政府は08年度に限り自治体の病院事業の累積債務の一部を別口の借金に振り替え、連結赤字から除外する措置を認めた。地方医療の危機を考慮し、さらなる柔軟対応も検討すべきではないか



『政府は08年度に限り自治体の病院事業の累積債務の一部を別口の借金に振り替え、連結赤字から除外する措置を認めた。地方医療の危機を考慮し、さらなる柔軟対応も検討すべきではないか      
(2008.11.09毎日新聞社説) 
・・・国鉄民営化の成功前例を踏襲すべき段階にきている。国民が納得できる改革プランであり 医師確保が確実な再編・ネットワークであれば 累積債務の全額免除で 医療の質を高める積極的投資を誘導するしかない。 
財政支援策が中途半端であれば 逆に作用する。国鉄並の債務切捨て策こそ 最善・最良の策である。国鉄も公立病院も戦後度重なる健全化計画を実施したが 全く効果なく事態がますます悪化した。毎日新聞の社説を支持する 』(長 隆)   


社説:自治体財政指標 血の通った運用も必要だ 
2008.11.09毎日新聞   
  
 地方財政の悪化が深刻な中、新たな物差しをどう生かすか。07年度決算に基づく自治体財政の健全度を総務省が公表した。07年に制定された自治体財政健全化法が導入した新指標を適用した結果、3市村が財政破綻(はたん)状態で、40市町村がその手前の警告段階にあることがわかった。 

 景気悪化で今後、自治体は税収の減少が懸念されている。健全化法が実際に適用されるのは08年度決算からだが、警告カードを突きつけられた自治体はすみやかに対策を講じる必要がある。一方で国も、新制度が公立病院の切り捨てなど住民サービスの低下をいたずらに誘導しないよう、血の通った運用をこころがけるべきである。 

 自治体財政はこれまで、通常の会計に赤字が占める割合で健全度を判断した。しかし、すでに破綻した北海道夕張市の場合、第三セクターや事業会計の「隠れ借金」を早めに見抜けず事態の悪化を招いた。この反省から公営企業の会計も連結した「連結実質赤字比率」や、借金の返済が財政に占める割合など新たに3指標を加え、それぞれ基準値を示した。 

 判明したのは「第2の夕張」となりかねない自治体が数多く存在することだ。破綻を意味する「財政再生団体」に転落すれば、財政運営は国の厳しい管理下に置かれる。また、破綻予備軍として警告された自治体も、外部からの監査が義務づけられる。 

 バブル期や、その後の景気対策で公共事業やハコ物に積極投資し、借金が積もりに積もった自治体も多い。財政再生・健全化計画の策定が義務づけられるのは08年度決算以降だが、手をこまねいていることはない。今回基準に該当した自治体は再建策作りに早急に取り組み、住民に示す必要がある。 

 一方で都道府県にも、今後数年で借金の支払額などの数値が基準に触れかねない自治体が少なくない。大阪府が大幅な歳出カットに踏み切ったゆえんだ。法人事業税など税収減少が見込まれる中、各県は職員給与や職員数見直しに万全を期さねばならない。 

 新指標で留意すべき点もある。「連結実質赤字比率」で通常の会計と連結して計算される対象には、公立病院の会計も含まれる。 

 多くの自治体で、病院経営が財政悪化を招いているのは事実だ。ただ、企業経営と異なり自治体の連結決算の目的は利潤追求でなく、財政健全度の計測だ。住民サービスを削ればいいというものではない。 

 政府は08年度に限り自治体の病院事業の累積債務の一部を別口の借金に振り替え、連結赤字から除外する措置を認めた。地方医療の危機を考慮し、さらなる柔軟対応も検討すべきではないか。新指標は有意義だ。だが、しゃくし定規ではいけない。 


国鉄長期債務等の処理方策等について(閣議決定) 

 雇用対策と並ぶ重要課題である長期債務等の処理に関しては,61年1月28日「国鉄長期債務等の処理方策等について」が閣議決定された。 
  国鉄の経営する事業を再建するためには,国鉄の抱えている膨大な長期債務,年金負担等について適切な処理を行うとともに,国鉄が負担することを前提として日本鉄道建設公団及び本州四国連絡橋公団が建設した鉄道施設に係る資本費の処理も併せ行うことが必要である。政府として,その処理のための方針,手順を明らかにしたのが,この閣議決定であり,その中で次の基本方針を定めた。 
  
(i) 国鉄の膨大な長期債務等の処理については,新事業体の健全な経営に支障が生じない範囲で旅客会社等に承継させ,残るものについては,当面,清算事業団に帰属させて償還等を図るものとし,用地売却等の自主財源を充ててもなお残るものについては最終的には国において処理する。 
  
(ii) そのために必要な「新たな財源・措置」については,雇用対策,用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で歳入・歳出の全般的見通しとあわせて検討・決定する。 


(巨額の債務に対し毎年約1兆円の支払い利息が発生したため、政府は1987年から年間数百億~2000億円程度の利子支払い補助金を拠出したが、バブル景気崩壊後の不況に伴う株式市場の低迷および土地価格の下落で、支払い利息分を超える土地・株式の売却収入を得ることができずに毎年多額の損失を計上。 

さらに借り換え資金の調達額の増加に伴う新たな利払いも増えたために、1996年度には1日あたり24億円の支払い利息が新たに発生する状況に陥った。 

このため、元本の処理すらできないまま債務総額は28兆3000億円に膨張して償還スキームは事実上破たんし、国鉄清算事業団は1998年に解散した。 

結局、償還不能となった債務のうち、年金負担分を除く政府保証付債務24兆2000億円は、1989年の閣議決定に基づいて国の一般会計に繰り込まれ、たばこ特別税や郵便貯金特別会計、一般会計の歳入繰り入れなどによる国民負担で処理された)