長崎大学の方針は至極当然! 長崎新聞の論理的批判に全く耳を貸さない 長崎市民病院新築計画はPFI破綻の三番手になること必定である。



長崎大学の方針は至極当然! 長崎新聞の論理的批判に全く耳を貸さない 長崎市民病院新築計画はPFI破綻の三番手になること必定である 
長崎市長は「地域医療の将来ビジョンの欠如」とまで批判されて恥ずかしくないのであろうか? 


記者の目 拡大版/報道部 堂下康一/どうする新長崎市立病院/急速に変わる国の医療政策/将来ビジョンの欠如/長崎大が救命センター設置へ//PFI導入の説明責任果たせ 
2009.06.28長崎新聞   
  
長崎市の長崎大学病院が2010年度にも救命救急センターを設置する方針を固めた。しかし、救命センターは今年2月、新長崎市立病院と日赤長崎原爆病院の統合構想が頓挫した末、新長崎市立病院が13年度の開業に向け設置を計画していた。迷走する長崎地域の医療体制。背景には急速に変わる国の医療政策と、地域医療の将来ビジョンの欠如がある。 

 昨年6月から今年2月にかけ、長崎市内では新市立、原爆両病院の統合論議が盛り上がっていた。04年度の新卒医師臨床研修制度の導入を機に、県内各地に医師を派遣している長崎大学病院は医師不足に陥った。このため、長崎大と県は医師が魅力を感じる、救命センターを備えた高機能病院を統合で建設するよう、市に要請していた。 

 これに対し市は、既に新病院計画が進んでいるうえに統合は時間がかかるとし、要請を拒否。代わりに新病院でも高度医療を提供できるとして、病床数を当初の450から506に拡大。常勤医も62人から92人に増やし、救命センターの設置も盛り込んだ。 

■「救急」を充実 

 だがこの計画は実現性が疑問視された。新病院となる今の市民病院と成人病センターの常勤医を単純に足しても92人には20人以上不足する。しかも救命センターの運営には病院全体で最低でも100人の常勤医が必要とされるが、市が医師派遣の大半を頼る長崎大学病院は「今以上の協力は困難」とした。そして統合論議決着から約4カ月後の6月上旬。大学病院はこれまでの方針を転換し、救命センターの設置を表明した。 

 当初、長崎大が市に統合を要請した根拠は、総務省が07年12月に公表した公立病院改革ガイドライン。長崎市内のように中小病院が散在する地域で、医療機関の効率的な配置を求めていた。だが統合が行き詰まった直後、国の検討会は10年度からの臨床研修制度見直しを提言、救急部門の充実を盛り込んだ。 

 長崎大学病院側は方針転換の理由を「研修医の減少を食い止めるには救急に力を入れていることをアピールするしかない。今の救急部を拡充させて救命センターを設置する」と説明する。今後は救急専門医の育成、センターをバックアップする各診療科の態勢充実が不可欠となる。 

■すみ分け必要 

 そうなれば、大学病院が新病院に医師を派遣できる余地はさらに狭まってくる。しかし、市は、大学病院の救命センターは最重症の3次救急患者を中心に想定、新病院は軽症の1次~3次患者までを受け入れるため機能が一部異なるとして、救命センターは計画通り設置するという。 

 また文部科学省の方針で長崎大学病院が新生児集中治療室(NICU)の整備を進めるため、市は新病院のNICU削減を検討中だが、総病床数506は大幅に変えないという。市は「もともと530~540床は必要と思っており、NICUの減った分はほかの診療科に振り分ける」と説明する。ならばなぜ当初450床で計画したのかとの疑問が生じる。 

 市の一連の対応は、各省がばらばらに打ち出す医療政策とそれに伴う長崎大学病院の方針に振り回されている感もあるが、裏を返せば大学病院との協議が不十分で新病院のコンセプトがあいまいなのだ。その一方で「箱」の建設計画にはこだわっている。長崎市議からは「大学病院と同じような機能を持つのではなく、すみ分けが必要ではないか」との声が上がる。 

