病院から診療所になった 穂別診療所の一木院長が総務省で意見陳述されました 穂別町立病院は平成12年・総務省の地方公営企業経営アドバイザー事業 に選定され、同年。10月11日、12日に 長 隆(おさ たかし)は指導・助言を行いました・・・・



『病院から診療所になった 穂別診療所の一木院長が総務省で意見陳述されました 
穂別町立病院は平成12年・総務省の地方公営企業経営アドバイザー事業 に選定され、同年。10月11日、12日に 長 隆(おさ たかし)は指導・助言を行いました・・・・ 
訪問後5年後に経営形態変更。これ以上の経営改革は無理。総務省が意見陳述診療所に選んだのは 夕張と並んで国が直接財政支援をどこまですべきかの基準としようとしているのであろう・・・過疎の町に現在の診療所への交付税年700万は論外で人口一人当たり1万円年額1億円とすべきという結論になるのであろう。この程度の措置がされなければ町に人が住めなくなる。 』 

以下 
公立病院に関する財政措置のあり方等検討会(第3回) 平成20年8月22日抜粋 

○ 一木崇宏北海道むかわ町国民健康保険穂別診療所長 説明 

・ むかわ町は平成18年に穂別町と鵡川町が合併して誕生した人口1万人、高齢化率は現在30%の町。鵡川には公設民営の厚生連が経営する40床の病院があるが、穂別と40km程度離れている。穂別診療所を中心に鵡川の本庁が直線距離で40km、救急搬送をしている苫小牧とは道なりで行くと70km程度の距離。救急車で夏場では1時間10分程度の距離。東京と比べると東京駅を中心にむかわ町本庁までが横浜ぐらい、苫小牧市まではつくば市ぐらいの距離。 

・ 北海道の過疎地医療の特徴は医師を含むスタッフ不足とそれに伴う厳しい勤務環境がある。広大な地域ゆえ、各地で初期救急対応が求められ、非効率である。 

・ むかわ町穂別診療所は、平成17年5月に63床の町立病院を19床の有床診療所に転換した。現在医師が総合医3名体制でプライマリーケアを意識した診療を行っている。救急告示を受けていないが、町立病院時代の救急体制を維持している。 

・ 診療所化により町民は医療機能が低下すると不安も強かったが、そのあたりを意識して、また、診療所化により赤字を減少させるためいろいろな改革を行っ 
てきた。医師は総合医3名体制で、出張医による整形外科の外来や在宅療養支援診療所の届出、患者送迎の開始、電子カルテの導入やCT画像伝送システムの導入、出前講座や診療所祭りを開催。コスト削減するための委託の見直しや人員整理も行ってきた。 

・ へき地医療に関心を持ってもらうために、医学生や研修医を積極的に受け入れている。初期研修医についても研修病院に働きかけ、1ヶ月以上義務付けられている地域保健・医療研修の場として年間10名弱の研修医を1ヶ月から2ヶ月交代で受け入れている。地域の現状をよく知ることができると研修医にも喜ばれている。今年から理学療法士、作業療法士を1名ずつ雇用し、リハビリに力を入れている。 

・ 診療所化にあたり、医師を2名にするとの町の方針に対して救急体制の維持を考えると2名では無理であるとの主張を議会でも説明し、2名分の給料で3名を雇用する体制となった。給与は減ったが、週に1回研修日として、札幌の病院に勉強しに行けるようにしたり、土日の当直をした後は1日代休をとれるようにして、少しでも働きやすい環境を整えることを目標としている。 


・ 患者の推移では、平成17年5月に診療所化してから外来患者数、入院患者数が減少している。外来患者数の減少は長期投薬や人口減による影響が大きいと考えられる。入院数の減は在院日数が減ったということと、社会的入院を入れなくなった影響が考えられる。平均在院日数は病院時代の23日から半分ぐらいになり、1日平均入院患者数は7.3人まで落ちた。 

・ 医療内容は、病院時代と比べて訪問診療は増加している。訪問看護は減っているが、訪問リハビリが増加してきている。救急搬入については、救急告示を受けていないが、全て受け入れているので、病院時代と同じ数の患者が来ている。時間外診療も24時間受け付けているので年間1,000人の患者が診療所に来ている。 
一次救急の軽症の患者も受け入れ、苫小牧市の2次医療機関と連携し、救急ヘリも年間2件から5件活用している。平日の当直は現在勤務医が対応し、週末は月3回程度出張医に依頼している。 

