公立病院改革に関する指針」(案)に対する大阪府民意見等と大阪府の考え方


「公立病院改革に関する指針」(案)に対する大阪府民意見等と大阪府の考え方 

■ 募集期間:平成20 年9 月18 日(木)~10 月17 日(金) 
■ お寄せいただいた意見:団体2団体、個人12名からの27件のご意見をいただきました。 
■ お寄せいただいた意見の要旨と大阪府の考え方は以下のとおりです。 

 
大阪府の考え方 

①.公立病院改革の必要性 

 ・国のガイドラインは、病院の経営効率優先の指針であり、住民福祉の向上や、医療安全性を図る自治体病院の目的には反している(5件) 

 ・国のガイドラインは、自治体病院の再編・縮小・廃止を推進して、国と地方の財政支出を減らす「改革」をめざすものである。 
・国のガイドラインでは、「公立病院改革の究極の目的は、改革を通じ、公・民の適切な役割分担の下、地域において必要な医療提供体制の確保を図ることにあります。このような中で、地域において真に必要な公立病院については、安定した経営の下で良質な医療を継続して提供することが求められます。このため、医師をはじめとする必要な医療スタッフを適切に配置できるよう必要な医療機能を備えた体制を整備するとともに、経営の効率化を図り、持続可能な病院経営を目指すものとする。」と示しており、府としても、このガイドラインの趣旨を踏まえ、「公立病院改革に関する指針(案)」をとりまとめたところです。 

②公立病院の果たすべき役割 

 ・「採算性の面から民間医療機関では困難な医療を行う」としながら「今後の改革にあたっては経営効化を最大限追求」とは矛盾。救急医療・小児医療・周産期医療などは「採算性・効率化」を求めると存続は不可能。公立病院は、地域医療を支え、地域住民のいのちと健康を守るかけがえのない役割を果たしている。住民はむしろ自治体病院の改善・充実を強く要望している。大阪府はその要望に応えるべき。(2件) 

・救急医療・小児医療・周産期医療などの不採算な部分の医療については、一般会計等において負担するものと法令で規定されており、その上で、独立採算を原則として採算性・経営の効率化を図っていく必要があると考えています。このように民間医療機関では困難な医療を充実し、経営改善を図るためには、公立病院の改革が必要と考えており、今後とも公立病院が果たすべき役割は大きいものと考えています。 

 ・保健医療計画(4事業)を地域で確実に提供されるよう大阪府として対策を行うこと。特に救急のたらい回し等がなくなるよう救急医療体制の整備につとめる事。 

・救急医療等確保事業(4事業)は、大阪府保健医療計画において重要課題のひとつに位置づけており、今後その着実な推進を図ってまいります。とりわけ救急医療については、現在、救急医療対策審議会の意見を踏まえた上で、地域の実情を踏まえ、救急受入れ困難事例に対する二次救急医療体制等の整備に努めているところです。 


③一般会計負担の考え方 

 ・一般会計負担の対象として、「地域における医療水準の向上をはかるため必要な高度又は特殊な医療で採算をとることが困難であると認められるものに要する経費」と記載され、「何が高度な医療であるかは病院の所在する地域の実情によって異なり、個々の具体的な実情をもって勘案して判断しなければなら 
ない・・」とされているが、何が高度で一般会計負担の対象であるのかの基準を具体的・限定的に記述していただきたい。 

・一般会計負担については、国において繰出基準が定められているところですが、高度又は特殊な医療については、経営環境が様々であり、考え方を定性的に示すに留めているところです。府内の公立病院における地域事情についても、医療状況などの経営環境が異なるため、一律の定量的基準を設定するのではなく、公立病院を設置する各自治体が「公立病院改革プラン」を策定するなかで、地域医療の確保のために果たすべき役割を明確にし、これに対応した一般会計負担のルール作りを行う必要があると考えています。 
また、一般会計負担は税金で賄われていることから、このルール化にあたっては、民間医療機関等の医療機能等を十分把握した上で、広範な基準ではなく、限定的な範囲で行う必要があると考えています。 