■コスト高懸念 

 さらに市が新病院の建設や維持管理で「売り」にしているプライベート・ファイナンス・イニシアチブ(PFI)方式を懸念する声がある。 

 PFIの理念は、自治体が公共施設の建設や運営に民間の資金や経営ノウハウを活用し、コストを抑え良質なサービスを提供するというもの。だが先行導入した県外の2公立病院が相次いで失敗。自治体側がPFI業務を実施する特定目的会社(SPC)との長期契約を解消する事態になった。 

 失敗の原因として▽医療は診療報酬改定や制度改正が頻繁にあるため長期収支を見通せない▽行政側とSPCの間ですべての業務分担を契約で取り決めるのは困難で「すき間」をどちらが埋めるのか利害が対立▽民間資金の長期金利負担による財政圧迫▽自治体側が直接事業を実施するよりPFIの方がコスト高だった-などが挙げられている。 

 こうした動きを受け、15年度の新病院開業を計画している鹿児島市立病院は昨年11月、PFIを導入しないことを決めた。 

 長崎市の場合、SPCが資金を調達して建設する病院を完成時に起債で一括して買い取る計画。だが買い取り総額にはSPCが調達した資金の利子に加えSPCの利益が含まれる。コストを下げるだけなら従来の競争入札でも十分可能との指摘もあり、最初から起債で業者に建設させれば、SPCの諸経費と利益分、調達資金の利子を支払う必要はない。また市は失敗事例を基にSPCが担う運営業務を大幅に絞り込んでおり、その分期待されたはずのコスト削減効果も縮減するとみられる。 

■ツケは市民に 

 新病院の計画はさまざまな不安を残したままだ。 

 市は7月に医療関係者でつくる地域医療の検討会を初めて開催する。その論議の中で長崎地域の医療体制のビジョンと新病院が果たすべき役割を詰める必要がある。 

 またPFIを導入するのであれば、市は浮上している疑問や課題に対する説明責任を十分に果たさなければならない。ここで道を誤れば、そのツケは近い将来、すべて市民に回ってくる。 



 こちら特報部 小泉改革 医療でもほころび?(上) PFI方式 高知医療センター赤字80億円 
2009.06.26中日新聞   
  
民間資金を活用するPFI方式を導入した全国初の公立病院、高知医療センターの民間委託契約が事実上、頓挫した。行政側が、オリックスを中心に構成する特定目的会社と契約を解消する方向で協議入りを決定。契約解消となれば、滋賀県近江八幡市の病院に次いで二例目となる。小泉内閣が「病院の株式会社化」を進める中で誕生したPFI病院。構造改革は、「郵政民営化」だけでなく、「医療改革」でもほころびをみせはじめた。(岩岡千景、鈴木伸幸) 

 『違約金を』 

 怒る市民も 

 JR高知駅から南へ車で十数分。高知市池にある高知医療センター。十二階建ての建物の玄関ロビーでは、赤ちゃんを抱いた母親やお年寄りらが行き来する。「でもここは駅からちょっと距離があって、車がないと来にくいんですよ」。近くにいたタクシー運転手は話した。 

 同センターは、高知県立中央病院と高知市立市民病院を統合し、二〇〇五年三月に開院した。従来は行政がしてきた公共施設の建設や運営を民間企業に委託する「PFI方式」=メモ参照=を導入した、全国初の公立病院だ。 

 高知県と高知市でつくる運営主体「病院企業団」が、オリックスやオリックス不動産、竹中工務店など十一社が出資して設立した特定目的会社「高知医療ピーエフアイ」に、施設の維持管理や薬品調達、レストラン運営など医療行為のほかの業務を委託。建設費も含めて総額二千百三十一億円、期間三十年の委託契約を〇二年に結んでいた。 

 企業団事務局の担当者は「契約締結時には県と市直営よりも百七十七億円の節減を見込んでいた」と説明する。だが、医業(入院、外来)収益は伸びたが経費も増加。契約時、薬品などの材料費が医業収益に占める目標比率は23・4%とされたが、実際には開院以来30%程度で推移してきた。 

 経費の圧迫などから、昨年度の決算見込みでは約二十一億円の赤字に。累積赤字は約八十億円に及び、昨年度末には約七億六千万円を県と高知市が資金援助する事態となった。 

 企業団側は、材料費や孫委託する企業への委託料など六億円の経費削減を「高知医療ピーエフアイ」に求めたが、同社は拒否。間渕豊社長は「現在の高度な医療や設備水準を維持するには、早急な改善はできないので」と説明する。 

