近江八幡市立総合医療センター 市民の皆さん方から、「病院はどうなるのか」といった不安の声をお聞きします。  PFIをはじめ経営の問題など、その不安はもっともですが、病院機能の運営としては順調に成長しています

 
近江八幡市立総合医療センター 
市民の皆さん方から、「病院はどうなるのか」といった不安の声をお聞きします。 
 PFIをはじめ経営の問題など、その不安はもっともですが、病院機能の運営としては順調に成長しています。 

 平成19年度の決算では、完全医薬分業(それだけで、実質の医業収入が7.5億円ほど減少します)にもかかわらず過去最高の医業収入に肉迫し、入院収入/外来収入比が2.40となり、入院機能重視の方針が数字にも現れています。 
 平均在院日数も、11.3日と大幅に短縮しています。 
 さらに、月に約330台の救急車の搬入(東近江医療圏の6割強をカバー)があります。 
 名実ともに、地域の基幹病院としての役割を果たしつつあります。 



近江八幡市直営の総合医療センタースタート 粉骨砕身、再建へ誓う春=滋賀 
2009.04.02 読売新聞  
 ◆総合医療センター 近江八幡市直営に 東近江圏中核施設へ 2015年黒字化目指す 

 新年度がスタートした1日、経営難で病院PFI事業を解約した近江八幡市立総合医療センター(槙系院長、407床)が、市の直営病院として再スタートした。企業や官公庁でも、“新人”を迎える式典や職員への訓示などが行われ、それぞれが決意を新たにした。 

 センターでは、冨士谷英正市長が、医師や看護師ら約130人を前に「地域住民の命と健康を守るため、経営安定に向けて粉骨砕身、最大限に取り組んでいく」と決意を述べた。 

 旧市民病院の老朽化による建て替えに伴い、2006年10月に全国初の「本格的病院PFI」を導入して開院。医療業務のみを市が担当し、それ以外の建物建設、運営、医療事務などは、大手ゼネコン出資の特別目的会社(SPC)が行う仕組みだった。 

 民間のノウハウにより、市直営よりも経費削減やサービス向上が見込まれたが、SPCへの支払いが逆に病院経営を圧迫する形となり、開院直後から赤字に追い込まれた。市は計画の甘さを認め、SPCへ20億円の解決金を支払い、PFI事業を解約。わずか2年半で再び、市直営に戻った。 

 SPCが整備した建物・設備は、市が118億円を起債し、一括購入。5年間の元本据え置きの後、27年間で返済していくことになる。SPCが調達していた民間資金よりも利子は安く、市は27年間で120億円超の削減を見込むほか、「黒字経営をしてきた市民病院のノウハウ」(冨士谷市長)を生かし、2015年には黒字化する計画だ。 

 東近江医療圏域で救急患者の6割強を受け入れるなど、圏域の中核病院としての需要な役割を担うセンターへの期待は大きい。 

 同市の主婦(54)は「経営難や医師不足の話を聞いた時は、とても不安だった。解決金の20億円はもったいないと思うが、市民にとって不可欠の病院。何とか経営を軌道にのせてほしい」と話していた。 



院長からのごあいさつ 
  
平成18年度の国民医療費の概況によると、総医療費は33兆円を越えているものの、平成17年度をわずかに下回りました。 
 医療費高騰に歯止めをかけたいという政府思惑どおりに、2年に一度見直される診療報酬の改定が効を奏した結果となりました。 
 1980年代に、当時の厚生省保険局長が提出した「医療費亡国論」は、いまだに国策の基本をなしています。 
 医師の数が医療費の増加に連動するとして、医学部の定員の削減が図られたのも、この視点に立ってのことです。 
 さすがに、世論で医師不足が声高に叫ばれるようになると、国は重い腰を上げ、来年度からは医学部の定員が見直されることになりました。 
  しかし、OECD(経済協力開発機構)加盟国並みの医師数を確保するためには、日本では、なお50%増やす必要があります。 
 将来、日本の人口が減少に転ずると、それほどの医師数は要らなくなるとはいっても、促成栽培で医師が養成されるはずもありませんので、今しばらくは医師不足の時代は続くでしょう。 
 一方では、以前から、病床数が医療費を底上げしているという議論があります。 
 実際、OECD加盟国に比べると日本の一般病床数は多く、OECD並みにしようとすれば、現在の90万床を40万床に減らす必要があります。 
 昨年末に、総務省から出された公立病院改革ガイドラインは、そのための大ナタです。 
 (1)経営の効率化、(2)再編・ネットワーク化、(3)経営形態の見直し の3つの柱を軸に、自治体病院の存在意義を再検証するものです。 