 ・自治体病院は、民間医療機関では担えない不採算医療を行い、さらに地域の医療水準を引き上げる役割も担っている。民間医療機関との比較で、「採算性」を議論することは適切でない。地域住民のくらしと健康を守るのは、自治体の責務である。 

・救急医療・小児医療・周産期医療などの不採算な部分の医療については、一般会計等において負担するものと法令で規定されており、その上で、独立採算を原則として採算性・経営の効率化を図っていく必要があると考えています。これを前提とした民間医療機関との比較検討を行うことは必要であると考えています。 

④.経営の効率化 

 ・財政悪化の根本原因は、医療費削減政策や医師養成の抑制政策等である。根本原因にメスを入れることが必要。(4件) 

・今後とも、診療報酬の改善や医師の養成・確保など、地域医療を守るための措置については、国に働きかけていきます。 

 ・公立病院事務局は、経営の専門家が不在で、また経営責任の所在があいまい。病院トップの責任と、事務局の整備(経営の専門家の設置、長期で経営を考える人材)が必要。 

・本指針(案)に示しているとおり、経営責任の明確化と経営専門家の登用については、今後、重点的に取り組むべきものであると考えています。 

 ・医師の給与体系の見直しによる医師確保も必要。 

・公立病院の医師の給与は、民間病院等に比べて低いことが統計からも指摘されているところですが、今後、病院の医業収益に対する総人件費を適切に管理した上で、必要に応じて給与等の処遇の改善を行う必要があると考えています。 

 ・診療報酬は全国一律であるのに、大都市大 
阪で人件費率が高いのは当然。 

・公立病院の人件費については、一般的に、民間病院等に比べ高いことが指摘されています。今後、各公立病院は、医業収益に対する総人件費を適切に管理した上で、必要に応じて各職種の給与等の改定を行う必要があると考えています。 

 ・電子カルテや料金支払いの自動精算機がまだ導入されていないところがある。電子カルテや自動精算機を導入することで、待ち時間や病院職員を減らすことができ、経営の効率化につながる。全国の公立病院の赤字病院と黒字病院の違いを比較して、良い所を吸収していくことが重要。情報交換を積極的にしていく必要がある。 

・各公立病院の経営効率化を図るためには、まず、民間医療機関や他の黒字公立病院など、類似の医療機関との比較分析を行い、現状把握することが必要です。指針(案)に示しているとおり、ベンチマーキング分析手法などにより、今後、どのような課題に重点的に取り組んでいくべきかを方向付けするためにも重要であると考えています。 

・各公立病院においては、今年度中に「公立病院改革プラン」を策定する予定ですが、その中で、黒字の公立病院の運営状況や、近隣公立病院との意見交換等を踏まえ、経営の効率化を図れるよう具体的な取組みを示す必要があると考えています。 

・府としても、経営状況などを積極的に公表してい 
きたいと考えています。 


⑤.再編・ネットワーク化 
  
・「再編ネットワーク化」で、医師を基幹病院に集中させるということだが、根本解決にはならない、問題の方が多い。患者も集中し、さらに医師、看護師が疲弊し、地域医療の後退を招く。(4件) 


・医師をはじめとした医療資源が限られ、市町村財政が逼迫している現状において、個別の病院単独での課題解決には限界があります。将来にわたって、地域において必要な医療を住民が安心して受けられるような体制を構築していくために、「病院の再編・ネットワーク化」は有効な手段の1つと考えています。 

・なお、本指針(案)の再編・ネットワーク化のパターンは、地域における自主的な議論を行うにあたっの、“一つのたたき台”として提案しているものです。 


 ・松原、藤井寺、羽曳野の3市合同により新病院を建設することで医療機能の強化と新病院の建設コストの縮減を図ることが望ましい。地域医療確保のため大阪府が強力なリーダーシップを発揮し進めていくことが必要。(3件) 

