根室市立病院 地域の医療提供体制の現実を踏まえ医師派遣の観点から, 現在地での新築を急ぎ医科大学の付属病院化を目指すべきである

 
根室市立病院 地域の医療提供体制の現実を踏まえ医師派遣の観点から, 現在地での新築を急ぎ医科大学の付属病院化を目指すべきである。  
    

<建て替えへ 市立根室病院の課題>4*専門家2人に聞く 
2009.05.16 北海道新聞      

 建て替えに向け、市立根室病院が抱える課題に対して、市や市民はどう向き合っていくべきか。昨年、市内で講演し、市立病院の現状にも詳しい識者2人に聞いた。 


東日本税理士法人代表社員 長隆さん 

*大学の付属病院化を 

 公立病院改革プランは実態に合わせて、どんどん修正してほしい。病床数は確実に確保できる医師数と看護師数から逆算し、決めるべきです。市が医師確保に努力したことは認めますが、永続的に医師が集まるとは限りません。 

 指定管理者制度を導入し、北大医学部と札幌医大、旭川医大の道内三医大に付属病院化を求めることを勧めます。大学の付属病院になれば、医師数は確実に充足するので、病床数は百五十床ぐらいあっていいでしょう。 

 大学病院に毎年、五千万円から一億円を交付し、さらに一般会計からの基準内繰り入れ約二億円も全額交付すれば、管理者に名乗りを上げる大学があるはずです。 

 建て替える病院についてもあまり口出しせず、管理者に好きに造ってもらうことが大事です。事業費は同規模の共立湊病院(静岡県南伊豆町)が二十五億円なので、参考にしてください。ただ、管理者が五十億円で造ると言ったら、従うべきです。その分、家賃で負担してもらえばいい。 

 指定管理契約は十年以上にすれば、安定的に地域医療を守れます。現在の職員の身分も、大学職員になることで納得してもらえると思います。大学病院に任せれば、患者も増え、黒字経営に転換するでしょう。 

 現病院は廃屋同然で、早急に建て替えが必要です。六月の定例市議会で、指定管理者制度の導入を決め、十月には着工してほしい。二〇一一年三月には必ず竣工(しゅんこう)できます。厳しい目標を持って、一気呵成(かせい)にやるべきです。 

 大学の付属病院化は夢物語ではありません。必ず公募に応じる大学があると自信を持っていい。市は本気で改革に取り組むべきです。 

<略歴> おさ・たかし 早大政経学部卒。2007年7月から08年3月まで、総務省公立病院改革懇談会座長。68歳。 




*青森西北五地域医療を守る住民の会事務局次長 金川佳弘さん 

*住民ニーズに応えて 


 自治体病院の新築を考えるポイントは、第一に地理的条件です。市立根室病院の場合、三次医療圏の釧路までの搬送時間を考えると、地域で医療を完結させる必要があります。 

 二つ目は人口構成です。高齢者の割合が高くなる中、人口が減るからと規模を縮小していいのか。逆に高齢者に多い疾患に対応できる病院が必要ではないでしょうか。 

 三つ目は市民にどういう疾患が多いかを考えるべきです。疾患の割合を見ながら、どういう診療科を充実させるかという議論が必要になります。もう一つ、どの疾患の患者がどれだけ地域で受診しているのか。医療圏の外で受診する割合が高い疾患はニーズがあるので、強化すべきです。 

 根室は医師不足のため患者の三分の一が流出しています。住民のニーズに応える病院に変われば、患者は増えます。今の数字を反映させた病床利用率から新築後の病床数を決めるのは間違いです。医師確保に特効薬はないが、うまくいき始めているところは病院と自治体と住民が共同で取り組み、ニーズに応えようとしています。 

 自治体の財政を優先し、そこから規模を決めると、地域の実態に合わない病院ができてしまいます。順番を間違えたら大変です。 

 公立病院改革プランに法的拘束力はありません。財政健全化がうまくいかなかったとしても、ペナルティーは公立病院特例債の利子の交付税補てんがもらえないだけです。一般会計からの繰入額が多くても、地域の同意が得られていれば、かまわないと思います。 

 必要なのは、五十年先のまちづくりを考えた徹底した市民の議論です。そのためにも市はもっと情報を提供すべきです。この手順を踏まず、着工はあり得ません。 

<略歴> 

 かながわ・よしひろ 弘前大医療技術短大卒。青森県五所川原市立西北中央病院中央検査部に勤務。47歳。