栃木県の改革プラン策定にあたり、有識者会議「県立病院のあり方検討委員会」の委員長を務めた長谷川敏彦・日本医大教授(医療管理学)は、取り組み状況や成果に対して「第三者による評価が不可欠」と強調



 栃木県の改革プラン策定にあたり、有識者会議「県立病院のあり方検討委員会」の委員長を務めた長谷川敏彦・日本医大教授(医療管理学)は、取り組み状況や成果に対して「第三者による評価が不可欠」と強調。
「改善が見られなければ民営化の決断も必要。収支面だけでなく、地元への貢献度なども情報公開し、真に地域に有効な病院か住民の信を問うべきだ」と指摘する 


[スキャナー・とちぎ]赤字膨らむ公立病院 改革待ったなし=栃木 
2009.04.25読売新聞 
 

 ◇SCANNER 

 
◆識者「第三者評価が不可欠」 

 栃木県内6か所の公立病院で赤字額が膨らんでいる。医師不足による患者数の減少や診療報酬引き下げなどが背景にある。各病院は今年度から、2~11年後の黒字化を目指して「公立病院改革プラン」に取り組む。経営改善を進め、地域医療を支える中核病院として存続できるか。(勝俣智子、木引美穂) 

 ■医師確保が大前提 

 那須南病院(那須烏山市中央)で週2日だった整形外科の診療日が今月、週4日に拡大された。4年ぶりに同科の常勤医が採用でき、非常勤医と合わせて2人体制の診療が可能になったためだ。「毎年1人新たな常勤医を確保し、安定した病院運営につなげたい」。大武克男事務長は力を込める。 

 16人いた同病院の常勤医は、2006年度に11人まで減少。それに伴い、05年度に93・5%だった病床利用率は10ポイント低下し、06、07年度の赤字額は1億円を突破した。改革プランでは、10年度に病床利用率を90%台に回復させ、黒字化を目指す。医師数増を前提に、外来患者や手術件数などの目標も増加を見込んだ。 

 11年度の黒字化を掲げた小山市民病院(小山市若木町)は、病床利用率85%が「黒字化の分岐点」とみる。試算では1日平均の入院患者を30人増やせば達成可能な数字だが、「7割が自治医大からの派遣」という常勤医36人を維持することが必須条件だ。 

 ■見直し踏み込めず 

 総務省が07年度に示した改革の指針では、赤字脱却が難しい場合、指定管理者制度による公設民営化や病床数削減などの抜本的見直しを求めている。07年度決算では4病院が億単位の赤字を計上したが、いずれも当面は現状維持の方向だ。 

 栃木県立3病院は、精神医療を専門とする岡本台病院を除き、黒子化には少なくとも10年かかる。07年度末時点の累積赤字は計184億円に上り、経営健全化は待ったなしだが、「経費節減などを進めて少しずつだが赤字を減らす」(県医事厚生課)とし、抜本的な見直し策には踏み込まなかった。 

 指針では、民間参入が見込めない〈1〉過疎地〈2〉救急など不採算部門--などの分野を公立病院の役割として示している。那須南、小山市民の両病院は地元自治体で唯一の救急輪番制病院のため、「病床や診療科の削減は考えていない」と規模縮小には否定的だ。 

 ■民営化決断も必要 

 改革プランの中には、病院の収入にあたる医業収益を1年間で12%(約8億円)増加させるとした病院もあり、実効性に疑問が残る計画もある。地方の医師不足が深刻化する中、経営改善の前提である医師確保ができるかも不透明だ。 

 県の改革プラン策定にあたり、有識者会議「県立病院あり方検討委員会」の委員長を務めた長谷川敏彦・日本医大教授(医療管理学)は、取り組み状況や成果に対して「第三者による評価が不可欠」と強調。「改善が見られなければ民営化の決断も必要。収支面だけでなく、地元への貢献度なども情報公開し、真に地域に有効な病院か住民の信を問うべきだ」と指摘する
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