・南河内二次医療圏は、救急医療機能の脆弱性などから早急な対策の必要な地域の一つと認識しており、今後、指針(案)で示したパターンをたたき台としながら、地域における協議の場を設置し、病院や市町村間の利害関係や医師派遣大学の意向など、様々な課題についての検討・調整を進めていく予定です。 


 ・南河内医療圏における再編・ネットワークパターンで公立病院2つの機能を1 つに集約化し、新病院を建設する(案)は検討に値する。・上記2の考え方のとおりです。 


 ・中河内医療圏(南部)と南河内医療圏(北部) 
との間では、一部医療圏を超えた連携・ネットワーク化も視野に入れて検討してはどうかとあるが、一本の電車で通える範囲、大和川を越えるという住民の意識のなか、中河内医療圏で南河内医療圏を含む基幹病院を作るのはおかしい。 

・南河内医療圏にある二つの市立病院は、いずれも中河内医療圏との境界付近に立地しています。両圏域はひとつの幹線道路で結ばれているほか、消防組合が両圏域にまたがる形で組織されており、患者の動向も両圏域にまたがるものとなることが予想されたため、一つの選択肢として、必ずしも医療圏の枠内での議論にとどまらず、隣接する中河内医療圏との間での連携・ネットワーク化も視野に入れてはどうかと考えたところです。 

・府としては、本提案をきっかけとして、地域関係者による活発な議論を期待するとともに、広域自治体として、その取組みを支援してまいります。 


・大阪の南部地域(泉州・南河内)は、医師不足による患者数減から地域医療が崩壊の危機にある。地域の人口密度だけで、「病床数が基準より多い」とするのは問題。医療圏の面積や医療事情を考慮した医療体制が整えられないと「通える病院がない」ことになる。 

・基準病床数については、圏域の年齢別人口をはじめ年齢別の長期療養入院・入所需要率や、他圏域からの流入患者数など、国が定めた算定式に基づき算出したものです。 

・大阪府の南部地域においても、府保健医療計画に基づき、将来にわたり住民の方々に安心の医療を提供する体制の整備に努めてまいります。 


 ・市立松原病院で行ってきた24 時間365 日の小児救急は現在医師不足で休止しているが、医師不足が解消しても不採算部門でもあり公的病院がなくなれば将来にわたりこの地域には復活できない。 

・小児救急については、南河内医療圏北部(松原市、 
羽曳野市、藤井寺市)において、この10 月から3市が共同して初期救急医療の広域拠点を整備したところです。府としてはこの取組みを支援するなど、府民が安心できる小児救急医療体制の整備に努めてまいりす。 

⑥.経営形態の見直し 

 ・公立病院の行く先は、独法化、民営化であり国や府、市が公的責任を放棄することになる。民間になれば、儲からない医療からは手を引き、不採算部門の診療科がなくなる。公立病院は、議会の関与が及び、不採算部門は行政が責任を持って行えるように、全部適用が良い。全部適用にし、もっと管理者に経営責任を持たせかつ住民の意見が反映できる体制へ見直すべき。(2件) 

・公立病院は、安定した経営を行い、地域に必要とする医療を提供していく必要がありますが、医師不足等により非常に厳しい経営状況となっております。現在、府内の公立病院の経営形態は、公営企業法の一部適用及び全部適用ですが、今後、医療制度がめまぐるしく変化する時代に、より迅速かつ弾力的な対応が図れるよう、経営の自立性の向上に向けた組織体制を整備する必要があると考えています。具体的には、医師確保や経営改善を行うため、民間的な経営手法の導入が期待できる地方独立行政法人(非公務員型)への移行や指定管理者制度の導入を検討する必要があると考えています。 