地域にとって存在意義のある病院とは、どんな病院でしょうか。 
 これは、病院にだけ突きつけられた課題ではありません。 
 地域の住民全体が、自分たちの地域医療を守るために、一緒に考えなければならない課題です(地域社会を表すcommunity(コミュニティ)という言葉の語源は、ラテン語のcommo(コモ、共に)とnite(ニテ、守る)で、「共に守る」という意味です)。 
 国が考えている「病院」とは、「地域の開業医さんとの役割分担を明確にし、病診連携を進める病院」です。 
 そのためには、入院が必要となった患者さんを滞りなく受け入れることができるように、入院日数を効率よく短縮して病床を有効に利用し、退院後の患者さんのケアは、開業医さんに引き継いでもらうという役割分担の推進が必要です。 
 今までの、いつなんどきでも、どんな患者さんでも診るという「コンビニ病院」が、市民のための自治体病院としての責務を果たすことになるのでしょうか。 
 多くの自治体病院は、そのことのために逆に立ち行かなくなり、地域医療の崩壊が現に起こってきているのです。 
 度重なる診療報酬の改定も、本来の病院としての役割を果たしているところには手厚く、そうでないところには厳しくする方向で動いています。 
 もし、市民が、「コンビニ病院」を望むのであれば、それなりの自己負担を覚悟しなければなりません(後期高齢者医療制度には、そのような一面があるのは明らかです)。 
 単なる医療費抑制のための病床削減には、納得できない面はあるとしても、地域医療を守るという点では、市民が一緒になって「病院」のあり方を考えていかなければならない時代です。 
 市民は、行政施策の受け手ではなく、その施策自体を自ら創造していかなければならないのです。 

 公立病院改革ガイドラインにある、病院の再編・ネットワーク化に沿った当院の使命は、「地域の基幹病院(急性期病院)としての存続」です。 
 このことは、近隣の病院が機能を縮小せざるをえない状況の中では、ますます当院に期待される使命となっています。 
 急性期病院としての役割を果たすためには、①入院機能の重視、②平均在院日数の短縮、③救急医療の充実 を推し進めていく必要があります。 
 当院は、平成16年度当時から、この3つの視点で病院改革に取り組み、新病院移転後もその充実の度を深めています。 
  

新病院になってから、2年が経過しました。 
 その間、市民の皆さん方から、「病院はどうなるのか」といった不安の声をお聞きします。 
 PFIをはじめ経営の問題など、その不安はもっともですが、病院機能の運営としては順調に成長しています。 
 平成19年度の決算では、完全医薬分業(それだけで、実質の医業収入が7.5億円ほど減少します)にもかかわらず過去最高の医業収入に肉迫し、入院収入/外来収入比が2.40となり、入院機能重視の方針が数字にも現れています。 
 平均在院日数も、11.3日と大幅に短縮しています。 
 さらに、月に約330台の救急車の搬入(東近江医療圏の6割強をカバー)があります。 
 名実ともに、地域の基幹病院としての役割を果たしつつあります。 
 今後は、真の意味での、地域医療の支援病院としての立場を確立していかなければなりません。