・ 我々はプライマリーケアに取り組んでいる。その概念は近接性、包括性、継続性、協調性、責任性ということであり、かかりつけ医として身近でどんな問題 
にもまず対処して継続性をもってその方に責任を持ってやっていくこと。1,000人の住民がいると、入院が必要な方は10 名程度、されに専門医への紹介が必 
要な方は1名という有名な研究がある。何かしらの疾病がある方の多くを総合医とかプライマリーケアの医師で対応できると考えている。また我々プライマリ 
ケア医は健康な人も対象として予防活動などにも取り組んでいる。 

・ 一般会計からの繰入金は以前の病院時代には2億円から2億4,000万円程度であったが、診療所に転換した現在も1億円以上の繰入金がある。転換後のコスト削減はかなり進んでいると思うが、もっと早くやるべきだったのではないかと思う。平成18年度のへき地病院を震撼させた診療報酬改定のことを考えると診療所にしてよかったと、病院のままだとあと1億円程度赤字が増えたと思う。 

・ 診療所としてどこまで赤字を減らせるかいろいろと努力をしているが、診療報酬のことを考えると限界なのかもしれない。削減が無理なら無床化するとか救急を受けないとか機能を減らして生き残っていくしかない。はたして、それで町民の理解は得られるのか。公設民営方式を導入して現在の機能を維持していくことも1つの選択肢かもしれないが、必ずしもうまくいくとは限らない。 

・ もう1つある町内の公設民営の病院も1億円以上の赤字なので、赤字の病院は2つも要らないという声も聞こえるが、地域インフラの1つとして支えていく 
ことができるかが課題である。町からは財政のことばかり言われる。職員の増員、補充についてなかなか理解してもらえない。当直の負担も大きく、コンビニ受診で夜呼ばれるたびにもう辞めたいと思ってしまう。このまま長くは働けないと疲弊しながら何とか頑張っている状態。 
行政の理解がなければ現場の疲弊は進む一方。何よりも地域の住民や行政からどうしても必要だと認めてくれる、評価してくれることが医療者として大きな喜び。 

・ 住民の理解があればまだ救われる部分がある。コンビニ受診の啓発や健康づくりのこととか住民が自ら考えて行動するようになってくれればうれしいし、や 
りがいも感じる。昨年立ち上がった住民組織「診療所友の会」は心強い応援団と思っている。 

・ 診療報酬について、小さな医療機関は頑張れば頑張るだけ赤字が増えてしまう感じである。何か矛盾を感じながらいつもやっている。 
診療所になると公営企業でなくなるのでお金の出し入れも分からなくなるし、公営企業全部適用という選択肢はもちろん消える。地域の病院再編にも診療所は名前が出てこないので何となく無視されているような感じがする。 


○説明者と委員との間の主な質疑応答、意見交換 

・(委員)医者を確保するために給料を上げなくなくてはならない、そのための財政措置を講じてほしいというのは1つの考えだと思うが、給料を上げたとしても医者が来てくれるのか。 


・(説明者)医師の給与の話は先ほど1.4倍という説明をしたが、これまでは、かなりの金額を積まなければ医者を呼べなかった地域事情はある。今の若い 
医師は専門医指向で給与水準が高くてもなかなか来てくれない。 
地域医療を担ってくれる医師の育成のために札幌医科大学では地域枠を確保し定数を増やしてもらう要望をしているが、志をもった医者をどんどん増やしていく必要がある。 
広域化連携を進めるために、国の交付税措置など、幅広い支援が必要である。 

・(委員)むかわ町の二次救急を受け入れてくれる苫小牧市の医療機関の実情、実態あるいは連携はここ数年変化があるか。二次病院が疲弊している実態もあるのでその点お聞きしたい。 

・(説明者)苫小牧市立病院と王子総合病院で400床の病院が2つあり、偶数日、奇数日で救急当番をされていて、基本的には100%近く受け入れ可能な状 
態である。いまのところ二次救急の崩壊は起きていない。 

