近江八幡市立総合医療センター  契約解除 解けた魔法~3回連載の3・・終わり

   

『近江八幡市立総合医療センター  契約解除 解けた魔法~3回連載の3・・終わり』 

内閣府PFI推進委員の光多長温氏 (近江八幡市立総合医療センターのコンサル 財団法人日本経済研究所元常務理事・調査局長) 
「5・37%の金利にはSPCへの利益も含まれていた。光多氏は「歴史的に高い金利。こんなにもうかるSPCは見たことがない。当時は民間の力を引き出すために利益を提供する、という誤解があった」と話す・・・ 
もっと早く指導して欲しかった 残念ながら 風除け続出の気配(長 隆)』 


風よけ 民間の力 引き出せず  
2008.12.27京都新聞   
  
 二〇〇八年六月の近江八幡市議会。「民間活力を利用して、官でできなかったサービスをしたいと思っていた。でも、ふたを開けてみるとわれわれのPFIはそうではなかった」。近江八幡市立総合医療センターの槙系院長は失望をあらわにした。 

 「PFIと言うより、ただの業務委託ではないか」 

 同センターの後発としてPFIを導入し、官民連携の「成功例」とされる八尾市立病院(大阪府)。阪口明善事務局長は、近江八幡のPFIには民間の力を引き出す仕組みが欠けている、と指摘する。 

 サービスを評価し、不十分なら特別目的会社(SPC)への支払いを減らすモニタリング。要求水準の見直しや業務改善に不可欠だが、近江八幡では制度を生かし減額につなげることはできなかった。 

 一方、八尾では契約に「モニタリングなしには、対価を支払わない」と明記。減額率などを細かく設定し、今年二月には窓口業務の停滞を理由に三百二十万円を削った。 

 SPCの収益構造からも、違いは浮き彫りになってくる。 

 ゼネコン一社が100%出資した近江八幡。市側は「病院は大赤字なのに、SPCだけしっかりもうけている」と不満を募らせた。 

 八尾のSPCに出資する四社は、受託企業としても参加。「本体で収益を出す」という考えから、SPCへの支払額を最小限に抑えられた。 

 八尾では、市直営より十五年間で12・2%の経費削減を試算。開院後もその幅に収めている。 

 「マラソンで言うと、一番手を走って後続の風よけになったようなものだ」 

 内閣府PFI推進委員の光多長温(みつたながはる)氏は、近江八幡のPFI解約をこう表現した。 

 契約したのは、PFI法成立から四年後。SPCに資金調達を任せる風潮があった。結果、高金利が財政を圧迫。「起債と組み合わせれば、初期コストを軽減できた」 

 5・37%の金利にはSPCへの利益も含まれていた。光多氏は「歴史的に高い金利。こんなにもうかるSPCは見たことがない。当時は民間の力を引き出すために利益を提供する、という誤解があった」と話す。 

 民間に任せればうまくいく-。近江八幡の例からは「民間業者への幻想」も見え隠れした。だが、光多氏はきっぱりと否定した。 

 「PFIを生かすも殺すも、行政次第だ」 


光多 長温氏 略歴 

財団法人日本経済研究所 光多 長温(常務理事調査局長)鳥取大学教育地域科学部(現,地域学部)教授 現在 

研究テーマ 
①地域振興の方策に関する研究 
②公共経済のあり方に関する研究 
③公共投資のあり方に関する研究 


プロフィール 

・ 1943年生まれ 
・ 1967年:東京大学経済学部卒 
・ 1967年:日本開発銀行(現、日本政策投資銀行)入行 
・ 1991年:財団法人日本経済研究所常務理事調査局長 
・ 1993年:日本開発銀行名古屋支店長 
・ 1995年:株式会社富士通総研常務取締役兼研究理事 
・ 1999年:鳥取大学教育地域科学部(現,地域学部)教授 現在に至