 人口7万人の近江八幡市が支え、経営していくには、当院に期待されている役割は過大です。 
 一般的に、地域の基幹病院としての規模は500病床程度の総合病院が適正で、この規模の病院を経営するには20万人の人口基盤が必要とされています。 
 東近江医療圏の人口が約23万人ですので、東近江医療圏全体の足並みが揃って、はじめて当院規模の大きさの病院を経営することができるということになります。 
 本来、行政の効率化を目指すための、「平成の大合併」時に尽くされるべき議論が充分でなかったのに、その延長上の、行政の線引きを越えた医療連携が期待できるはずもありません。 
 当院を、地域の基幹病院として経営していくためには、近江八幡市だけではなく、滋賀県の保健医療計画との整合性を図るためにも、市町の枠組みに囚われない議論が望まれます。 
 それは、市民の方々にとっても、自分たちの病院をどうするのかという、大局的な視野に立って解決しなければならい課題でもある訳です。 

2008年10月1日 
近江八幡市立総合医療センター 院長 槙  系 




院長代行からのごあいさつ 
  
平成18年10月新築・移転・開院以来、特に最近の1年間は、近江八幡市の病院あり方検討委員会の開催、PFI見直し協議、総務省の公立病院改革プラン策定プロジェクトスタートなど、慌ただしい年月、激動の日々となりました。この間の皆様方の激励・助力に深く感謝申し上げます。 
私共は築き上げてきた地域中核の急性期病院としての誇りと自信を胸に、医療本来の業務を全うすべく、これからも医療安全、医療環境整備・改善に、着実に取り組んでまいります。 

基本理念『多くの人々との出会いを通じて、新しい医療環境の 
創造に努めます』 


◇近江八幡市立総合医療センターの機能・役割~ 
近江八幡市のみならず、東近江、さらには中部湖東地区という地域・コミュニティーになくてはならない中核的医療を担う基幹病院として、信頼される病院作りを職員一丸となり追求しています。

公立病院改革プランを実のあるものとするためには、まず県、地域の力を結集し、地域内の病院・診療所が連携し互いの機能を生かし合うことで地域全体としてよりよい医療体制を築きあげることが不可欠です(地域医療の再編・ネットワーク化達成)。 

救命救急センター、県指定の地域周産期母子医療センター、災害拠点病院、第2種感染症指定医療機関をはじめ『急性期・重症の濃厚な入院治療や検査を必要とする状態に対処すること』が『急性期病院』として当院に課せられた中心的な役割です。 

患者の皆様におかれましても、病院・診療所の機能分担につきご理解をいただきますようお願い申し上げます(個々にかかりつけの診療所をお決め下さい)。 

◇新しい医療環境の創造 
当院に課せられた機能・役割の象徴的存在が、国認可・県4カ所目の救命救急セン 
ターです。救急専門医の指導下に救急医療体制を確立し、救命・集中治療医学管理を行っています。循環器内科の虚血性心疾患に対する早期治療体制の整備、脊髄損傷・多発外傷を含む外傷に対する整形外科の迅速な対応、麻酔科指導医による緊急手術に対する万全の体制、即時対応可能な充実の消化器外科チーム、頭部外傷やくも膜下出血に迅速に対応する脳神経外科の布陣、小児科・小児外科の充実による小児救急への対応、急性血液浄化に対応する強力な腎臓内科チーム、産科・婦人科体制の整備、等をはじめ、各科精鋭の医療スタッフを誇ります。救急隊員に対する支援・指導や、県内外での蘇生トレーニングの指導者活動、災害派遣活動(DMAT)等に積極的に取り組んでいます。 

全国的に救急医療現場の疲弊、医師の撤退による医療崩壊が雪崩を打つように起こっています。東近江地区でもそれは例外ではありません。当院の人的資源にも限りがあり、こなせる医療に量的限界があります。急を要しない疾患、一般外来や診療所に受診すべき疾患などでの救命救急センターの利用や、救急車の不適切な利用が後を絶ちません。医療現場が疲弊・崩壊しないためにはエリア住民の認識と協力が不可欠です。患者の皆様には節度ある医療機関のご利用を切にお願いいたします。 

