北海道立 紋別病院を 広域連合で運営していく5市町村』



『北海道立 紋別病院を 広域連合で運営していく5市町村』 

[命あしたへ]地域医療の行方(7)難産の末、広域連合移管(連載)=北海道 
2008.11.30 読売新聞  
  


 ◎第6部「地域医療の行方」 

 ◆紋別など5市町村 財政負担で思惑に違い 

 連載「命あしたへ」第6部では、地域医療に様々な立場でかかわる有識者のインタビューを通して、北海道の医療現場が抱える課題や対策を考えてきた。そこから浮かび上がる課題の一つに、道内各市町村が対応に苦慮している「公立病院改革プラン」がある。昨年9月に開始した本連載を終えるにあたり、道立病院の経営を「広域連合」に移管しようとしている紋別市など5市町村の道内初の試みを紹介したい。 

 5市町村で構成する西紋別は佐賀県より面積が広く、人口約4万人の過疎地域だ。地域最大の医療機関の紋別病院は17診療科で220床を持つが、年間赤字は10億円を超える。 

 4年前に23人いた常勤医は半減し、今年3月には重症患者を受け入れる2次救急も休止した。道は昨年11月に民営化の方針を示しており、このままだと経営合理化に伴う機能縮小は避けられない。 

 このため、5市町村は2月に協議会を設け、同病院を引き受ける方法を検討した。医師不足の背景には、道の給与体系に縛られる道立病院だと、他病院に比べて医師給与が低いという事情があり、市町村のように「待遇改善」で医師を呼び込むことが難しかった。そこで、複数自治体の「広域連合」という新手法を採用することにした。 

 だが、その後の協議では、自治体間の思惑の違いも表面化した。雄武、興部、滝上町と西興部村の4町村は、自前の病院・診療所を持ち、既に財政負担を抱えている。協議会では、紋別市の宮川良一市長への風当たりが強まった。 

 町立病院の昨年度の赤字が約1億3000万円に上る興部町の硲(はざま)一寿町長は、「我々はすでに町民1人あたり3万円の負担がある。紋別市は市立病院として運営するぐらいの覚悟を持ってほしい」と述べ、財政負担を宮川市長に迫った。 

 協議会では、経営効率化を進めるため、〈1〉4町村の病院・診療所を広域連合で一括運営〈2〉3町立病院を診療所に縮小し、紋別病院に医療機能を集中--という再編案も議論されたが、4町村は地元病院の機能維持を譲らなかった。 

 具体的な合意がまとまったのは今月19日。紋別市以外の4町村は、入院・手術などの2次医療の必要経費だけを患者数に応じて負担するにとどめた。道に対しては、移管後8年間の赤字補てんと病院建て替えの費用負担を求めていく。2010年度の開院を目指し、方針を年内にも道に示す。 

 道は広域連合に経営移管する方針だが、5市町村の要求への回答は来年度に持ち越される可能性もある。宮川市長は「早急に2次救急を再開させ、西紋別の医療体制を整えたい」と力説する。いくつもの難題に直面しながら、地域医療の再生を目指す挑戦は、今後も続く。(おわり) 

(この連載は瀬畠義孝、森井雄一が担当しました) 


 〈公立病院改革プラン〉 

 総務省が全国の自治体に今年度内の報告を求めている公立病院の経営効率化計画。公立病院の赤字で自治体財政の破綻(はたん)が懸念されるため、同省が昨年12月にまとめた「公立病院改革ガイドライン(指針)」に盛り込まれた。3年以内に経営効率化を実現し、5年以内に近隣病院との再編を進めるよう求めている。ベッド利用率が3年連続70%未満の病院には、病床削減や診療所化を勧告している。 


 ■道立紋別病院の経営移管を巡る動き 

2007年11月 道が道立7病院の民営化方針打ち出す 

     12月 総務省が公立病院改革ガイドラインを公表 

  08年 2月 紋別市など5市町村が、同病院を広域連合で運営することで合意 

      3月 紋別病院の常勤医12人のうち内科医3人が退職、2次救急の受け入れ停止 

     11月 5市町村が広域連合で運営するための具体的方針を決定 


 道立紋別病院を広域連合で運営していく5市町村 

   

(2008年11月25日 懇談会資料抜粋) 

一般的に、市町村を超えた地域で病院を支えていくという考え方が必要であるが、都道府県域を単位としてすべての公立病院の経営主体を都道府県に統一するという方法は、あまりに多数の病院の収支を一本化することでいわゆるモラルハザードを生じる懸念もあり、必ずしも適切ではない。 

ⅱ 広域化を目指す範囲は、疾患の特性や医療機能、地域特性によっても異なるので、一律の線引きは難しいが、入院を要する一般的な医療については、基本的には二次医療圏を単位として整備するという医療計画の基本的な考え方との整合性を図るのが一般的、標準的なイメージとなるのではないか。 

ⅲ 複数の市町村が一部事務組合、地方独立行政法人等を共同で設立し、ここに経営主体を統合していくことを基本に、離島等の地域事情や医療機能等に応じ、当該経営主体に都道府県も参加するという形も想定される。