病床利用率、奥多摩病院は基準以下 総務省がベッド削減要求、院側難色=多摩



病床利用率、奥多摩病院は基準以下 総務省がベッド削減要求、院側難色=多摩 
2009.04.17読売新聞   
  


 ◇地域医療再生 

 ◆院側難色「冬場、入院増える」 

 多摩地区にある8公立病院(都立病院を除く)のうち、奥多摩病院(奥多摩町)のみ、総務省が経営健全化の指標として示した病床利用率の基準を満たしていないことが分かった。同省は病床数の削減や診療所への転換を求めているが、奥多摩病院側は、町内にほかに一般病院がないことから、大幅な削減は難しいとしている。ほかの病院も経営は楽ではなく、3年連続で経常黒字なのは青梅市立総合病院だけだ。 

 総務省は公立病院の経営健全化に向け、2006年度から08年度(見込み)の経営の現状と、09~11年度の目標を示した「公立病院改革プラン」を全公立病院に提出させた。 

 3年連続で病床利用率が70%を下回った場合、病床数の削減などが求められる。病床利用率は、病院のベッド数に対する入院患者の割合を示す。奥多摩病院の場合、40・2%、43・9%、45・9%と基準を大幅に下回っている。 

 同病院は「町民に高齢者が多く、冬場に入院患者が増える」と病床を抱える事情を説明し、「経営改善は必要だが、数字ばかりが先行するのはどうか。隣接する山梨県からも患者が来ており、病院をなくすわけにはいかない」と訴える。 

 また、08年度で奥多摩病院のほか公立福生病院、公立阿伎留医療センター、日野市立病院が全国平均(77・5%)を下回った。 

 総務省は、病床利用率だけでなく、一般会計からの繰り入れを含めた「経常収支比率」などを出させている。同比率は100%を超えると黒字となる。 

 06年度から経常黒字を続けるのは、青梅市立総合だけ。ただ、08年度決算で6億8700万円を一般会計から繰り入れている。ほかの病院も1億2000万円(奥多摩)~17億1900万円(公立昭和病院)の幅で繰り入れを行っており、4病院が08年度、全国平均(95・1%)を下回った。 

 繰り入れを含めず、医療収益だけでどれだけ人件費や材料費などがまかなわれているかを示す「医業収支比率」で見ると、08年度に全国平均(89・4%)を上回るのは、青梅市立総合のみだ。 

 赤字になる理由として、「医師が足りず、収益が大きい入院患者の受け入れが制限された」と訴える病院が多く、全国的な医師不足の傾向が経営に影を落としている。 

 総務省は経常収支比率の黒字化を求めており、各病院は改革プランで職員給与体系の見直しや競争入札の拡大などの経営改善策を示している。町田市民病院は今年度から経営責任者として「病院事業管理者」を置き、経営形態を見直した。 

 一方、検討が求められていた病院同士で病床数や診療科などを調整する「再編・ネットワーク化」については、いずれの病院も具体的な再編案の提示を見送った。地方に比べ、「そこまで経営は悪くない」(稲城市立病院)などを理由に挙げている。 



◇多摩地区 公立病院の経営指標(単位・%)(  )は病床数 経常収支比率 病床利用率 医業収支比率 
08年度 
見込み 11年度 
目標値 08年度 
見込み 11年度 
目標値 08年度 
見込み 11年度 
目標値 
公立昭和病院(493) 95.7 100.1 87.3 92.1 81.2 87.4 
町田市民病院(458) 87.9 95.2 80.0 87.0 79.6 87.2 
日野市立病院(300) 92.4 101.3 71.3 85.9 87.2 95.6 
稲城市立病院(290) 97.7 100.0 82.0 87.0 84.5 88.2 
青梅市立総合病院(562) 101.7 101.8 83.3 83.3 95.2 95.1 
公立福生病院(265) 80.6 95.0 61.5 84.4 68.3 86.7 
公立阿伎留医療センター(310) 78.5 86.6 63.4 80.8 69.5 79.1 
奥多摩町国民健康保険奥多摩病院(49) 100.4 102.4 45.9 48.8 67.4 66.6