【水平垂直】阪南市立病院問題 新市長と医師 不信の溝 退職なら再び経営危機



約束を守る と言う常識がないのは市長          
     

【水平垂直】阪南市立病院問題 新市長と医師 不信の溝 退職なら再び経営危機 
2008.11.25産経新聞   
  

 医師の大量退職から一時は存続が危ぶまれたものの、再建への道筋が見え始めていた大阪府阪南市立病院が再び危機を迎えている。市は大量退職を受け、大幅な給与引き上げで医師確保を進めたが、今年10月の市長選で当選した福山敏博市長の「見直し」発言をきっかけにまたも8人の医師が辞表提出。市は慰留に努めているが、医師の不信感は払拭(ふっしょく)されていない。8人の退職時期は12月末から来年2月末。タイムリミットは刻一刻と迫ってきている。 

 ■最初の危機は回避 

 阪南市立病院は昨年6月、和歌山県立医大から派遣されていた内科常勤医5人が一斉退職し内科が休診。さらに今年1月には同大派遣の医師7人が3月末で退職することが明らかになり、4月からの入院受け入れ全面休止の方針となった。 

 しかし、今年2月、一人の医師が、この窮状に「何かできることがあれば」と申し出て、「総合診療」の開設を決定、病院再建への第一歩が踏み出された。 

 さらに岩室敏和前市長は6月、歩合給を導入して医師の平均年収を約1200万円から約2000万円に見直し。大学以外のさまざまなルートを使った医師招聘(しょうへい)や、新しく来た医師の紹介などで、医師を増員していった。10月決算見込みでは、医業収益が1億円を超えることが報告され、経営は軌道に乗りかけていた。 

 ■市長交代で“暗転” 

 10月に行われた市長選をきっかけに再び危機が到来した。岩室前市長を破った元副市長の福山市長が当選後、歩合給制給与の見直し検討に言及したからだ。 

 福山市長は副市長時代、市立病院と和歌山県立医大との関係修復などに当たっていたが、今年2月に解職された経緯があり、市長選でも岩室前市長の、大学からの派遣だけに頼らない医師獲得の実績に対し、「大学との連携による安定した病院運営」を強調、当選した。初当選後の報道陣のインタビューでは、歩合制の見直し検討に言及。「地域のためにやってくれるのなら歩合制でもいい」とも述べたが、結果として、給与引き下げ発言が独り歩きした。 

 これに反発し、福山氏の市長就任に合わせ医師8人が辞表を提出、再び病院運営に暗雲がたれ込めた。 

 ■「信用」の問題 

 辞表を提出した医師の一人は「給与(見直し)の話は二の次。『信用』の問題だ」という。この医師は自らのパイプで、別の医師を市立病院に招く努力を続けていたが、「今の給与体系を説明して紹介したのに、簡単に変わるなら信用がなくなる。特定の大学から医師を呼ぶのなら、地域医療のために来た人はいらないということにもなる」と憤りを隠さない。 

 市議会市立病院関連特別委員会の委員の一人は「医師の辞意は(給与体系見直しに言及した)当選後の報道が発端にはなったが、単に失言に始まったことではない」と指摘。つまり、岩室前市長が行った医師確保は大学医局と一線を画した施策で、これに応じた医師らは福山市長の選挙戦からの発言に不信感を募らせているというのだ。市長は、医師の慰留を進めているが「話す条件が整っていない」と態度を硬化させている医師もおり、交渉は難航している。 

 辞表を提出している8人が退職した場合の病院収入は4割減と試算されており、病院が立ち行かなくなる恐れが現実味を増してくる。