配分の見直し=経済的手法 

・診療報酬の配分や報酬体系の見直し 
 (1)病院勤務医の負担軽減に確実につながるよう、診療所(開業医)に偏っている現状を見直し、病院に対する診療報酬を手厚くする、(2)医師の経験や専門性等に応じた診療報酬の配分が可能になるよう見直す、など。 

・診療報酬改定プロセスの見直し 
 (1)中医協以外の場でも、医療費の配分について議論、(2)中医協の在り方そのものの見直し、など。 

2.医師の適正配置に向けた検討=規制的手法 

 諸外国の例を基に、「医師が地域や診療科を選ぶこと等について、完全に自由であることは必然ではない」と指摘。フリーアクセスについても、諸外国では一定の制限がある現状を紹介、わが国でも医師不足の解消に向け、早急な対策を講じることが必要だとした。 

3.医療従事者間の役割分担の見直し 

 現在は医師が行っている業務や事務について、その役割分担の見直しを進め、勤務医の就労環境の改善を図る。 
  


【医療費の負担のあり方について】 

・ 財源を税と保険料のいずれで賄うかを検討 
・ 安定財源の確保に向けた検討 
・ 後発医薬品の使用促進等による医療給付の効率化やレセプトオンライン化等による医療IT化の推進 
・ 医療に関する患者の選択の自由度を高める方策を拡大(混合診療の解禁など) 
・ 少額の医療費の患者負担の在り方を検討(保険免責制の導入など)