『長崎市に高機能病院を・・・長崎県の医師不足が深刻化し、公立病院運営を行き詰まらせる原因となっている。解決のためには、地元に研修の場として魅力のある高機能病院の建設が不可欠・・・




『長崎市に高機能病院を・・・長崎県の医師不足が深刻化し、公立病院運営を行き詰まらせる原因となっている。解決のためには、地元に研修の場として魅力のある高機能病院の建設が不可欠・・・ガイドラインは長崎市に弾力的対応を求めている、「関係地方公共団体において、病院事業について既に中期経営計画や施設整備計画等が策定されている場合にあっても、本ガイドラインの提示を踏まえ、既存の計画等について必要な見直しを行うとともに、改革プランを策定することが求められる。」と強調している』 



論説/県内公立病院改革/急ぎつつも議論は尽くそう 
2008.09.01長崎新聞   
  

 県内二十五の公立病院の運営を見直し、大胆に再編する計画の策定作業が、急ピッチで進められている。 

 国の公立病院改革方針に沿って、県は二〇〇八年度中の計画策定を目指しており、九月中には県の素案をまとめ、県内市町、医療関係者に提案する方針だ。 

 公立病院の多くが医師不足、経営難に悩まされており、現状を放置すれば、住民に医療を提供するという機能自体が果たせなくなるのは目に見えている。その改革が待ったなしの課題であることは論を待たない。 

 ただ、本県の場合、改革協議の場に、性格の異なる問題が同時に俎上(そじょう)に載せられているため、外部からは議論の中身がわかりにくく、県が設けた協議会の場でさえも、消化不良のまま議論が進行している観は否めない。 

 改革は急務だが、腰を据えた議論は欠かせない。 

 総務省は昨年十二月、公立病院改革ガイドラインを示し、これに沿って、都道府県に〇八年度中に改革プランを策定するよう求めた。本県は八月、公立病院改革プラン検討協議会を発足させたが、この場に「地域の小規模病院をどうするか」という基本的論点と同時に、長崎市に「大規模な高機能病院をどう建設するか」という本県独自の論点を緊急課題として提出した。 

 小規模病院の問題は、既に県内各地域で議論が積み重ねられている。入院機能を基幹病院に集約し、小規模病院は診療所化を図るとの結論を出している地域も多い。また、県と離島市町は〇九年四月に合同で企業団を設立し、県立二病院、県離島医療圏組合九病院を企業団で運営する案をまとめ、九月県議会に諮る予定だ。 

 ただ、小規模病院がある地域住民の間には、再編が医療サービス低下につながらないかとの不安が残っている。県や医療機関は「ネットワーク化によって地域医療の機能は高まる」との考えだが、まだまだ地域への説明は十分ではない。 

 「長崎市に高機能病院を」との提案は、長崎大などから出された。背景には、〇四年度の新臨床研修医制度導入以降、医学部卒業生が大都市に流出するようになったことがある。その結果、本県の医師不足が深刻化し、それが公立病院運営を行き詰まらせる原因となっている。その解決のためには、地元に研修の場として魅力のある高機能病院の建設が不可欠との提案だ。公立病院の医師不足解消のために、ぜひ実現すべき案であることは間違いない。 

 ただ、その方法として、長崎市立病院と日赤長崎原爆病院の統合が突然、提案されたことが、関係者に戸惑いを与えている。市立病院は、市議会での検討を経て、現在地建て替え、一三年度完成方針が決定済みだ。原爆病院との統合には、この既定方針を覆す必要がある。それを試みるなら、市や市議会と、丁寧に議論を重ねるべきだろう。 

 地域医療再編は、県民生活に直結した重要課題だ。急ぎつつも、議論は尽くすべきである。(高橋信雄)