無煙環境の創造は当院の大きなコンセプトです。喫煙は多くのガンや、心臓疾患、呼吸器疾患との関連が最も明らかな危険要因です。当院では、禁煙外来を開設し敷地内完全禁煙を実施しています。建物内はもちろん、駐車場を含めた敷地内が完全禁煙です。入院中の患者の皆様には、入院誓約書にも入院中の禁煙を明記していただいております。外来受診の患者の皆様や、付き添い、お見舞いの方々も、クリーンな療養環境確保のため敷地内禁煙をお守り下さい。未だに公共のルールである当院の規定を破る敷地内喫煙行動やすい殻のポイ捨てが見受けられ、受動喫煙の実害や療養環境の汚染といった状況を招いています。禁煙サポートチームを中心に今後も地道にクリーンな病院を追求してまいります。ご支援、ご理解をお願い申し上げます。 

DPCという言葉が、新聞、雑誌などで見られるようになりました。当院はこの新しい医療制度への対応準備を進めています。D(Diagnosis診断)P(Procedure手術・処置)C(Combination組み合わせ)は、入院医療における診断群分類別包括評価という仕組みのことで、医療の質の標準化、可視化と、コスト削減、等が目的です。国・厚労省によって、入院中の無駄な検査の排除や、入院日数の適正化が方向付けられ、急性期病院はこの方法によって入院費用を計算するようになっていきます。現在この方法で入院費用を算出している『対象病院』は全国で718病院あり、準備中の『準備病院』は710病院あります。昨年度に続き本年度も当院は準備病院として厚労省の調査に協力しています。来年度は当院も対象病院と認可され次第DPCによって入院医療費を計算し、お支払いいただく仕組みに変わっていく予定です。今後順次詳しい情報を地域の皆様にお知らせしてまいります。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。 

◇多くの人々との出会い 
『多くの人々との出会い』として患者の皆様との出会い、他の医療機関の皆様との出会い、職員(常勤、非常勤、委託など、当院で働くすべての現場の職員)同士の新しい出会いがあります。 

医療の『可視化、標準化、効率化』を要求されると同時に、病態の変化に対応した、急性期から介護・在宅まで一連の『医療機能の分化』『医療連携の構築』が急がれています。また医療崩壊により医療需要・供給体制の不均衡が深刻化しています。地域の 
皆様方と医療機関が情報を共有しつつより良い地域医療を構築する新たな共働関係が必要です。患者の皆様のかかりつけの診療所との医療連携を進め、急性期に対応し、また、介護・在宅へのスムーズな橋渡しに共働します。 

病院ボランティア、モニターの皆様との出会いがあります。より開かれた病院の鍵として、接触していただく患者の皆様の生の声を吸収し現場に届け、また急性期病院としての当院のあり方に理解を深めていただき、両面からこの病院をそだて下さるものと存じます。 

止まることのない病院改革の要は、職員同士がお互いを見つめ直すことにあり、これが当院をより良い方向に変えていく大きな力を生むと確信します。この2年間で多くの課題をクリアし、病院機能評価バージョン5認定、各種施設基準認可、医療安全全国共同行動参加等、各種プロジェクトに取り組み、大きな成果を上げてきました。職員一人一人の力を結集し課題に取り組み、乗り越えてきたことを誇りとすると同時に、現在進行形の大小の未解決課題に対して「自ら考え動く」、意識改革を常とする職員との日々の出会いに期待します。医療職・医療関連職だけでは病院は成り立ちません。事務系職員の病院運営に対する熱意、理解、奮起が病院を大きく変えます。地域全体の共動を得ながら、当院の機能を存分に発揮できるよう病院経営の効率化を一体となって進めます。 
誇りを胸にともに働く元気な看護スタッフを随時募集中です!! 

フレッシュな器に生命を吹き込み続ける日々の中で、名実ともに進化した、また心のこもった医療を提供できるように益々努力を重ねてまいります。 

近江八幡市立総合医療センター 院長代行 須貝順子