地域医療もう限界 赤字続く厚生連病院 公立並み支援を/秋田

地域医療もう限界 赤字続く厚生連病院 公立並み支援を/秋田 
2009.05.27 日本農業新聞  
  

 地域医療の中核を担うJA厚生連病院の経営は、診療報酬の減額や医師不足などから全国で危機的状況を迎えている。9つの病院を抱えるJA秋田厚生連も2期連続の赤字。このままでは、病院によっては運営が困難になる可能性も懸念されている。同厚生連は、公的な役割を果たす医療機関として公立病院並みの交付金と、十分な医師数の確保に向けた医療制度の見直しを国に求める。 

 ドミノ倒し--。農村地帯の八郎潟町にある秋田厚生連病院の一つ、湖東総合病院の小玉雅志院長は、医師が連鎖的に病院を辞める事態をこう表現する。常勤医師が2人いた循環器科では、3月末に1人辞めたことで負担が増えたもう1人も辞め、常勤医師がいなくなった。そのしわ寄せでほかの科の2人が辞め、21人いた常勤医師のうち合わせて4人が病院を去った。 

 日中は系列病院からの応援でしのいでいるが、夜間の緊急時には最悪の場合、45分以上かけて秋田市内の病院まで搬送するしかない。「残った医師も限界に達している」(小玉院長)。 

 都市部の大仙市にある仙北組合総合病院の小野地章一院長も指摘する。「もうがけっぷちに近い。湖東病院のような事態は、どの病院でも起こり得る」 

 568床と大規模な仙北組合総合病院では常勤医師が60人いる。だが、1カ月間ほとんど休みがなく夜間もしばしば呼び出される。「疲労で医師がいつ辞めるか分からない」(同)。 

 医師不足による経営への影響も大きい。診療を制限せざるを得ず、通常「医師1人で1.5億円」といわれる収入も減っている。 

 3期連続の赤字を防ぐため県は、08年度(6月決算)に13億4600万円の緊急支援を決めた。これで今期は赤字を何とか避けられても、来期以降は不透明だ。県内には県立総合病院はなく、厚生連病院が中核を担う。秋田厚生連の小棚木章理事長は「今までJAで何とか運営してきたが、自助努力は限界だ」と訴える。 

 同厚生連によると、公立病院には国から1床当たり年間約48万円の交付金がある。例えば自治体病院が中心の岩手県は09年度、22の県立病院分だけでも国の地方財政措置を含めて178億円を病院の運営費に当てる。秋田厚生連の場合、国の交付金が出るとすれば19億円ほどだが、実際は民間のためゼロだ。 


■公的役割大きい 

 医療問題に詳しい東北大学大学院の伊藤恒敏教授の話 今や公立病院でも7割以上が赤字で、医師は全国で3万人足りないというデータもある。国の医療そのものが破綻(はたん)している。厚生連病院の地域医療に果たす役割は大きく、公的機関としての支援が必要だ。