・(委員)一木医師はプライマリーケアの教育をどのように受けられたのか。また、プライマリーケアをどのように普及させていくべきと考えているか。 
・ 
(説明者)もともと小児科医として6年間従事し、地域医療がしたくて大きな研修病院を各科回って研修した。プライマリーケアに特化した研修を受けたわけで 
はない。足りないところは途中で勉強し、絶えず足りないところを補っている。 
初期研修がしっかりと2年間行われるようになってくると、かなりの部分でできるようになるのではないか。 

・(委員)プライマリーケアの取組の結果、町民一人当たり医療費はどう変化した 
か。 

・(説明者)一番高いときには全道平均を超えて110万円であったが、最近は80万円と全道平均程度に下がっている。鵡川町と合併したため、18年度、19年度の旧町単位の数字は分からないが、全体としては下がっているが、全国平均からすると高いと思う。 

・(委員)診療所における介護との連携はどのようにしているのか。 
・(説明者)入院患者数が減少しているのは療養型の患者がほとんどいなくなった 
ことも理由の1つとしてある。ほとんどが特別養護老人ホームに移ってる。 
穂別に関しては100床の特養があり、そのうち60床は町のベッドとして使えるので、3ヶ月程度待つと大体介護度3を超えると入所ができる。我々も週に2回回診を行っているので連携もとれている。 

穂別町立病院は平成12年・総務省の地方公営企業経営アドバイザー事業 
に選定され、同年。10月11日、12日に 長 隆(おさ たかし)は指導・助言を行いました。(JAPAN MEDICINE 2005/10/12 ) 


★札幌市の南東にある穂別町は、町内唯一の病院だった63床の町立病院を19床の有床診療所にしながらも、一般会計からの繰り入れは、6割減の8000万円に圧縮され、町財政への負担も大幅に軽減した。地域医療の確保は、規模でないことを示すモデルといえそうだ。 

★病床削減により、同診療所は総務省が05年度から始めた自治体病院の削減に対する地方財政措置の対象になる。5年間程度は削減前の病床数で普通交付税が交付され、同町には63床分の年間約3000万円が入る見込みだ。 
  
83床の病院がある隣の鵡川町までは約30km、市立病院を含め2つの400床規模病院がある苫小牧市までは約70km。これを都心にあてはめると30kmは直線距離で横浜市、70kmは埼玉県秩父市に相当する。 
  
一般会計から年間約2億円を繰り入れても赤字続きの病院の再建に向けて、町議会や住民と話し合い、いくつかの選択肢の中から、有床診が選ばれた。06年3月に控えた自治体病院のない鵡川町(人口7000人)との合併に向けて、03年度末で2億2700万円の不良債務を放置できないという危機感も、抜本的改革を急がせた。 

★市町村合併も追い風に 
同町が有床診へのダウンサイジングという大胆な決断を下した理由は何だったのだろうか。 

「2000年ごろから63床の病床を持つことに疑問を持ち始めた。」と話すのは一木崇宏所長。 

ちょうど建て替えの話が浮上した頃のことだという。また普通交付税は減少傾向にあり、三位一体改革への危機感もあったという。 

一木所長が旧町立病院に赴任した。 
1998年当時、常勤医は4人いた。 

1日の外来患者は約140人、入院患者は35人~40人で病床稼 働率は60%前後。 
平均在院日数は35~40日と長く、患者状態を踏まえて短縮を図った結果、02年は約21日になった。 

ただ病床稼働率は3割強に落ち込み、経営状況は悪化した。 
 また一木所長が「北海道と都会とでは距離間が全く違う」と指摘するように、医療連携は地理的状況から難しい。 

★依然厳しい経営 
 国保会計のバランス重視で 
有床診となっても、外来患者数は変わらないが、病床稼動率は9割に上昇した。 

一木所長は「平均在院日数は20日を切っているのではないか」と話す。 
ただ、有床診の入院基本科は病院よりかなり低く設定されているため、1日に病院時代とほぼ同数の入院患者を診ていても、入院収入は約4割の大幅減だ。 

また、病床種別ごとに病棟を分ける必要があるため、運営上、非効率な面もある。 
  
全体収支は年間約1億2000万円の赤字見通しで、経営は依然厳しい。 

JAPAN MEDICINE 2005/10/12