 ・松原、藤井寺、羽曳野の3市合同により新病院を建設し、経営形態は独立行政法人(非公務員型)が望ましい。 

・今後、再編・ネットワーク化について、地域における検討の場を設置する予定であり、その中で、経営形態についても必要に応じて検討することになると考えています。 

⑦.その他 

 ・泉州地域の病院で不良債務が急増しているのは、医師不足が原因である。 

・大阪府として、医師確保(医師バンク等)や医師確保補助金等の積極的な支援策が必要。(5件) 

・大阪府としても、医療対策協議会の意見も伺いながら、府の実情に適した効果的な医師確保策について引き続き検討してまいります。 

・大阪府の役割を「調整機能」「病院経営の助言」「その他支援」に限定するのは、府として無責任。府民のいのちと健康を守るのが府の役割ではないのか。もっと積極的な役割を果たしていただきたい。(3件) 

・公立病院改革の目的は、改革を通じ、公・民の適切な役割分担の下、地域において必要な医療提供体制の確保を図ることにあります。今後、改革を進めるにあたって、府はリーダーシップを発揮して、様々な課題について調整・検討を進め、広域自治体としての役割を果たしていきます。 

 ・市民病院は市民の税金でつくられ、命を守る貴重な財産。病院のことは市民の要望に基づき各自治体が判断すべきもの。このような一方的な計画は撤回していただきたい。(2件) 

・パブリックコメントをうけて、再度、案を出し、広く府民の意見を聞くこと。 

・府内の公立病院は、特に泉州をはじめ南部地域の医師不足は深刻な状況にあり、不良債務の増加など医療・経営両面において非常に厳しい状況となっています。本指針(案)の目的は、このような現状から、公・民の適切な役割分担の下、地域において必要な医療提供体制の確保を図ることにあります。そのため、府としては、各公立病院が円滑に改革を進められるよう、リーダーシップを発揮して、様々な課題について調整・検討を進め、広域自治体としての役割を果たしていきます。 


 ・4事業を実施する上で見合った額の補助金を大阪府として支給する事。 

・大阪府保健医療計画に定める4事業(救急医療・災害医療・周産期医療・小児救急を含む小児医療)に対しては、各種補助制度を設けており、それぞれの基準に即して補助金を交付しています。 

・なお、公立病院については、三位一体の改革により税源移譲されていることから、補助対象外となっているものもあります。 

 ・今回のガイドラインの特例債の利用条件に廃院の選択もあると聞く。廃院を前提に考えるのであれば改革案は意味がない。 

・公立病院特例債は、廃院を前提としたものではなく、医師不足の深刻化等により発生した不良債務について、公立病院を設置する自治体が策定する「公立病院改革プラン」により、改革を円滑に進め、経営の健全化の取組を行い、この不良債務の計画的な解消を図るための支援として講じられるものです。 

・パブリックコメントがインターネット上の 
みの募集では、ネットの環境のない人などは意見がいえない、周知についても不十分である。広く府民に意見がもらえるように考えるべき。 

・今回のパブリックコメントについては、ホームペ 
ージのほか、大阪府総務部市町村課、同健康福祉部保健医療室医療対策課、府政情報センター及び各府民情報プラザに資料を備え付け、閲覧できるようにするとともに、ファックスや郵送による募集も行えるように対応させていただきました。なお、今後とも、パブリックコメントの実施方法等については、広く府民の皆様からのご意見を募集できるよう取り組んでいきたいと考えています。 


 ・大阪府保健医療計画では、すべての医療圏で基準病床数を上回り、2万床多いとされている。医療費適正計画では介護型を廃止し療養病床あわせて1万床近くも減らすとしている。高齢化社会に向けて、大阪府は府民のために何をすべきなのか、中長期的展望を示して欲しい。 

・大阪府では、府保健医療計画をはじめ、医療費適正化計画、高齢者保健福祉計画及び介護保険事業支援計画など各計画の整合を図りながら、保健・医療・福祉の各分野を通じた総合的なサービス体制の確保に努めてまいります。