読売新聞 提言  高く評価 ・・ 医療費抑制主張する輩は, 過疎地病院で, 当直してみよ! 医療にもっとお金をかけよ」との提案



『読売新聞 提言  高く評価 ・・ 医療費抑制主張する輩は, 過疎地病院で, 当直してみよ! 
医療にもっとお金をかけよ」との提案は、医療費を抑制する政府の方針のもとで、診療報酬を下げられ、医師不足などで大変な思いをしている医療現場にとって、ありがたい。「医療は公共財」との主張 』        
   
「医療改革・読売提言」反響特集(上)評価と課題、有識者に聞く 
2008.10.22読売新聞  
  

 読売新聞社は、今月16日の朝刊で、医療改革提言を発表した。医療の崩壊を防ぎ、信頼できる医療体制を確立するため、医師不足の地域・診療科に若手医師を計画的に配置することや、医師派遣を調整する第三者機関の創設などを求めた内容だ。多くの方からいただいた反響を2回に分けて特集する。まず、読売提言の評価と課題について、4人の有識者に聞いた。 


 ◆医療費抑制からの転換、評価 

 ◇日本医学会会長、自治医大学長・高久史麿(たかく・ふみまろ)氏 

 新聞社が将来の医療のあり方について提言したことは、非常に高く評価している。特に「医療にもっとお金をかけよ」との提案は、医療費を抑制する政府の方針のもとで、診療報酬を下げられ、医師不足などで大変な思いをしている医療現場にとって、ありがたい。「医療は公共財」との主張も、その通りだと思う。 

 医療費全体を上げ、病院勤務医の待遇改善をまず図るべきだという指摘も、医療現場のみんなが思っていることだろう。日本は、欧米に比べ病院が多すぎる問題もあるが、医師の数を増やさなければ、医師の過重勤務の緩和は難しい。どれだけ増やせばよいか、指導する医師数の問題もあり、的確な数を出すことは難しいが、読売案の「医学部定員を2割増で1万人に」あたりは現実的だろう。 

 ただ、若手医師の計画配置は、方向性は良いとしても、実現は容易ではない。専門医の認定制度など、いろいろな仕組みを変えなければならない。 

 診療科ごとの医師の偏在解消には、専門研修の人数に上限を設けたアメリカのレジデント(後期研修医)制が参考になるが、日本と違うのは、研修費用に公費が投入されている点だ。日本でも若手医師を診療科別に計画配置するとすれば、後期研修にも国がお金を出す必要がある。 

 地域による医師の偏在是正には、さらに高い壁がある。自治体や医師会、大学、一般市民も入れた第三者機関などが、地域の医療需要に応じた医療計画を作るべきだが、その中に読売案のような医師を配分する仕組みもできるかどうか。誰が、どうやるのか。 

 医療臨調の創設には、私も賛成だ。医療を提供する側の論理だけではなく、ぜひ一般の人も入れて、医療にどれだけお金をかけるのかなど、国民の声を反映させるべきだと思う。 


 ◆地方の医師確保、動機付けを 

 ◇諏訪中央病院(長野県)名誉院長・鎌田實(かまた・みのる)氏 

 いま医療現場で最も苦労しているのは、医師不足に苦しむ地方の中小病院だ。それでも勤務医たちは、国の医療費抑制策にめげず、必死で在宅医療や住民の健康作りに取り組んでいる。 

 今回の提言では、こうした地方の医療を何とかしなくては、というメッセージを大々的に展開してくれたのが、大変うれしかった。 

 医師が特定の診療科に偏ることに歯止めをかけるため、診療科ごとに定員を設ける案には賛成だ。ただ、地域ごとに定員を決めても、医師が適正に配置できるかどうかは、疑問が残る。地域医療に興味がない医師を配置しても、良い医療は期待できないからだ。 

 例えば、やる気のある若手医師が、地域医療に熱心な病院で研修を受け、力をつけたら大学で専門医療も学べる、といった仕組みを作ってはどうか。その間の手当などは国が保証する。こうした動機付けをした方が、医療過疎を解消するには効果的だと思う。 

