全国で進む公立病院の再編はやむを得ない面があるとはいえ、地方では在宅診療や予防的な健診に力を入れる公立病院、診療所もある。再編・統合を進める場合、そうした地域事情に配慮する必要がある。



『全国で進む公立病院の再編はやむを得ない面があるとはいえ、地方では在宅診療や予防的な健診に力を入れる公立病院、診療所もある。再編・統合を進める場合、そうした地域事情に配慮する必要がある。』   
  
    
<社説>公立病院統合 地域の医療が輝いてこそ 
2008.11.09 神戸新聞  
  
公立病院統合 

地域の医療が輝いてこそ 

 公立病院の多くが赤字に苦しむ。加えて医師不足から診療科の縮小や休診を余儀なくされ、地域の中核病院としての機能を果たせなくなるところが増えている。 

 総務省は昨年から公立病院改革ガイドラインをつくり、経営効率化や再編に乗り出した。だが、あちらを立てればこちらが立たずで、なかなか前に進まない。 

 そんな中、小野市民病院と三木市民病院が統合することになった。これまで多くの医師を派遣してきた神戸大学医学部に、その余裕がなくなったからだ。 

 新病院は二〇一三年に小野市でオープンする予定という。医師不足と赤字体質から抜け出し、高い機能を備えた新生病院としてよみがえることを期待したい。 

 統合話は神戸大学が数年前から北播地区の自治体に持ちかけていた。それまで主に大学側から医師を派遣してきたが、〇四年から始まった新臨床研修医制度で卒業後の研修先が自由に選択できるようになり、大学に残る研修医が大幅に減った。 

 これが全国で公立病院苦戦の要因となっている。人手が不足する大学側は系列病院から医師を引き揚げるようになり、各地で医師の不足や偏在が表面化した。 

 小野市民病院は三年前に産婦人科の診療を中止した。三木市民はもっと深刻で、四科が休診、五科が外来のみとなった。 

 一般に病院が統合されるとベッド数や診療科が増える。医師が重点配置されれば、地域の特性や実態に応じて、より中身の濃い医療が期待できるようになる。 

 統合のプラス面だが、一方で二つが一つになれば不便に思う人も出てくる。緊急時の対応や通院の足の確保など、これまで以上にきめ細かな対応が必要だ。 

 地方自治体の多くは、一般会計から公立病院の赤字分を補てんしている。赤字が増えるほど自治体財政は圧迫される。 

 全国で進む公立病院の再編はやむを得ない面があるとはいえ、地方では在宅診療や予防的な健診に力を入れる公立病院、診療所もある。再編・統合を進める場合、そうした地域事情に配慮する必要がある。 

 神戸大は新病院を全国から医師が集まるモデル病院にしたいようだ。急性期の治療や高度・先進的な医療にとどまらず、患者を総合的に診ることができる医師の養成、配置にも努めてほしい。一般病院や開業医との連携・協力も今以上に重要になる。 

 地域医療が生き生きとしたものになってこそ、公立病院統合の意味がある。