2008年12月23日に、関西TVで  "近江八幡医療センター PFI契約解除の報道"の報道をしました。私(長 隆)も発言しました。 ANCHOR スーパーニュースアーカー 関西テレビ KTV NEWS より抜粋

琵琶湖のほとり、滋賀県近江八幡市。江戸時代、全国にその名をとどろかせた、近江商人ゆかりの町です。
この町に、ある公共施設が建設されました。吹き抜けに佇む銅像に、広々としたエントランスホール。木目調の内壁が彩る空間には、柔らかな照明が降り注ぎます。大理石のカウンターは一見、ホテルのようですが…?
「小児科はどちら?」(患者)
「外来ですか?あちらの1番のカウンターのほうになります」(受付)
実はここは、近江八幡市の市民病院。地元の八幡瓦をふいた堂々たる外観に、緑あふれる空中庭園を備えたこの病院は、「ガーデンホスピタル」というコンセプトのもと、華々しくオープンしたのです。ところが…!

「破綻です、病院は、間違いなく!そして、それをさらに放置しておきますと、市全体まで破綻してしまう」(近江八幡市・冨士谷英正市長)
病院は、スタートしたおととしから、いきなり3億円の赤字を計上。去年は、赤字幅が24億円に広がりました。このまま行くと、数年後には累積赤字がふくらみ、近江八幡市は財政再生団体に転落してしまうというのです。
「年間200億くらいの財政規模で、40何億の赤字が出せるはずない」(冨士谷市長)
地域を支える病院は、わずか2年で窮地に立たされました。旧市民病院の建て替えは、10数年来の住民の悲願でした。しかし、当時の近江八幡市は財政難…。
そこに浮上したのが、「PFI」という仕組みでした。

PFIとは、「民間資金を活用した社会事業」という意味で、民間企業のお金で公共施設を建設・運営し、自治体が対価を長期契約で支払うやり方です。自治体にとっては初期投資の負担が少なく、民間にとっても大口の発注を受けられるという「魔法の杖」のような手法でした。新病院では、大手ゼネコンが運営する会社が、建物をつくり、受付や掃除など管理・運営も請け負っています。市は医療で上げた収益の中から、30年契約で委託料を支払います。
「東近江にはこういう設備の整った病院がないんですわ」(住民)
「そらもう県一の総合病院です」(患者)
全国で初めてPFI病院を作った川端前市長には、特別な思いがありました。
「病気になったり入院したり、私も経験ございますが、やはりね、落ち込むんですね。日常生活からぐっとマイナス志向になりまして、非常に不安感・孤独感に苛まれる。『まあステキ』と言われるような絵を飾ったりね、彫刻をもらったりピアノを寄付していただいたりというふうな、いい空間を作ったんです」(川端前市長) 

PFIによる病院は、近畿では、大阪府の八尾市立病院が運営を開始。神戸市・京都市でも、PFIでの建て替えを検討するなど、全国12ヶ所で取り組みが進んでいます。
「異口同音に『えらい契約したもんやな』って言われる議員が多いですわね。『あの時は本当に最高のように聞かされたんや』と。だからマインドコントロールにでも(笑)遭われたんではないかなと」(冨士谷市長)
新病院のスタート直後に就任した冨士谷市長は、公立病院改革のスペシャリストらを招いて、検討委員会を開きました。そこで浮かび上がったのが、2つの問題です。

問題点1:見込みの甘さ
「ほとんど全てがどんぶり勘定。最初から破綻が必至な計画」(長隆氏)
当初、見込んでいた病院の収入は年間100億円。しかし、患者数が伸び悩み、2007年度の収入はおよそ84億円と、見込みを大きく下回ったのです。
「そんな吹き抜けをいっぱい作ったりグランドピアノ置いたりね、癒しの空間を作ったり、馬鹿なこと言ってるんじゃない」(長隆氏)
検討委員会は、「近江商人の矜持を失っている」と痛烈に批判しました。しかし、コンサルタントを務めた東京の財団法人は、取材に対し、「地域の中核病院として、救命救急センターなどの機能を拡充し、患者増加は十分見込めた」と答えています。 

問題2:高金利
「支払いは金利が5.37%とべらぼうに高い金利で払わせてもらってる」(冨士谷市長)
さらに明らかになったのは、重くのしかかる金利の存在。病院の建設費244億円には、30年で何と99億円もの金利が含まれていたのです。これが病院関係者に知らされていなかったことを、長氏は問題視します。
「多額な税金投入をしてるような事業はですね、(情報を)公開する責任があると思いますよ。質問するとブラックボックスだというような人・企業は、今後、公の仕事に関与してほしくないですね」(長隆氏)
市は、国の低金利融資を借り直し、病院の建物を買い取ることを議会に提案。あす可決されれば、全国初のPFI解除という異例の事態を迎えます。
 「PFIを契約解除したらバラ色の病院の経営かというと、決してそんなことないんですよ。とにかく総括はきちっとね、何もかも済んでからしなきゃいけないと思ってます。そして、それを議会なり市民の皆様に明らかにしていかないといけないと思います」(冨士谷市長) 

一方、川端前市長は、PFIの真価を問うには時間が足りなかったと考えています。
「PFIの本格的な運営、そのもとで医業経営も総体的に見ますと、満足した運営はこの2年間見てまして、できていないと思います。もう少し時間がほしかったですね、はっきり言ってね」(川端前市長)
そして、PFIを解除するのなら、市民の安心に繋がるような第三者による評価を求めています。
「格付けを是非ともお取りいただいて、私の時のAAよりももし上であれば、私はもう全面的に今回の政策転換について賛同も支援もいたします。どうか市民に安心を共有させてあげていただきたい」(川端前市長)

いま病院に必要なものは何なのか――。
「理想的な病院っていうのはやっぱりいいお医者さんが揃ってるかどうかが問題じゃありませんか」「優秀なお医者さんを確保し、それでなくても不足してる看護師招聘のためにふんだんに(お金を)使うべきであってね、もしあるなら」(長隆氏)
大きな岐路に立たされた東近江地域の中核病院――PFI解除に向けた議会の採決を、数十万人の住民が見つめています。