山梨県 県立2病院の独立行政法人化 は県民に支持されるであろう。  山形県の成功事例を 県民に知っていただけば 先送りがいかにマイナスか理解してもらえるであろう。



『山梨県 県立2病院の独立行政法人化 は県民に支持されるであろう。  山形県の成功事例を 県民に知っていただけば 先送りがいかにマイナスか理解してもらえるであろう。 
 一般独法化されると不採算部門を切り捨てたり、公務員でないため人材が集まりにくくなったりするなどと不安の声が根強い。という批判する人は 山形県・酒田市医療機構が 一切切捨てせず 急激に業績回復している現状を視察すべきである』 
  
    

[対論激論]県立2病院の経営 今井信吾氏、清水英一氏に聞く=山梨 
2008.09.07読売新聞   
  

 ◆一般独法化の是非 

 巨額の赤字を抱える県立中央病院など県立2病院の経営形態を巡る議論が、白熱している。学識経験者らでつくる県の検討委員会は一般地方独立行政法人(一般独法)移行が望ましいと判断。横内知事は「尊重する」としたが、県議会は「議論が十分でない」と“待った”をかけて特別委員会を設置し、県が決断を事実上先送りする事態となっている。県立病院が抱える課題と、ふさわしい経営形態は何なのか。県検討委の座長を務めた今井信吾氏、県職労・県立病院対策委員会委員長の清水英一氏に聞いた。(新美舞、田中重人) 


 ◇今井信吾氏 

 ◆移行遅れれば赤字増 

 --なぜ経営形態を変える必要があるのか。 

 県立病院は今、莫大(ばくだい)な赤字を抱えている。政策医療を担うのだからいくら赤字が出てもいいという考え方が長年あったが、負担するのは県民。政策医療の実施は大前提としても、健全な経営を考えるべき。 

 だが現在の経営形態である「地方公営企業法の一部適用」では、病院側に人事権も予算執行権もない。急に機器や人材が必要になっても県の補正予算成立を待たねばならない。そうした制約からの解放が一番大事だ。 

 --委員会は一般独法化がふさわしいと結論を出した。 

 当初は、委員の半数が「地方公営企業法の全部適用」くらいでいいのでは、と考えていた。だがそれでは県の内部組織にとどまり、行政改革の定員削減の対象となるなど、病院改革に必要な自律性の向上や柔軟な対応が出来る体制整備を実現しにくいとの意見が出てきた。最後は全員一致で一般独法化すべきとなった。 

 --中央病院の建て替えに伴い発生した年20億円前後の減価償却費を除けば赤字ではないとの指摘もある。 

 総工費500億円もの建物は身の丈を超えている。しかし建てたのだから、県民のために使うしかない。ただ、減価償却抜きで収支を考えるなんて事業をやっていればあり得ない話だ。 

 --一般独法化されると不採算部門を切り捨てたり、公務員でないため人材が集まりにくくなったりするなどと不安の声が根強い。 

 横内知事は、県が運営費交付金を出し、不採算でも県民ニーズがある政策医療は守ると明言している。信じてもらうしかない。 

 委員会で現場スタッフの意見を聞いた時、「民間より激務だが公務員の誇りをもって頑張っている」との声があった。一生懸命なのはわかるが気持ちだけでは長持ちしない。病院側に自由裁量があれば職員増や検査方法の効率化などで魅力ある病院作りに取り組めることになり、結果的に人材も集まる。 

 --中央病院の7割以上の職員が公務員でなくなることは不安と答えたアンケート結果があるが。 

 公務員でいたい理由を聞くことが大切。そして職員の具体的な要望を吸い上げ、新しい経営形態を議論するのが県の役目だ。 

 --県議会の特別委では、早急過ぎるとの声が出ている。 

 決定が遅れれば遅れるほど、赤字は膨らむ。今必要なのは「改善」ではなく「改革」だとの意識が足りない。他県がまだだからとか公務員の身分が大切だとかいうのは、表面上の議論。県立病院が県の代表的な病院としてどうあるべきか、他の病院との連携も含め地域医療はどうあるべきか、という本質的な議論をもっとしてほしい。 

          ◇ 

 ◇いまい・しんご 67歳。中央大商学部卒。三井海上火災保険専務などを歴任。2004年まで三井住友海上きらめき生命保険社長。昨年度、県立病院経営形態検討委員会で座長 


 ◇清水英一氏 

 ◆採算だけ重視は疑問 

 --一般独法化に反対の理由は。 

 職員が非公務員型となることには絶対反対だ。中立性、公平性が失われて、政策医療が担えなくなる恐れがある。 

 --現在の経営形態をどう思うか。 

 もちろん改善すべき点はある。ただ、経営形態を変える前に、無駄を省いて運営を改善する必要がある。 

 確かに、以前の私たちに無駄を減らす意識はなかった。だが、今は各セクションが経費削減に取り組んでおり、単年度ベースで見れば、赤字は毎年減っている。私が所属する検体検査科でペーパーレス化に取り組んだところ、紙の量が半減した。 