 地域の医師定数は、病院勤務医にではなく、むしろ新たに開業する医師に設けた方がいい。その際、読売案にあるように、家庭医の研修を受けるべきだ。 

 私の考えでは、開業する前の医師に2年ほど、過疎地での勤務や国際医療支援など、社会貢献を課した方がいい。こうすれば、開業医は国民の尊敬を取り戻せるのではないか。 

 麻酔科医不足の解消に歯科麻酔医を活用する案には大賛成だ。看護師に医師業務の一部を移す案も納得できる。医師に権限が集中しているのはおかしい。各職種が主体性を持てる関係になった方がいい。 

 患者がどの医療機関でも受診する自由は守らなければならないが、過剰な病院の受診には、抑制が必要だろう。開業医を受診せずに、病院に直接かかると治療費が高くなる仕組みを、早く導入すべきだ。 


 ◆在宅・施設、多様な選択肢必要 

 ◇作家・落合恵子(おちあい・けいこ)氏 

 医療、介護、年金などの社会保障制度が崩れ落ちようとしている。誰にも訪れる高齢期という人生のステージを迎え、どのように生きたらよいのかと迷う人が多いが、そうした高齢者の声は政治に届きにくい。読売案は、高齢者を含めた社会的に「より小さな声」をサポートするものの一つとして評価はできる。 

 私も昨年まで、母親を自宅で7年間介護してきた。介護現場の疲弊は激しく、若い介護職員さんから「もう体がもたない。燃え尽きてしまう」という訴えをよくいただく。 

 給料も安く、使命感だけで介護の仕事を担うのは酷だ。看護師さんも含め、離職率は高い。介護職員や看護師が自分の健康や暮らしを守ることができるよう、せめて、まずは介護報酬を増やすべきだ。 

 母が自宅療養を望み、看護師の数が必ずしも十分とはいえない病院の実情もあり、私も在宅医療を選択した。だが、実際には、在宅を望みながら、かなわない人の方がはるかに多い。在宅医療を行う医師は足りず、24時間体制のキメ細かい介護・看護体制も整っていない。だから、在宅か施設かの二者択一ではない、多様な選択肢が必要だ。 

 その点で、読売案の高齢者向けケア付き住宅は、解決策の一つになるだろう。特別養護老人ホームの入居待機者を減らすこともできるかもしれない。ただ、有料老人ホームなど現状のケア付き住宅は玉石混交で、質の低いものも少なくない。現行の自治体の監査だけでは不十分で、第三者によるチェック体制を早急に整える必要がある。 

 高齢者が長「寿」の文字にふさわしい老後を送り、家族もそれを穏やかに見守ることができなければ、若い人たちも将来に夢を持つことができないのではないか。国は、お年寄りにこそ、お金をかけるべきだ。 


 ◆財政含めた提言、大きな意義 

 ◇京都大大学院教授(医療経済学)・西村周三(にしむら・しゅうぞう)氏 

 マスコミは、医療の問題について批判はするが、背景にある複雑な構造や財政問題には踏み込まない傾向が強い。提言はそれを覆すもので、高く評価したい。 

 新聞の提言が世論を誘導するとの批判もあるが、そうではない。消えた年金記録など政府の失態が続く今のような時代は、国民が議論することが不可欠で、前提となる考えをメディアが示すことは必要だ。 

 「社会保障費の抑制策を転換せよ」という緊急提言は全面的に賛成。経済界などからは、医療にはまだ無駄がある、という反論が出るだろうが、はっきり否定したい。近年、医療界は無駄の排除に相当努め、高齢化などで激増する医療需要や、情報公開の求めにも応えてきた。過度な抑制策で、医療の安全確保などに不安が生じている。 

 消費税を社会保障税に改めることなどで「給付と負担の新ルールをつくれ」という提案にも大賛成だ。ただ、社会保障財源は税か保険料か、今一歩踏み込んで欲しかった。社会保障税を10%に、としているが、それだけでは将来にわたる社会保障費は賄えない。 

 日本の社会保障問題を複雑にしている一因は、財源に税と社会保険料が混在していることにある。医療費は、北欧、英国では主に税、欧州大陸の各国は主に社会保険料、と明確だ。 

 ところが、日本では、増える医療費負担を、税で賄うか、保険料で賄うか、あいまいなために、保険制度の根幹である健康保険財政が危機に陥っている。税の管轄は財務省、保険料は厚生労働省と分かれ、それぞれ族議員もいて、一元的な議論ができない。ぜひ、医療臨調で論じて欲しい。 

 社会保障カード導入にもおおむね賛成だ。カードによる個人情報流出などリスクばかり強調せず、利点が大きいことを国民に理解してもらう努力が必要だ。