 こうした経過をへて今月十六日、両者は契約解消に向けた協議入りを決定した。破綻(はたん)は目前だ。 

 契約を解消すれば、企業団は委託契約料に含まれる人件費やマネジメント料など年間約五億円の負担が減る。だが医療センターの建設費などの負債残高百四十億円の繰り上げ償還が必要となる。また「解約手数料約十一億八千万円も支払うことになる見込み」(企業団事務局)という。 

 内閣府によると、PFI方式を導入した公立病院は全国で計画段階を含めて十二施設ある。初の解約例は、〇六年十月に開院し今年三月末、大手ゼネコン「大林組」出資の特定目的会社との契約を解消した滋賀県の近江八幡市立総合医療センターだ。同市の解約協議は非公開で、市が特定目的会社側に違約金二十億円を支払った。 

 高知医療センターの場合は特定目的会社側からの提案のため違約金は発生しない。だが地元議員は「市民からは『反対に特定目的会社に違約金を請求しろ』という声も出ている」と憤然と語る。 

 (メモ) 
 PFI プライベート(民間)、ファイナンス(資金)、イニシアチブ(主導)の略。民間の資金や経営のノウハウを活用して公共施設の建設や運営をする行財政改革の手法。英国で始まり、日本では1999年のPFI法施行により民間が公共事業を担うことが可能に。財政難を背景にPFI方式を導入する施設は広がり、今年3月末現在、学校や図書館や刑務所など全国で339施設(計画段階含む)。 



 こちら特報部 小泉改革 医療でもほころび?(下) “株式会社病院”が頓挫 規制改革会議が後押しも 利潤追求より『患者のため』徹底を 
2009.06.26 中日新聞  
  
PFIは一九九〇年代後半の規制緩和の流れに伴って、国会でも議論されるようになり、九九年七月に法制化された。 
後押ししたのは、オリックスの宮内義彦会長が議長を務めていた政府の諮問機関「総合規制改革会議」だ。同会議は「株式会社による病院経営の解禁」についても積極的な姿勢を示した。 

実業家の目には「医療法で医師しか院長になれない病院の経営」は、「非効率で改革すればもうかる」と映りがちだ。 

 「オリックスも病院経営をビジネスチャンスと思ったはず」とある関係者はいう。ただ、病院経営は施設の管理、運営にはじまり、医薬品の調達、事務管理、給食…と多岐にわたり複雑な事業。そもそも利潤追求は病院にはなじまないのでは。 

 病院経営に詳しい城西大学経営学部の伊関友伸准教授は「PFIは長期間の契約を前提としており、経営環境が急激に変化しやすい病院経営には向いていない」と話す。 

 さらには、自治体病院には、出入り業者も多く、それが地元有力者の利権となっている場合もある。そうした“抵抗勢力”の反発が、経営効率化の足かせとなりがち。高知医療センターの失敗にも「病院経営の素人が、想定外の事態に逃げ出した-というのが真相では」との分析もある。 

 ただ、こうした失敗例が相次いでいるにもかかわらず、いまだに「PFI神話」にすがる自治体は少なくない。伊関准教授は「PFIはあくまでも“道具”。どう使うかが問題で、PFI方式を導入すれば自治体病院の経営を改善できるという魔法の杖(つえ)ではない」と警鐘を鳴らす。 

 「不適切な人件費の見直し、医薬品の在庫管理や購入交渉の徹底、地元診療所との連携強化」などで小牧市民病院(愛知県)の経営改革に成功したことで知られる、余語弘氏(同県一宮市病院事業管理者)は、「どうしてPFIにこだわるのか理由が分からない」と首をひねる。 

 「自治体病院の経営改革に必要なのは『病院は患者のためにある』ということの徹底で、結局は職員の意識改革。手法の問題ではない」 

    ◇  デスクメモ 

 高知医療センターのケチのつき始めは二〇〇七年九月、やり手の前病院長が事業委託業者から高級家具などを贈られた収賄の疑いで逮捕された事件だった。「公」と「民」を隔てる垣根が溶け、巨額のカネが動けば、こうしたリスクは高くなる。一見、合理的な民活導入は、実は取扱注意のもろ刃の剣だ。(充)