 --どのような経営形態が適切と思うか。 

 まず、県立病院の位置付けを明確にすることが先だ。例えば中央病院なら「周産期や救命救急などの政策医療を担う基幹病院」などと、理念を明示した上で経営改革に入るべきだ。それがないから「不採算部門は削られるのでは」と患者や職員の間で不安が募る。県の説明は、不安を払しょくするほどの重みがない。 

 --一般独法化のデメリットは。 

 これだけ赤字が注目されれば、一般独法化で病院のトップに立つ理事長は、小児科や産科、救命救急部門などの不採算部門に手を着けざるを得ないのではないか。誰を理事長に迎えるかで、(経営方針が)異なることになるのも心配だ。 

 --県立病院の赤字についてどう思うか。 

 公立病院は赤字体質でも仕方ない側面がある。例えば、周産期医療は専門スタッフをそろえる必要があって人件費がかかるし、超未熟児の生命維持のための設備も高価だ。これまでの医療は医師らの自己犠牲の上に成り立ってきたが、それが医師不足にもつながっている。医師らの負担が軽減できる設備のため、金を使うのは当然ではないか。 

 また、末期がん患者への緩和ケアには高価な抗がん剤を使うが、安らかな死を迎えるためには必要だ。これらはすべて不採算部門だが、これこそが公立病院の役割。採算面だけを見るべきではない。 

 --問題を巡り医療現場がぎくしゃくしていないか。 

 表面上は変わらないが、漠然とした不安はある。経営形態が変わるとなれば、定年が近い人が一斉に辞めたり、医師が派遣元に引き揚げたりするかもしれない。部署ごとに意見や立場が変われば、職員間の関係がおかしくなってしまうかもしれない。 

 --県議会が経営形態についての特別委を設置した。 

 これまでは県の職員だけで進めていたので歓迎だ。県民の利益に沿って検討を進めてほしい。 

          ◇ 

 ◇しみず・ひでかず 56歳。臨床検査技師。北里大卒業後、東京女子医大を経て、県立中央病院検体検査科に勤務。県職員労働組合・県立病院対策委員会委員長 


 《寸言》 

 ◆「政策医療」具体的に説明を 

 県立病院の経営形態を考える時、県民や病院職員が最も懸念するのは、高度医療や救命救急など不採算でも必要な政策医療の確保だ。その維持は公的医療機関の使命とされ、赤字経営は許容されてきた面がある。 

 だが赤字は、すべて良き医療のためだったのか。約500億円を投じた県立中央病院の新しい建物は構造上、窓ガラス1枚の修理に84万円かかったことが包括外部監査で明らかになった。県財政が苦しい中、これ以上赤字が膨らめば地域医療の崩壊が県立病院から始まりかねない。 

 政策医療は守られなくてはいけないが、赤字許容の“伝家の宝刀”にしてはいけない。不必要な支出を見抜く経営が必要だ。一方、横内知事は「政策医療は県立病院の不変の責務」と断言するが、県民の不安は払しょくされていない。説明責任を十分に果たし、どのぐらいのコストをかけて政策医療を守るのか、具体的に約束するべきだ。(新) 

 ◆県、9月議会での決着模索 

 県は当初、県立病院の新たな経営形態について、07年度に方向性を決め、09年度にも移行を目指すとしていた。このため県検討委は設置からわずか半年の今年3月末に報告書を提出。「知事の危機意識が強く、他県にない早さで議論を進めた」(今井座長)からだ。 

 県立中央病院の累積赤字は07年度、136億1600万円と6年連続増。県は05年度から5か年で経常収支を均衡させる経営健全化計画を作り、病床利用率や外来収益など目標値を設定した。単年度の経常赤字は06、07年度と連続で減らした。しかし、診療報酬の改定などが影響し累積赤字は逆に拡大している。 

 横内知事は昨冬から「抜本的な経営改善が必要」として、病院に専任の管理者を設置し、現行の会計制度を変える必要性を強調。検討委の結論を「尊重する」とした。しかし、「性急な結論を避けるべき」として県議会が設置した特別委では、県職員労働組合委員長が「地方公営企業法の全部適用」が最適と発言。また、中央病院の職員アンケートでは、特定地方独立行政法人の導入を求める声が最も多かった。 
 様々な意見が飛び交う中、県は9月定例県議会での決着を模索している状況だ。 


◇病院の経営形態の種類地方公営企業法の一部適用(現在の県立病院) 地方公営企業法の財務規定などのみ適用し、原則独立採算で運営。人事、予算権などは知事が持つ 
地方公営企業法の全部適用 管理者を設置し、人事権などを付与。独自の給料体系が作れる。県の内部組織なので、予算の最終決定権は知事が持つ 
特定地方独立行政法人 経営権限を持つ理事長を設置。県の単年度会計から離れ、中期計画に従った経営ができる。職員は公務員 
一般地方独立行政法人 職員は非公務員。パートなど多様な雇用形態の採用が可能で、給料体系も柔軟になる